【編集長の視点】レオパレス21は小反落も2Q好決算に月次データの好調推移を手掛かりに割安修正買いは不変

 レオパレス21<8848>(東1)は、前日26日に1円安の911円と小反落して引けた。同社株は、12月14日に年初来高値946円まで買い進まれ、26日が受け渡しベースで年内最終売買日となるため年内の利益を確保する持ち高調整の売り物が出た。ただ下値では依然として、今年11月10日に10月30日に上方修正した今2018年3月期第2四半期(2017年4月~9月期、2Q)累計業績を発表したのに続き、12月8日に開示した今年11月の月次データで、賃貸事業の管理戸数、入居率とも好調に推移したことを手掛かりに割安修正買いが続いた。賃貸事業の差別化戦略として、来年1月から新築物件にAIスピーカーを標準装備することも、なお管理戸数・入居率の一段のアップにつながると期待し、買い材料視されている。

■差別化戦略効果で賃貸事業の入居率が通期計画を上回り管理戸数も好調に増加

 同社の今期2Q業績は、利益が期初予想より約19億円~43億円上方修正され、売り上げ2587億4000万円(前年同期比1.4%増)、営業利益139億8700万円(同23.4%増)、経常利益138億2700万円(同28.7%増)、純利益94億8800万円(同2.1%減)で着地した。上方修正は、原価・販管費を圧縮して利益率が改善したことが要因となったが、売り上げの84%を占める賃貸事業では、入居する部屋を自分好みにアレンジする「my DIY」サービスなどの差別化戦略や法人需要の取り込み、外国人入居者へのサポート体制充実などで、2Q期末の管理戸数が、前期末比2000戸増の57万戸、入居率も、前年同期比1.90%プラスの90.21%と伸び、同事業の営業利益が、前年同期比28.3%増となったことなども寄与した。

 今3月期通期業績は、期初予想に変更はなく、売り上げ5400億円(前期比3.7%増)、営業利益235億円(同2.6%増)、経常利益225億円(同0.6%増)、純利益142億円(同30.4%減)と見込んでいる。ただ、2Q累計業績の通期予想対比の利益進捗率は、59%~66%と目安の50%をオーバーしており、今後、今期2Q累計業績と同様に上ぶれ期待も高まる方向にある。なお純利益の減益転換予想は、前期に計上した繰延税金資産20億円が剥落することなどが要因となっている。

 また11月の月次データでは、入居率が前年同月比2.28%増の89.69%と好調に推移し、今期通期計画の89.5%を上回り、管理戸数も、同2242戸増の56万9017戸と通期計画の57万5000戸を視野に入れており、家賃支払いへのTポイント提携カードの発行、AIスピーカーの導入(初年度1万戸を計画)などの差別化戦略も含め、この面からも業績上ぶれ期待を高めそうだ。

■年初来高値抜けからPER16倍台の割安修正に拍車を掛け1000円大台も指呼の間

 株価は、自己株式取得終了に北朝鮮情勢緊迫化による地政学リスクが重なって750円安値に突っ込んだが、その後の2Q累計業績の上方修正、AIスピーカー導入などの好材料とともに下値を切り上げ、11月の月次データ開示で年初来高値946円まで買い進まれ、足元では右肩上がりの25日移動平均線で下値を確認している。PERは16倍台、配当利回り2.41%となお割安で、信用取組も売り長で逆日歩のつく好需給にあり、年初来高値抜けから2009年1月以来の8年1カ月ぶりの1000円大台乗せも指呼の間となろう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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