日本エンタープライズはほぼ底値圏、事業ポートフォリオ再構築を推進

 日本エンタープライズ<4829>(東1)は、自社サービスのクリエーション事業、および受託サービスのソリューション事業を展開し、EC分野やM2M/IoT分野などへの事業領域拡大戦略を推進している。一方で12月19日には店頭アフィリエイトサービス事業の譲渡を発表している。事業ポートフォリオの再構築を推進する。株価はモミ合いから下放れの形となったが、ほぼ底値圏だろう。なお1月12日に第2四半期決算発表を予定している。

■コンテンツサービス事業とソリューション事業を展開

 自社サービスのクリエーション事業(交通情報、ライフスタイル、エンターテインメントなどのモバイルコンテンツをキャリアの定額制サービスで配信するコンテンツサービス、およびビジネスサポートサービス、太陽光発電など)と、受託サービスのソリューション事業(システム受託開発・運用サービス、店頭アフィリエイトを中心とした広告代理サービス、海外サービスなど)を展開している。

 中期成長に向けて、M&A・アライアンスも積極活用し、ネイティブアプリの開発力強化、ゲームコンテンツ市場への本格参入、法人向け業務支援サービスの早期収益化、成長分野のM2M/IoTへの事業領域拡大などを推進している。

 17年11月には、スマホ向け広告事業などを展開する子会社ダイブが、サーバ構築やアプリ開発のアルゴを子会社化すると発表した。開発・サービス提供体制を強化する。また12月19日には、店頭アフィリエイトサービス事業をテレステーションに譲渡(18年2月28日予定)すると発表した。事業ポートフォリオの再構築を推進する。

 重点戦略としては、ヘルスケアアプリ「女性のリズム手帳」、総合電子書籍サービス「BOOKSMART」、フリマアプリ「Dealing」、道路・渋滞情報サービス「交通情報サービス」、メッセンジャーアプリ「Fivetalk」、クーポンアプリ「振ってクーポン」の6つのコンテンツプラットフォームを核としてサービス連携・拡充を推進する。

■18年5月期増益予想

 今期(18年5月期)連結業績予想(7月12日公表)は、売上高が前期(17年5月期)比1.4%減の47億70百万円、営業利益が30.2%増の2億50百万円、経常利益が10.9%増の2億55百万円、純利益が5.5%増の1億05百万円としている。配当予想は前期と同額の年間2円(期末一括)としている。予想配当性向は77.2%となる。

 第1四半期は売上高が前年同期比21.8%減収、営業利益が50.6%減益、経常利益が53.7%減益、純利益が93.2%減益だった。

 セグメント別に見ると、クリエーション事業は売上高が17.9%減の4億98百万円で、営業利益が28.7%減の1億53百万円だった。法人向けビジネスサポートサービスが13.5%増収だが、コンテンツサービスがキャリアプラットフォーム向けサービス減少で24.0%減収だった。

 ソリューション事業は売上高が25.4%減の4億76百万円で営業利益が2百万円(前年同期は1百万円の赤字)だった。システム開発・運用サービスが10.6%増収だが、広告代理サービスが店頭でのコンテンツ販売方針変更の影響による取扱店舗数減少で32.4%減収だった。海外は中国スマホ市場の減速や不採算販売の抑制で94.7%減収だった。

 通期はクリエーション事業のビジネスサポートサービスが伸長し、原価率改善や販管費減少も寄与して営業増益予想としている。受注が増加する下期に向けて販売を促進するとしている。ただし第1四半期の進捗率が低水準であり、通期予想の下振れに注意が必要だろう。

■株価はほぼ底値圏

 株価は240円~260円近辺でのモミ合いから下放れの形となり、12月27日に年初来安値となる226円まで下押した。

 12月28日の終値233円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS2円59銭で算出)は90倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間2円で算出)は0.9%近辺、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS122円14銭で算出)は1.9倍近辺である。時価総額は約95億円である。

 週足チャートで見ると240円近辺の下値支持線を割り込んだ印象だが、ほぼ底値圏だろう。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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