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クリーク・アンド・リバー社は調整一巡感、18年2月期2桁増益予想で増額の可能性
- 2017/12/29 09:09
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
クリーク・アンド・リバー社<4763>(東1)はクリエイティブ分野を中心にエージェンシー事業、プロデュース事業、ライツマネジメント事業を展開し、事業領域拡大戦略を加速している。18年2月期2桁増益予想である。そして増額の可能性が高いだろう。12月26日にはAIプラットフォームを活用したチャットポットの提供を発表している。株価は調整一巡感を強めている。なお1月12日に第3四半期決算発表を予定している。
■クリエイティブ分野中心にエージェンシー事業やプロデュース事業を展開
クリエイティブ分野(映画・TV番組・ゲーム・Web・広告・出版等の制作)で活躍するクリエイターを対象としたエージェンシー(派遣・紹介)事業、プロデュース(制作請負・アウトソーシング)事業、ライツマネジメント(著作権管理)事業を展開している。17年2月期セグメント別売上高構成比は、日本クリエイティブ分野64%、韓国クリエイティブ分野12%、医療分野12%、その他11%だった。
新規事業分野として電子書籍取次事業、作家・オンラインクリエイター・建築・ファッションクリエイター・シェフ・プロフェッサーなどのエージェンシー事業、さらにAI(人工知能)関連やVR(仮想現実)関連へ展開し、M&Aも積極活用して事業領域拡大戦略を加速している。
17年10月には、AI・ロボットベンチャーの台湾インツミットが開発したAIプラットフォーム「SmartRobot」の日本での独占販売を開始すると発表した。そして12月26日、さわかみ投信に対して、AIプラットフォーム「SmartRobot」を活用したチャットポットを提供すると発表した。
また12月18日には、メンズファッションブランド「QL Mansion Maker」を展開するプライベートワークス社の代表取締役社長の白井崇文氏と共同で、ファッションやライフスタイル関連のインフルエンサー・マネジメント事業およびメディア事業を行う新会社forGIFTを設立したと発表している。
収益面では医療分野の売上と利益が季節要因で第1四半期と第2四半期に偏重するため、全体としても上期の構成比が高い特性がある。主力の日本クリエイティブ分野は売上・営業利益とも拡大基調だ。新規事業分野は人件費などの費用が先行するが順次収益化を見込んでいる。なお韓国クリエイティブ分野のうちTVマーケット関連事業は新設会社に承継し、18年2月期第2四半期から持分法適用関連会社とした。連結売上高が剥落するが利益への影響は小さい。
■18年2月期2桁増益・連続増配予想、さらに増額の可能性
今期(18年2月期)連結業績予想(4月6日公表)は、売上高が前期(17年2月期)比0.3%減の265億円、営業利益が11.8%増の18億円、経常利益が18.4%増の17億50百万円、純利益が12.0%増の10億円としている。配当予想は1円増配の年間10円(期末一括)で予想配当性向は21.0%となる。
日本クリエイティブ分野が好調に推移する。韓国のTVマーケット関連事業を持分法適用関連会社に異動した影響を除くと実質的に13%増収見込みである。利益面では積極的な人材投資などで販管費が増加するが、内制化進展による売上総利益率改善や新規事業分野の収益化も寄与して2桁増益予想である。なお18年9月竣工予定オフィスビル(東京都港区)に、グループ拠点を移転・統合予定である。このため敷金償却など関連費用の一部を計上予定である。
第2四半期累計は売上高が前年同期比6.8%増収、営業利益が23.1%増益、経常利益が32.4%増益、純利益が40.3%増益で、計画超の増収増益だった。韓国のTVマーケット関連事業を持分法適用会社に異動した影響を除くと13%増収となり、内制化が進展して売上総利益率が改善し、人件費増加などを吸収した。売上総利益率は38.5%で2.4ポイント上昇、販管費比率は29.8%で1.3ポイント上昇した。営業外では持分法投資損失が減少した。
日本クリエイティブ分野は売上高が16.9%増の93億81百万円で、営業利益が25.3%増の5億39百万円だった。映像・ゲーム・Webの各領域におけるプロデュース事業が好調に推移した。韓国クリエイティブ分野は売上高が38.8%減の9億85百万円で、営業利益が5百万円(前年同期は1百万円の赤字)だった。TVマーケット関連事業を持分法適用会社に異動したため減収だが、利益率改善で黒字化した。
医療分野は売上高が6.4%増の23億06百万円で、営業利益が21.3%増の6億66百万円だった。慢性的な医師不足を背景に医師紹介事業が好調に推移した。その他事業は売上高が2.3%増の15億05百万円で営業利益が4.9%増の35百万円だった。ファッション分野のエージェンシー事業が不採算案件見直しで減収だったが、法曹・会計分野のエージェンシー事業が堅調だった。
なお新規分野(新規エージェンシー、新規サービス)の売上高は86%増の3.7億円、営業利益は1億円の赤字だった。新規エージェンシーのうち建築分野は第2四半期に黒字化した。ファッション、シェフ、プロフェッサーは投資が継続している。新規サービスのVR分野は、HMD「アイデアレンズ」の新機種の開発・販売計画に遅れが発生し、一般販売開始時期が18年春に延期の見込みとなった。
通期会社予想に対する第2四半期累計の進捗率は、売上高が53.5%、営業利益が69.2%、経常利益が71.7%、純利益が73.3%である。医療分野の売上と利益が季節要因で上期に偏重する収益特性だが、日本クリエイティブ分野の好調が牽引して通期予想も増額の可能性が高いだろう。戦略的投資の効果や新規事業領域の収益化で好業績が期待される。
■株価は調整一巡感
株価は7月の年初来高値1538円から反落して上値を切り下げる形となったが、10月以降は1100円~1200円近辺でモミ合う形だ。そして調整一巡感を強めている。
12月28日の終値1160円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS47円51銭で算出)は24~25倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間10円で算出)は0.9%近辺、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS265円51銭で算出)は4.4倍近辺である。時価総額は約262億円である。
週足チャートで見ると52週移動平均線が下値を支えて、13週移動平均線回復の動きを強めている。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)