- Home
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
- KeyHolderは徐々に下値切り上げ、18年3月期業績下振れ懸念の織り込み完了
KeyHolderは徐々に下値切り上げ、18年3月期業績下振れ懸念の織り込み完了
- 2017/12/29 09:15
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
KeyHolder<4712>(JQ)は総合エンターテインメント事業を主力として、不動産事業、商業施設建築事業、店舗サブリース事業を展開している。株価はモミ合い展開だが徐々に下値を切り上げている。18年3月期業績下振れ懸念の織り込みは完了しているようだ。
■旧アドアーズが持株会社に移行、総合エンターテインメント事業主力
Jトラスト<8508>グループで、17年10月旧アドアーズが持株会社へ移行して商号をKeyHolderに変更した。事業持株会社に移行し、積極的なM&Aの実施による機動的な事業再編やグループ全体の経営資源の最適配分を図る。
アミューズメント施設運営の総合エンターテインメント事業を主力として、戸建て住宅分譲の不動産事業、商業施設建築事業、店舗サブリース事業(オリスパ社と提携して17年3月期第2四半期から開始)も展開している。アミューズメント景品を企画・製造・販売する子会社ブレイクは17年3月フォーサイド<2330>に譲渡した。
16年8月VR(仮想現実)関連事業でグリー<3632>と業務提携し、16年12月アドアーズ渋谷店に初のVRエンターテインメント施設「VR PARK TOKYO」をオープンした。VR関連事業を推進する。またアミューズメント施設の駅前好立地という特性を活かした新規事業として、16年12月訪日外国人旅行客を対象とした外貨両替所を開設した。さらに保育事業の開始に向けた具体的な検討も開始している。
■18年3月2Q累計減益だが通期増益予想
今期(18年3月期)連結業績予想(5月9日公表)は売上高が前期(17年3月期)比10.5%減の200億円、営業利益が6.7%増の8億50百万円、経常利益が9.2%増の7億50百万円、純利益が2.1倍の4億50百万円としている。配当予想は前期と同額の年間1円(期末一括)で予想配当性向は31.0%となる。
第2四半期累計は、売上高が前年同期比16.0%減の95億33百万円、営業利益が71.3%減の1億69百万円、経常利益が72.1%減の1億48百万円、純利益が38.7%減の81百万円だった。
連結子会社ブレイクを譲渡した影響、総合エンターテインメント事業における既存店売上の不調(前年比88.3%)で大幅減収減益だった。セグメント別の営業利益は、総合エンターテインメント事業が46.5%減の3億44百万円、不動産事業が21.2%減の1億30百万円、商業施設建築事業が3.5%減の47百万円、店舗サブリース事業が17百万円(前年同期は1百万円の赤字)だった。
通期も売上高は連結子会社ブレイクを売却した影響などで減収だが、利益面では総合エンターテインメント事業における継続的なコスト改善やVR事業の拡大、不動産事業と商業施設建築事業の堅調推移、店舗サブリース事業の寄与などで増益予想としている。ただし下振れに注意が必要だろう。
なお日本介護福祉グループの株式譲渡契約における表明保証違反に基づき、藤田英明氏に対して損害補償を求めていた訴訟に関して、12月20日に和解が成立したと発表している。業績への影響は精査中としている。
■中期経営計画で20年3月期営業利益29億円目標
中期経営計画では、目標数値として18年3月期売上高330億円、営業利益17億円、経常利益14億円、純利益9億50百万円、ROE8%、20年3月期売上高410億円、営業利益29億円、経常利益23億円、純利益14億円を掲げている。
18年3月期の目標達成は難しくなったが、事業持株会社に移行して新規事業の底上げ、M&A、事業再編などを推進して収益拡大を図る方針だ。中期的に収益改善を期待したい。
■株主優待制度は毎年3月末に実施
株主優待制度は、毎年3月末日時点の3500株(35単元)以上保有株主を対象として、業務提携先のオリーブスパが首都圏中心に運営するリラクゼーションサロン「OLIVE SPA」および「PANTHEON」の全店舗で利用できるサロンチケットを贈呈する。
■株価は徐々に下値切り上げ
株価は120円台でモミ合う展開だが徐々に下値を切り上げている。18年3月期下振れ懸念の織り込みは完了しているようだ。
12月28日の終値126円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS3円23銭で算出)は39倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間1円で算出)は0.8%近辺、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS69円69銭で算出)は1.8倍近辺である。時価総額は約175億円である。
週足チャートで見ると26週移動平均線が下値を支える形だ。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)