- Home
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
- インテリジェントウェイブは戻り歩調、18年6月期2桁営業増益予想
インテリジェントウェイブは戻り歩調、18年6月期2桁営業増益予想
- 2018/1/16 08:16
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
インテリジェントウェイブ<4847>(JQ)は金融分野や情報セキュリティ分野を中心にシステムソリューション事業を展開している。損害保険の損害認定業務にAI(人工知能)を活用する共同研究も開始した。18年6月期は2桁営業増益予想である。株価は調整一巡して戻り歩調だ。なお2月7日に第2四半期決算発表を予定している。
■金融システムや情報セキュリティ分野のソリューションが主力
大日本印刷<7912>の連結子会社で、ソフトウェア開発中心にソリューションを提供する金融システムソリューション事業、情報セキュリティ分野中心にパッケージソフトウェアや保守サービスを提供するプロダクトソリューション事業を展開している。
17年6月期セグメント別売上構成比は金融システムソリューション事業88%、プロダクトソリューション事業12%だった。高度な専門性が要求されるクレジットカード決済のフロント業務関連システムで高シェアを持ち、クレジットカード会社、ネット銀行、証券会社など金融関連のシステム開発受託・ハードウェア販売・保守サービスを収益柱としている。
収益面では金融業界のシステム投資や案件ごとの採算性が影響し、期後半の構成比が高い特性がある。なお公平な利益還元のために、株主優待制度は17年6月期末をもって廃止した。
■事業領域拡大に向けて新製品・新サービスを強化
金融システムソリューション事業ではクレジットカード決済のフロント業務関連システムから、バックオフィス業務関連など基幹業務システム関連への事業領域拡大を目指している。またプロダクトソリューション事業では、サイバー攻撃や情報漏えいに対応したセキュリティ関連のソリューションを強化している。
新製品OnCore(オンコア)は、NET+1やACEPlus等の機能を搭載し、さまざまなシステム開発におけるプラットフォームの基盤となる製品だ。16年1月から販売開始し、大手クレジットカード会社のカード決済関連業務が第一号案件となった。17年3月には、独自のAI技術を活用した新製品OpAI(オーピーエーアイ)を利用した開発プロジェクトを大手損害保険会社から受注した。
クレジットカード加盟店契約業務のシステムを複数の顧客で共同利用するサービス「共同利用型サービス」については、16年10月ネット銀行、16年11月クレジットカード会社、17年1月琉球銀行のサービスを開始した。4社目および5社目も受注済みで、18年6月期サービス開始予定である。
17年11月には、あいおいニッセイ同和損害保険、大日本印刷との3社共同で、損害保険の損害認定業務にAI(人工知能)を活用する研究を開始した。
中期事業計画ではサイバーセキュリティ総合プロバイダーを目指し、経営目標値に20年6月期売上高105億円(金融システムソリューション事業89億円、プロダクトソリューション事業16億円)、営業利益10億円を掲げている。
■18年6月期2桁営業増益予想
今期(18年6月期)の非連結業績予想(8月2日公表)は、売上高が前期(17年6月期)比6.3%増の90億円、営業利益が21.0%増の8億50百万円、経常利益が13.5%増の8億70百万円、純利益が9.7%増の6億円としている。配当予想は前期と同額の年間7円(期末一括)で予想配当性向は30.7%となる。
第1四半期は、売上高が前年同期比40.4%増の23億22百万円、営業利益が3.4倍の1億28百万円、経常利益が3.4倍の1億28百万円、純利益が4.1倍の83百万円だった。計画を上回る大幅増収・営業増益だった。カードブランド統合案件を売上計上し、前年同期に発生した不採算案件の一巡も寄与した。売上総利益率は23.7%で3.0ポイント上昇、販管費比率は18.2%で0.2ポイント低下した。
金融システムソリューション事業はカードブランド統合案件が寄与して、売上高が46.9%増の21億45百万円、営業利益が3.2倍の1億64百万円だった。プロダクトソリューション事業は他社製パッケージソフトウェアTrapsの新規案件が少なく、売上高が8.8%減の1億76百万円で営業利益が35百万円の赤字(前年同期は14百万円の赤字)だった。なお全社受注高は22.8%増の27億71百万円で、受注残高は58.6%増の53億14百万円と高水準である。
通期でも需要が高水準に推移し、マネジメント体制整備・強化による開発プロジェクト単位での労務管理および収支管理徹底も寄与して増収増益予想である。銀行やクレジットカード会社に対してクレジットカードのアクワイアリング業務(加盟店契約業務)システムをクラウド型で提供する共同利用型サービスも、第2四半期(10~12月)から開始して増収に寄与(今期3社開始、5社まで見込む)する。
通期のセグメント別計画は、金融システムソリューション事業の売上高が3.4%増の77億円で営業利益が19.8%増の7億80百万円、プロダクトソリューション事業の売上高が27.2%増の13億円で営業利益が37.3%増の70百万円としている。金融システムソリューション事業ではカード系のシステム開発やクラウドサービス事業が伸長し、プロダクトソリューション事業ではイスラエル製品の販売を9月から開始した。
通期予想に対する第1四半期の進捗率は25.8%、営業利益15.1%、経常利益14.7%、純利益13.8%である。下期の構成比が高い特性を考慮すればネガティブ要因とはならない。通期ベースでも好業績が期待される。
■株価は調整一巡して戻り歩調
株価は07年来となる10月高値932円から一旦反落したが、12月26日の直近安値626円から切り返し、1月11日には703円まで上伸した。調整一巡して戻り歩調だ。
1月15日の終値696円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS20円80銭で算出)は33~34倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間7円で算出)は1.0%近辺、前期実績PBR(前期実績のBPS214円51銭で算出)は3.2倍近辺である。時価総額は約183億円である。
週足チャートで見ると26週移動平均線突破の動きを強めている。出直りが期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)