寿スピリッツは上場来高値圏、18年3月期大幅増収増益予想で再増額の可能性

 寿スピリッツ<2222>(東1)は「お菓子の総合プロデューサー」を企業ビジョンに掲げ、首都圏エリア展開強化や商品プレミアム化などの重点施策を加速している。18年3月期は大幅増収増益予想である。1月15日発表した売上状況(概算)によると第3四半期累計は前年比16.1%増収と好調だった。通期予想は再増額の可能性が高いだろう。株価は上場来高値圏だ。好業績を評価する流れに変化はなく、目先的な過熱感を冷ますための自律調整を交えながら上値を試す展開が期待される。なお2月1日に第3四半期決算発表を予定している。

■「お菓子の総合プロデューサー」として地域限定ブランド菓子を展開

 地域限定ブランド菓子の製造・販売を主力とする持株会社である。全国各地のお菓子のオリジナルブランドとショップブランドを創造する「お菓子の総合プロデューサー」を企業ビジョンに掲げている。さらに「ワールド サプライジング リゾート(WSR)宣言」を経営スローガンに掲げ、中期経営目標を売上高経常利益率20%としている。

 主要子会社(セグメント)はケイシイシイ、寿製菓・但馬寿、シュクレイ、九十九島グループ、販売子会社(東海3社、中国・九州4社、関西2社)である。シュクレイはフランセを17年4月吸収合併して生産直販型会社に移行した。

 17年3月期の販売チャンネル別売上構成比は、通信販売7.2%(うちルタオ通販5.8%)、店舗販売(直営店舗、催事)43.3%、卸売(駅・空港・高速道路SAなどの小売店、代理店卸、OEM)46.9%、海外2.4%、その他0.1%だった。駅・空港・高速道路SAなど交通機関チャネルでの土産品としての販売比率が高いことも特徴である。またクリスマス・年末年始・バレンタイン・ホワイトデー商戦などで下期の構成比が高くなる季節特性がある。

■首都圏WSR化展開など重点施策が大幅伸長

 重点施策として、プレミアム・スイーツブランドの創出と育成(地域・チャンネル特性にマッチした商品開発推進、主力商品リニューアルによるバージョンアップと価格改定、販路開拓やリアル店舗と通販の融合、新業態店の拡大)、インバウンド対策の強化(国内主要国際空港における免税売店等への販売強化、直営店舗での免税対応強化)、首都圏でのWSR化展開(シュクレイの多ブランド展開推進や販路拡大、グループ各社による期間限定店舗展開の推進など)、海外展開、生産性向上による製造採算改善などを推進している。

 重点施策の17年3月期売上高は、国内主要国際空港でのインバウンドが16年3月期比2.4倍の19億60百万円、海外(台湾現地法人売上高+韓国・香港向けロイヤルティ含む国内出荷売上高)が41.5%増の7億78百万円、シュクレイ(首都圏WSR化)が95.9%増の92億75百万円と大幅伸長した。

 17年9月にはシュクレイがスイーツブランド「CARAMEL GHOST HOUSE」を新ブランドとしてスタートすると発表した。17年12月にはシュクレイの「東京ミルク工場」の新業態店「東京ミルク工場 Cow Cow Kitchen」が東武スカイツリーライン北千住駅構内にオープンした。またケイシイシイの「ルタオ」ブランドのチーズケーキ「ドゥーブルフロマージュ」が、Yahoo!検索大賞2017において「おとり寄せ部門賞」を受賞した。

■18年3月期大幅増収増益予想で再増額の可能性

 今期(18年3月期)の連結業績予想(11月1日に増額修正)は、売上高が前期(17年3月期)比12.9%増の367億40百万円、営業利益が21.4%増の46億70百万円、経常利益が20.6%増の47億円、そして純利益が28.3%増の33億円としている。配当予想は5円増配の年間30円(期末一括)で、予想配当性向は28.3%となる。

 引き続きシュクレイの収益拡大が牽引する。また重点施策の売上高計画は、インバウンドが53.1%増の30億円、海外が54.2%増の12億円、そしてシュクレイが22.0%増の113億19百万円としている。

 第2四半期累計は、売上高が前年同期比16.3%増の172億19百万円、営業利益が27.3%増の18億49百万円、経常利益が27.1%増の18億69百万円、純利益が68.1%増の14億50百万円だった。

 重点施策の取り組みが奏功し、グループ再編でメーカー機能が加わったシュクレイの収益拡大が牽引して、計画超の大幅増収増益だった。売上総利益率は55.6%で0.8ポイント上昇、販管費比率は44.9%で0.1ポイント低下した。純利益は繰延税金資産の追加計上も寄与した。

 セグメント別に見ると、シュクレイが28.3%増収、ケイシイシイが19.5%増収、販売子会社が10.1%増収、寿製菓・但馬寿が7.5%増収と好調だった。九十九島グループは2.3%増収だった。また重点施策の売上高は、インバウンドが88.4%増の15億40百万円、海外が91.8%増の5億28百万円、シュクレイが28.3%増の50億29百万円と大幅伸長した。

 通期会社予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高が46.9%、営業利益が39.6%、経常利益が39.8%、純利益が43.9%である。下期の構成比が高い季節特性を考慮すれば高水準である。

 また1月15日発表した売上状況(概算)によると、第3四半期累計の売上高は前年同期比16.1%増の276億09百万円だった。シュクレイが27.1%増収、ケイシイシイが15.8%増収と大幅伸長した。また他のセグメントも、販売子会社が9.3%増収、寿製菓・但馬寿が8.9%増収と好調だった。九十九島グループは1.8%増収だった。

 通期会社予想は再増額の可能性が高く、首都圏WSR化展開の積極推進で中期的にも収益拡大基調だろう。

■株主優待は毎年3月末に実施

 株主優待制度は、毎年3月末現在の100株以上~500株未満所有株主に対して2000円相当の自社グループ製品、500株以上~1000株未満所有株主に対して4000円相当の自社グループ製品、1000株以上所有株主に対して4000円相当のグループ製品+3000円相当の直営店舗利用優待券(代替商品送付可)を贈呈する。

■株価は上場来高値圏、好業績を評価する流れに変化なし

 株価は上場来高値圏だ。1月10日には6560円まで上伸した。第3四半期累計売上状況に対する反応は限定的だが、好業績を評価する流れに変化はないだろう。

 1月16日の終値6350円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS106円04銭で算出)は60倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間30円で算出)は0.5%近辺、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS409円20銭で算出)は16倍近辺である。時価総額は約1976億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインだ。目先的な過熱感を冷ますための自律調整を交えながら上値を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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