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星光PMCは急動意、CNF商業生産開始も寄与して18年12月期収益改善期待
- 2018/1/19 07:26
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
星光PMC<4963>(東1)は製紙用薬品事業、印刷インキ用・記録材料用樹脂事業、化成品事業を展開し、次世代素材セルロースナノファイバー(CNF)など新分野開拓を推進している。17年12月期減益予想だが、18年12月期はCNF複合材料の商業生産開始も寄与して収益改善が期待される。株価はCNF商業生産開始を好感して急動意の形となった。ボックス上放れを期待したい。
■製紙用薬品、印刷インキ用・記録材料用樹脂、化成品を展開
DIC<4631>の連結子会社で、製紙用薬品事業、印刷インキ用・記録材料用樹脂事業、化成品事業(子会社KJケミカルズ)を展開している。16年12月期売上高構成比は製紙用薬品事業64%、印刷インキ用・記録材料用樹脂事業21%、化成品事業15%だった。
高付加価値製品の拡販、中国事業の再構築、東南アジア市場への積極展開、次世代素材セルロースナノファイバー(CNF)、導電性ナノ材料(銀ナノワイヤー)、光学弾性樹脂(OCA)など成長市場・新分野開拓の戦略を推進している。17年3月には台湾のアクリル系工業用粘接着材メーカーである新綜工業を持分法適用関連会社化した。
新中期経営計画「CS VISION-2」では目標数値に、会社設立50周年の18年12月期売上高272億円、営業利益22億円、営業利益率8%以上を掲げている。
■CNF複合材料の商業生産開始
次世代素材CNFは、すべての植物の植物細胞壁の骨格成分であるセルロースをナノサイズまで細かくほぐすことによって得られる繊維である。鋼鉄の5分の1の軽さで5倍以上強く、熱による変形が少ないなどの特徴がある。樹脂の補強材として機能させることで、自動車用樹脂の強度向上や金属部材からの置き換え、家電・モバイル機器の軽量化などでの需要が期待されている。
そして1月16日には、竜ヶ崎工場にあるCNF実証生産設備(パイロットプラント)の生産能力増強工事が完了し、「STARCEL」ブランドでCNF複合材料の商業生産・製品出荷を開始したと発表している。
銀ナノワイヤーは、直径がナノサイズ、長さがミクロンサイズの繊維状の銀を溶液中に分散させて透明導電性電極を形成し、ウェアラブル端末や大型ディスプレイへの利用が期待されている。
■17年12月期減益予想だが増額余地、18年12月期の収益改善期待
前期(17年12月期)の連結業績予想(8月8日に売上高を減額、利益を増額修正)は、売上高が前々期(16年12月期)比0.5%減の242億30百万円、営業利益が13.1%減の20億円、経常利益が5.8%減の21億80百万円、純利益が3.0%減の17億40百万円、配当予想は前々期と同額の年間12円(第2四半期末6円、期末6円)としている。
第3四半期累計は売上高が前年同期比0.3%増の182億24百万円、営業利益が12.8%減の15億39百万円、経常利益が3.3%増の17億22百万円、純利益が1.5%増の13億86百万円だった。
売上の伸び悩みや原料価格上昇などで営業減益だった。売上総利益率は27.0%で0.7ポイント低下、販管費比率は18.5%で0.5ポイント上昇した。ただし営業外での為替差損益の改善や台湾新綜工業の株式取得に伴う持分法投資利益計上が寄与して、経常利益と純利益は増益だった。
製紙用薬品は売上高が0.1%減の115億35百万円で営業利益が18.5%減の11億86百万円、印刷インキ用・記録材料用樹脂は売上高が1.4%減の38億11百万円で営業利益が12.8%減の2億13百万円、化成品は売上高が4.1%増の28億78百万円で営業利益が13.7%増の4億17百万円だった。
通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が75.2%、営業利益が77.0%、経常利益が79.0%、純利益が79.7%である。通期会社予想に増額余地がありそうだ。そして今期(18年12月期)はCNF複合材料の商業生産開始も寄与して収益改善が期待される。
■株価は急動意、ボックスレンジ上放れ期待
株価は1100円~1300円近辺でのボックス展開だったが、CNF複合材料商業生産開始を好感して急動意の形となった。レンジ下限の1100円台から1月16日には昨年来高値となる1443円まで急伸した。
1月18日の終値1321円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS57円38銭で算出)は23倍近辺、前期推定配当利回り(会社予想の年間12円で算出)は0.9%近辺、前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS713円14銭で算出)は1.9倍近辺である。時価総額は約406億円である。
週足チャートで見ると26週移動平均線を突破した。乱高下で上ヒゲをつけたが、ボックスレンジ上放れを期待したい。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)