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ラクーンは過熱感解消して上値試す、利用企業数増加基調で18年4月期2桁増益予想
- 2018/1/24 08:07
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ラクーン<3031>(東1)はBtoB電子商取引スーパーデリバリー運営、クラウド受発注COREC事業、BtoB掛売り・請求書決済代行サービスPaid事業、売掛債権保証事業を展開している。利用企業数が増加基調で18年4月期2桁増益予想である。株価は過熱感解消して上値を試す展開が期待される。
■企業間ECサイト「スーパーデリバリー」運営が主力
アパレル・雑貨分野の企業間(BtoB)電子商取引(EC)スーパーデリバリー運営を主力として、クラウド受発注システムのCOREC(コレック)事業、BtoB掛売り・決済業務代行サービスのPaid(ペイド)事業、売掛債権保証事業など周辺領域へ事業を拡大している。またスーパーデリバリーの越境ECサービス(海外販売)「SD export」も展開している。
17年4月期セグメント別(連結調整前)売上高構成比はEC事業(スーパーデリバリーとCOREC)58%、Paid事業15%、保証事業26%、営業利益構成比はEC事業53%、Paid事業7%、保証事業40%だった。
出展企業と会員小売店の増加に伴って月額課金システム利用料売上が積み上がるストック型収益構造である。なお決算短信および有価証券報告書のセグメント情報においては、間接コスト(本社費用)を全てEC事業負担としているため、EC事業のセグメント利益は他の事業と比べて相対的に小さく表示されている。
■利用企業数が増加基調
17年4月期のスーパーデリバリー全体流通額は16年4月期比2.6%増の98億34百万円、スーパーデリバリー会員小売店数は1万8148店舗増の7万520店舗、出展企業数は51社増の1189社となった。またCORECユーザー数は1万1092社となった。
Paid事業はサービス改良によって業種・業態を問わず、あらゆるBtoB向けサービスへの導入やFinTech分野への展開も推進している。17年10月には導入企業数が2500社を突破した。また17年11月には、デイープラーニングを活用した自社開発AI(人工知能)による与信審査を年明け目途に開始すると発表している。
■18年4月期2桁増益予想
今期(18年4月期)の連結業績予想(6月9日公表)は、売上高が17年4月期比8.1%増の25億50百万円、営業利益が16.4%増の4億90百万円、経常利益が17.1%増の4億85百万円、純利益が17.3%増の3億円としている。配当予想は未定としている。
第2四半期累計は、売上高が前年同期比8.2%増の12億39百万円、営業利益が6.1%増の2億12百万円、経常利益が6.7%増の2億08百万円、純利益が34.4%増の1億39百万円だった。
EC事業の伸長が牽引し、成長分野への広告投資、営業強化やシステム開発強化に伴う人件費増加などを吸収した。売上総利益率は84.1%で0.6ポイント低下、販管費比率は67.0%で0.2ポイント低下した。純利益は減損損失一巡も寄与した。
EC事業は売上高が6.2%増の8億34百万円で、営業利益が3.0%減の98百万円だった。スーパーデリバリー全体流通額が8.7%増の51億47百万円(国内が3.9%増、海外が74.6%増)と伸長して増収だが、人件費増加などで減益だった。スーパーデリバリー会員小売店数は17年4月期末比1万1280店舗増の8万1800店舗、出展企業数は12社増の1201社、商材掲載数は3万5548点増の67万3200点となった。またCORECユーザー数は2658社増の1万3750社となった。
Paid事業は売上高が18.6%増の2億34百万円で、営業利益が2.9倍の21百万円だった。加盟企業が順調に増加し、取扱高増加で営業損益が改善した。加盟企業数は2400社を超え、グループ内含む取扱高は20.0%増加の91億62百万円となった。
保証事業は売上高が6.8%増の3億79百万円で営業利益が2.4%増の93百万円だった。16年8月開始した「URIHO」の伸長も寄与して、グループ内含む保証残高は17年4月期末比27.2%増の144億34百万円となった。
通期ベースでも経営基盤強化に向けた先行投資を継続するが、スーパーデリバリーにおいて成長余力のある海外市場の流通額拡大、小売以外の事業者の流通額拡大、国内流通の本格的な成長路線への回帰に注力し、COREC、Paid事業、売掛債権保証事業も順調に拡大して2桁増益予想である。
通期会社予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高が48.6%、営業利益が43.3%、経常利益が43.0%、純利益が46.7%である。ストック型収益構造を考慮すれば通期ベースでも好業績が期待される。
■株価は過熱感解消して上値試す
株価は急伸した12月28日の昨年来高値889円から反落したが、過熱感が解消し、1月19日の直近安値763円から切り返しの動きを強めている。
1月23日の終値795円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS17円14銭で算出)は46~47倍近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS108円89銭で算出)は7.3倍近辺である。時価総額は約147億円である。
週足チャートで見ると13週移動平均線が接近して過熱感が解消した。上値を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)