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イワキは目先的な売り一巡して戻り高値圏、18年11月期減益予想だが保守的
- 2018/1/30 08:34
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
イワキ<8095>(東1)は、医薬品・医薬品原料・表面処理薬品などを主力とする専門商社で、メーカー機能も強化している。医薬・FC事業の好調や化学品事業の損益改善で17年11月期は計画超の大幅増益だった。18年11月期は薬価改定や積極投資の影響で減益予想だが、保守的な印象が強く上振れ余地がありそうだ。株価は減益予想を嫌気する形で反落したが、目先的な売りが一巡して戻り高値圏だ。上値を試す展開が期待される。
■医薬品・医薬品原料・表面処理薬品などを主力とする専門商社
医薬品・医薬品原料・表面処理薬品などを主力とする専門商社で、岩城製薬(医薬品)やメルテックス(表面処理薬品)のメーカー機能も強化している。
事業区分は医薬・FC(Fine Chemical)事業(医薬品原料の製造・販売、医薬品の製造・販売、体外診断薬・研究用試薬・医療機器の販売)、HBC(Health & Beauty Care)事業(化粧品原料・機能性食品原料の販売、一般用医薬品・関連商品の卸売、化粧品通信販売)、化学品事業(表面処理薬品・電子工業薬品・化成品の製造・販売、表面処理設備の製造・販売)、食品事業(食品原料の製造・販売)としている。
中期的な事業基盤強化と収益拡大に向けて、医薬品事業での共同開発・受託品の拡大、ドラッグストア向けPB商品など自社企画商品の開発強化、医薬品原料事業における市場シェア拡大、海外サプライヤーとの連携強化、岩城製薬の生産能力増強と新製品開発、メルテックスの新製品拡販、海外展開強化などを推進している。
目標数値には、中期経営計画(18年11月期~20年11月期)で20年11月期売上高650億円、営業利益21億円、ROIC7.0%以上、グループ中長期ビジョンで売上高1000億円、ROIC10.0%以上を掲げている。
■17年11月期は計画超の大幅増益
17年11月期連結業績は、売上高が16年11月期比4.1%増の573億87百万円で、営業利益が60.8%増の15億71百万円、経常利益が66.0%増の17億78百万円、純利益が12億41(16年11月期は8百万円)だった。営業利益は創業来最高を達成した。
医薬・FC事業、HBC事業が好調に推移し、化学品事業の営業損益改善も進展して17年7月の修正値を上回る大幅増益だった。売上総利益率は20.7%で0.5ポイント上昇、販管費比率は17.9%で0.5ポイント低下した。特別損失には岩城製薬における損害賠償金4憶04百万円計上したが、計上額が想定を下回った。また税効果会計による繰延税金資産計上も寄与した。
医薬・FC事業は売上高が0.9%増の215億19百万円で、営業利益(連結調整前)が10.3%増の14億25百万円だった。医薬品原料は横ばいだったが、外皮用剤が好調な医薬品分野がけん引し、生産性改善も寄与した。HBC事業は売上高が5.9%増の235億91百万円で、営業利益が40.2%増の1憶04百万円だった。機能性食品原料、化粧品原料、ドラッグストア・薬局向け卸売、通販化粧品が堅調に推移した。
化学品事業は売上高が17.9%増の62億83百万円で、営業利益が28百万円の黒字(16年11月期は4億34百万円の赤字)だった。表面処理薬品のプリント配線板向け新製品の拡販効果などで営業黒字化した。食品事業は売上高が5.0%増の39憶67百万円で、営業利益が22百万円の赤字(同5百万円の赤字)だった。その他は調剤薬局子会社を譲渡したため、売上高が15.6%減の20億26百万円で、営業利益が31.1%減の34百万円だった。
なお配当は1月26日に期末1円50銭(特別配当)増額修正し、16年11月期比1円50銭増配の年間7円50銭(第2四半期末3円、期末4円50銭)とした。配当性向は19.8%となる。
■18年11月期減益予想だが保守的
18年11月期の連結業績予想(1月12日公表)は、売上高が17年11月期比2.8%増の590億円、営業利益が10.9%減の14憶円、経常利益が18.5%減の14憶50百万円、純利益が23.5%減の9億50百万円としている。薬価改定や積極投資の影響で減益予想としているが、保守的な印象が強く上振れ余地がありそうだ。
医薬・FC事業では新分析棟・倉庫を建設し、抗がん剤領域での需要拡大が予想される高活性原薬分野に新規参入する。化学品事業ではクリーンルームを増設し、需要増加に対応して製造能力を増強するとともに、半導体デバイス製造用途向け新製品の開発も推進する。
配当予想は特別配当1円50銭を落として年間6円(第2四半期末3円、期末3円)としている。予想配当性向は20.3%となる。
■株価は目先的な売り一巡して戻り高値圏
株価は18年11月期減益予想を嫌気する形で一旦反落したが、目先的な売りが一巡し、素早く切り返して戻り高値圏だ。
1月29日の終値507円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS29円52銭で算出)は17~18倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間6円で算出)は1.2%近辺、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS556円36銭で算出)は0.9倍近辺である。なお時価総額は約174億円である。
週足チャートで見ると26週移動平均線がサポートラインだ。上値を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)