- Home
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
- インフォマートは戻り歩調、17年12月期減額修正だが18年12月期大幅増収増益予想
インフォマートは戻り歩調、17年12月期減額修正だが18年12月期大幅増収増益予想
- 2018/1/30 08:31
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
インフォマート<2492>(東1)は企業間電子商取引「BtoBプラットフォーム」を運営している。17年12月期予想を減額修正したが、18年12月期は大幅増収増益予想としている。株価は調整一巡して戻り歩調だ。なお2月14日に17年12月期決算発表を予定している。
■企業間(BtoB)電子商取引プラットフォームを運営
企業間の商行為を電子化する企業間電子商取引プラットフォーム「BtoBプラットフォーム」として、企業間受発注業務をWeb上で行うBtoBプラットフォーム受発注、食の安全・安心の商品仕様書DBであるBtoBプラットフォーム規格書、企業間請求書発行・受取業務をWeb上で行うBtoBプラットフォーム請求書、BtoB専用の販売・購買システムであるBtoBプラットフォーム商談を運営している。
17年6月には受発注の新システム(卸・食品メーカー)の提供を開始、17年9月には無料で使えるBtoBプラットフォーム見積書の提供を開始した。17年11月にはBtoBプラットフォームが、一般社団法人クラウドサービス推進機構(CSPA)の「クラウドサービス認定プログラム」に認定された。
システムをネット経由で提供するクラウド型サービスであり、利用企業数増加に伴って月額課金のシステム使用料収入が拡大する。売上高の95%が月額システム使用料のストック型収益モデルである。配当政策は個別業績に応じた配当性向50%を基本方針としている。
■国内最大級のBtoBプラットフォームで利用企業数は増加基調
フード業界向けで外食と食材卸の間の受発注をWeb上で行うBtoBプラットフォーム受発注を主力として、全業界を対象とするBtoBプラットフォーム請求書の利用企業数も増加基調である。国内最大級のBtoBプラットフォームである。
17年9月末のBtoBプラットフォーム利用企業数(無料利用含む全業界ID数で集計、海外除く)は16年12月末比3万1065社増加の15万6115社、事業所数(本社・支店・営業所・店舗)は5万8540事業所増加の46万3097事業所となった。また16年度の流通金額(全業界の受発注金額と請求書金額の合計)は2兆2942億円である。
受発注(外食・卸)は買い手企業数(外食)が242社増加の2268社、売り手企業数(卸)が1558社増加の3万1453社、17年6月提供開始の受発注(外食・食品メーカー)は買い手企業数(卸)が15社、売り手企業数(卸・食品メーカー)が187社となった。システム連携は92社・111ソリューションである。
規格書は、買い手機能が75社増加の525社、卸機能が37社増加の574社、メーカー機能が37社増加の6222社となった。
15年1月サービス開始した請求書の利用企業数合計は3万834社増加の15万5235社(うち有料契約数は719社増加の2535社)となった。その後も増加ペースが加速し、利用企業数合計は18年1月に17万社を突破した。また17年の流通金額は3兆1912億円となった。
商談は、買い手企業数が47社増加の6902社、売り手企業数が156社減少の1556社となった。
BtoB標準プラットフォームを実現するため、他社とのシステム連携戦略を強化して利用企業数100万社への普及を目指すとしている。またFinTech分野に関しては、請求書関連業務の新たなモデル作りのため各金融機関・パートナーとともに実証実験を推進する。
■17年12月期予想を減額修正だが、18年12月期大幅増収増益予想
17年12月期の連結業績予想は1月19日に減額修正し、売上高が16年12月期比9.0%増の67億09百万円、営業利益が9.8%減の17億64百万円、経常利益が10.4%減の17億44百万円、純利益が69.3%減の3億70百万円とした。
新システム「BtoBプラットフォーム受発注 卸会社と食品メーカー間」の立ち上げが遅れたこと、および「BtoBプラットフォーム請求書」の有料契約企業の稼働進捗が遅れたことで売上高、利益とも計画を下回った。純利益は「BtoBプラットフォーム請求書」に関する減損損失も影響する。
配当予想は据え置いて、年間6円54銭(第2四半期末3円27銭、期末3円27銭)としている。17年1月1日付株式2分割を考慮して前期の11円80銭を5円90銭に換算すると、実質的に64銭増配となる。予想配当性向は214.4%となる。
同時に18年12月期連結業績予想を公表し、売上高は17年12月期18.7%増の79億65百万円で、営業利益は42.4%増の25億12百万円、経常利益は43.3%増の25億円、純利益は4.5倍の16億74百万円とした。各プラットフォーム利用企業数の増加でシステム使用料が増加し、ソフトウェア償却費の順次減少やシステム開発投資の減少も寄与する見込みだ。純利益は特別損失の一巡も寄与する。
■中期経営計画で受発注5万社と請求書100万社目標
中期経営計画では基本方針を、フード業界におけるBtoBプラットフォーム受発注の利用拡大・シェア拡大、BtoBプラットフォーム請求書の全業界展開・デファクト化、BtoB電子商取引プラットフォームの構築としている。
フード業界におけるシェア拡大では18年12月期までの目標として利用企業数5万社(15年12月期実績3.9万社)およびシステム取引高・外食シェア2兆円・30%(同1.2兆円・16%)を目指す。電子請求プラットフォームのデファクト化では18年12月期までの目標として利用企業数100万社(同4.8万社)およびシステム取引高3兆円(同1261億円)を目指す。BtoB電子商取引プラットフォームの構築ではシステムコンセプトとして全業界対応BtoBプラットフォーム(同フード業界ASPシステム)を目指す。
そして2020年までに、あらゆる業界にBtoBプラットフォームを提供し、グローバルなBtoBインフラ企業を目指すとしている。
■株価は調整一巡して戻り歩調
株価は安値圏600円台でモミ合う展開だったが、18年12月期大幅増収増益予想を好感して1月24日に774円まで上伸した。調整一巡して戻り歩調だ。
1月29日の終値750円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS3円05銭で算出)は246倍近辺、前期推定配当利回り(会社予想の年間6円54銭で算出)は0.9%近辺、前々期実績連結PBR(前々期実績連結BPS76円02銭で算出)は9.9倍近辺である。時価総額は約973億円である。
週足チャートで見ると13週移動平均線と26週移動平均線を一気に突破した。基調転換して出直りが期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)
1