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キャリアリンクは下値固め完了、18年2月期減益予想だが19年2月期は収益改善期待、自己株式取得も評価
- 2018/1/30 12:47
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
キャリアリンク<6070>(東1)は「チーム派遣」を強みとする総合人材サービス企業である。18年2月期は減益予想だが、19年2月期は収益改善が期待される。BPO関連事業部門が牽引して中期成長シナリオに変化はないだろう。株価は下値固め完了し、自己株式取得も評価して出直りが期待される。
■BPO関連事業部門が主力の総合人材サービス企業
官公庁・地方公共団体・民間企業向けBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)関連事業部門を主力として、企業等のコンタクトセンター(コールセンター)向けCRM(カスターマー・リレーションシップ・マネジメント)関連事業部門、製造・物流分野の製造系人材サービス事業、一般事務職分野の一般事務事業部門など、人材派遣・紹介や業務請負などの総合人材サービス事業を展開している。
17年2月期の事業別売上高構成比はBPO関連事業部門66.1%、CRM関連事業部門15.7%、製造系人材サービス事業11.5%、一般事務事業部門6.7%だった。
製造系人材サービス事業を新設子会社キャリアリンクファクトリーに事業承継し、18年2月期から連結決算に移行した。これに伴って報告セグメントは、事務系人材サービス事業および製造系人材サービス事業とした。
なお1月12日には、だいこう証券ビジネス(DSB)<8692>の完全子会社ジャパン・ビジネス・サービス(JBS)の株式100%取得による子会社化、およびDSBとの資本業務提携に関する基本合意書締結を発表した。株式取得日は3月31日予定である。
■顧客企業の業務効率化を実現する「チーム派遣」に強み
顧客の業務効率化や品質向上などを実現する企画提案型の人材派遣および業務請負を特徴としている。特にBPO関連事業部門では、顧客企業の業務効率化や業務処理品質向上を実現するために「単なるスタッフ派遣」ではなく、経験豊富な社員をリーダーとして編成した「チーム派遣」を強みとしている。顧客にとっては、自社による導入時の研修や導入後の業務指導などに係る負担が軽減され、発注から短期間で大量業務処理の稼働開始が可能になるというメリットもある。
また1000名を超える大型案件でも、稼働開始まで短期間で対応できるノウハウを有していることも強みだ。スタッフに対してはキャリアパス制度などを活用して能力、満足度、出勤率、稼働率を高める仕組みを構築しており、こうした仕組みもチーム派遣や大型案件に対する短期間での対応を支えている。
■18年2月期3Q累計は減収減益
今期(18年2月期)第3四半期累計の連結業績は、前年同期の非連結業績との比較で、売上高が8.8%減の127億83百万円となり、営業利益が38.8%減の4億58百万円、経常利益が33.3%減の4億96百万円、純利益が29.9%減の3億36百万円だった。民間企業向けBPOプロジェクト大型案件の一つで業務処理量が想定以上に縮小した影響で減収減益だった。
事務系人材サービス事業は売上高が108億68百万円(BPO関連事業部門が88億49百万円、CRM関連事業部門が13億85百万円、一般事務事業部門が6億34百万円)で営業利益が4億22百万円、製造系人材サービス事業は売上高が19億14百万円で営業利益が35百万円だった。
■18年2月期減益予想だが19年2月期は収益改善期待
今期(18年2月期)通期の連結業績予想は1月12日に減額修正した。売上高は前期(17年2月期の非連結業績)比8.9%減の168億17百万円、営業利益は46.5%減の5億35百万円、経常利益は40.2%減の5億94百万円、純利益は41.9%減の3億73百万円とした。配当予想は据え置いて17年2月期と同額の年間10円(期末一括)としている。予想配当性向は33.5%となる。
BPO関連事業部門における取引自治体数拡大、中央官庁大型案件の受注強化、恒常的公共サービス領域への展開、競争力・利益率向上とナレッジ化推進、金融業界の多様なアウトソーシングニーズの大型案件への昇華、アライアンス戦略の強化、SVやコアOPの戦略的配置による取引拡大加速、ISO9001認証取得による更なる運用力の強化、自社コンタクトセンターの活用などの施策を推進し、19年2月期は収益改善が期待される。
■BPO関連事業部門が成長エンジン、M&Aによる領域拡大も推進
中期経営計画(ローリング方式、18年2月期~20年2月期)では、BPO関連事業部門を成長エンジンとした成長戦略を加速させる方針を掲げ、営業戦略の基本を大型BPO案件の獲得による売上規模拡大、企画提案力・運用力の強化とチーム派遣の拡大、M&AによるBPO関連事業部門の領域拡大としている。
目標数値には、20年2月期売上高268億円(BPO関連事業部門186億円、CRM関連事業部門30億円、一般事務事業部門6億円、製造系人材サービス事業45億円)、営業利益14億40百万円、経常利益14億30百万円、純利益9億70百万円を掲げている。
BPO関連事業部門は高品質なBPOサービスにより顧客満足度No.1のBPOを実現する。CRM関連事業部門は高付加価値な提案により、BPO化につなげていく。一般事務事業部門は高利益案件の周辺業務を取り込み、BPO化を推進する。製造系人材サービス事業は、人材が払底する製造マーケットで強力な供給を実現する方針だ。
■中期成長シナリオに変化なし
中期的に事業環境は良好である。官公庁・地方公共団体関連では財政健全化に向けた費用抑制の流れ、サービス向上や業務効率化のニーズ増大も背景として、官から民間への業務委託・移管の増加が予想されている。民間企業関連ではコア事業への経営資源集中や固定費の変動費化の流れも背景として、業務のアウトソーシング化が一段と増加すると予想されている。
人件費・採用費・教育研修費の増加への対応、人材の採用・開発および早期収益化が課題となるが、研修課や人材開発部の新体制で研修や人材開発を強化する方針だ。BPO関連事業部門が牽引して中期成長シナリオに変化はないだろう。
■株主還元は総合利回りの向上を目指す
株主還元については基本方針として、現金配当と株主優待を合算した総合利回りの向上を目指している。
株主優待制度は毎年8月31日現在の1単元(100株)以上保有株主に対して実施している。優待内容は100株以上~200株未満保有株主に対してQUOカード500円分、200株以上~500株未満保有株主に対してQUOカード1000円分、500株以上保有株主に対してQUOカード2000円分を贈呈する。
■株価は下値固め完了して出直り期待
1月12日に自己株式取得を発表した。取得株式総数の上限37万7000株、取得価額総額の上限2億36百万円、取得期間18年1月15日~18年6月29日としている。
株価は安値圏550円~600円近辺でモミ合う形だが、1月26日には612円まで上伸して下値固め完了感を強めている。
1月29日の終値599円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS29円85銭で算出)は20倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間10円で算出)は1.7%近辺、前期実績PBR(前期実績のBPS254円44銭で算出)は2.4倍近辺である。時価総額は約75億円である。
週足チャートで見ると26週移動平均線を突破し、さらに13週移動平均線が26週移動平均線を上抜いて先高観を強めている。出直りが期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)