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クリーク・アンド・リバー社は調整一巡感、18年2月期2桁増益予想
- 2018/2/1 08:34
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
クリーク・アンド・リバー社<4763>(東1)はクリエイティブ分野を中心にエージェンシー事業、プロデュース事業、ライツマネジメント事業を展開し、事業領域拡大戦略を加速している。18年2月期第3四半期累計は2桁増益だった。通期も2桁増益予想である。1月30日にはAI・ロボットベンチャーの台湾インツミットへの出資を発表した。株価は上値を切り下げる展開だが調整一巡感を強めている。
■クリエイティブ分野中心にエージェンシー事業やプロデュース事業を展開
クリエイティブ分野(映画・TV番組・ゲーム・Web・広告・出版等の制作)で活躍するクリエイターを対象としたエージェンシー(派遣・紹介)事業、プロデュース(制作請負・アウトソーシング)事業、ライツマネジメント(著作権管理)事業を展開している。17年2月期セグメント別売上高構成比は、日本クリエイティブ分野64%、韓国クリエイティブ分野12%、医療分野12%、その他11%だった。
収益面では医療分野の売上と利益が季節要因で第1四半期と第2四半期に偏重するため、全体としても上期の構成比が高い特性がある。主力の日本クリエイティブ分野は売上・営業利益とも拡大基調だ。新規事業分野は人件費などの費用が先行するが順次収益化を見込んでいる。なお韓国クリエイティブ分野のうちTVマーケット関連事業は新設会社に承継し、18年2月期第2四半期から持分法適用関連会社とした。連結売上高が剥落するが利益への影響は小さい。
■新規分野に積極展開
新規分野では、新規エージェンシー(建築、ファッション、シェフ、プロフェッサー)および新規サービス(JURISTERRA、プロフェッショナルメディア、VR Japan)に加えて、18年2月期第3四半期からチャットボット、ドローンを開始した。M&Aも積極活用して事業領域拡大戦略を加速している。
17年10月、AI・ロボットベンチャーの台湾インツミットが開発したAIプラットフォーム「SmartRobot」の日本での独占販売を開始すると発表した。17年12月には、さわかみ投信に対してAIプラットフォーム「SmartRobot」を活用したチャットポットを提供すると発表した。
そして1月11日に台湾インツミットと共同でAIを用いたシステム企画・開発・販売・運用・保守を行う新会社Idrasysを設立したと発表し、1月30日には台湾インツミットに出資したと発表した。
また17年12月には、メンズファッションブランド「QL Mansion Maker」を展開するプライベートワークス社の代表取締役社長の白井崇文氏と共同で、ファッションやライフスタイル関連のインフルエンサー・マネジメント事業およびメディア事業を行う新会社forGIFTを設立したと発表している。
■18年2月期3Q累計は2桁増益
今期(18年2月期)第3四半期累計の連結業績は、売上高が前年同期比1.4%増の202億95百万円、営業利益が10.2%増の14億86百万円、経常利益が18.2%増の14億83百万円、純利益が21.3%増の8億69百万円だった。
韓国のTVマーケット関連事業を持分法適用会社に異動した影響を除くと10%増収となり、内制化進展による売上総利益率改善で、積極採用に伴う人件費増加や移転関連費用の計上などを吸収した。売上総利益率は38.4%で3.2ポイント上昇、販管費比率は31.2%で2.7ポイント上昇した。営業外では持分法投資損失が減少した。
日本クリエイティブ分野は売上高が11.3%増の140億82百万円で、営業利益が1.5%増の8億20百万円だった。映像・ゲーム・Webの各領域におけるプロデュース事業が好調に推移した。韓国クリエイティブ分野は売上高が59.5%減の9億85百万円で、営業利益が55.8%減の4百万円だった。TVマーケット関連事業を持分法適用会社に異動した。
医療分野は売上高が6.1%増の29億29百万円で、営業利益が20.2%増の5億81百万円だった。慢性的な医師不足を背景に医師紹介事業が好調に推移した。その他事業は売上高が5.9%増の22億97百万円で、営業利益が72.7%増の80百万円だった。会計分野のエージェンシー事業が堅調に推移し、人材メディア事業の基盤構築が進展した。
新規分野の売上高は89%増の6億円、営業利益は1.4億円の赤字(前年同期は1.8億円の赤字)だった。ファッション、シェフ、プロフェッサーは投資が継続している。新規サービスのVR分野は、HMD「アイデアレンズ」の新機種の開発・販売計画に遅れが発生し、一般販売開始時期が18年春に延期の見込みとなった。
■18年2月期通期2桁増益・連続増配予想
今期(18年2月期)連結業績予想(4月6日公表)は、売上高が前期(17年2月期)比0.3%減の265億円、営業利益が11.8%増の18億円、経常利益が18.4%増の17億50百万円、純利益が12.0%増の10億円としている。配当予想は1円増配の年間10円(期末一括)で予想配当性向は21.0%となる。
日本クリエイティブ分野が好調に推移する。韓国のTVマーケット関連事業を持分法適用関連会社に異動した影響を除くと実質的に13%増収見込みである。利益面では積極的な人材投資などで販管費が増加するが、内制化進展による売上総利益率改善や新規事業分野の収益化も寄与して2桁増益予想である。なお18年9月竣工予定オフィスビル(東京都港区)にグループ拠点を移転・統合予定である。このため敷金償却など関連費用の一部を計上予定である。
通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は、売上高が76.6%、営業利益が82.6%、経常利益が84.7%、純利益が86.9%である。医療分野の売上と利益が季節要因で上期に偏重する収益特性だが、日本クリエイティブ分野の好調が牽引し、通期ベースでも好業績が期待される。
■株価は調整一巡感
株価は17年7月の昨年来高値1538円から反落して上値を切り下げる形だが、1月18日の直近安値1032円から切り返して調整一巡感を強めている。
1月31日の終値1090円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS47円51銭で算出)は22~23倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間10円で算出)は0.9%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS265円51銭で算出)は4.0倍近辺である。時価総額は約243億円である。
週足チャートで見ると26週移動平均線が戻りを押さえる形だが、調整一巡して反発が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)