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日本エンタープライズは下値固め完了感、事業ポートフォリオ再構築を推進
- 2018/2/5 08:16
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
日本エンタープライズ<4829>(東1)は、17年12月に店頭アフィリエイトサービス事業の譲渡を発表して事業ポートフォリオ再構築を推進している。18年5月期は減額して減収・営業減益予想だが、自社サービスのクリエーション事業、受託サービスのソリューション事業から、EC分野やM2M/IoT分野へ事業領域を拡大する戦略だ。株価は下値固め完了感を強めている。
■コンテンツサービス事業とソリューション事業を展開
自社サービスのクリエーション事業(交通情報、ライフスタイル、エンターテインメントなどのモバイルコンテンツをキャリアの定額制サービスで配信するコンテンツサービス、およびビジネスサポートサービス、太陽光発電など)と、受託サービスのソリューション事業(システム受託開発・運用サービス、店頭アフィリエイトを中心とした広告代理サービス、海外サービスなど)を展開している。
事業ポートフォリオ再構築で17年12月に、店頭アフィリエイトサービス事業をテレステーションに譲渡(18年2月28日予定)すると発表した。中期成長に向けてM&A・アライアンスも積極活用し、ネイティブアプリの開発力強化、ゲームコンテンツ市場への本格参入、法人向け業務支援サービスの早期収益化、成長分野のM2M/IoTへの事業領域拡大などを推進する。
重点戦略としては、ヘルスケアアプリ「女性のリズム手帳」、総合電子書籍サービス「BOOKSMART」、フリマアプリ「Dealing」、道路・渋滞情報サービス「交通情報サービス」、メッセンジャーアプリ「Fivetalk」、クーポンアプリ「振ってクーポン」の6つのコンテンツプラットフォームを核としてサービス連携・拡充を推進する。
1月16日には子会社の会津ラボとエナリス<6079>が、福島県の再生可能エネルギー関連技術実証支援事業の一環として、ブロックチェーンと「SMART PLUG」を活用した「高齢者見守りサービス」の実証試験を18年2月から開始すると発表した。
■18年5月期2Q累計は減収減益
今期(18年5月期)第2四半期累計の連結業績は、売上高が前年同期比19.0%減の20億21百万円、営業利益が49.6%減の84百万円、経常利益が39.8%減の1億11百万円、純利益が35.2%減の45百万円だった。
売上高が2桁減収となり、売上総利益率は39.9%で1.0ポイント低下、販管費比率は35.8%で1.6ポイント上昇した。営業外収益では補助金収入が増加、特別損失では固定資産除却損および関係会社株式評価損が減少した。
クリエーション事業は、売上高が16.2%減の10億07百万円で、営業利益が28.4%減の2億99百万円だった。ビジネスサポイート事業は堅調だったが、コンテンツサービスにおけるキャリアプラットフォーム向けサービスが減少した。
ソリューション事業は、売上高が21.6%減の10億13百万円で、営業利益が36.0%減の15百万円だった。システム開発・運用サービスが堅調だったが、広告代理サービスの市場縮小、および海外売上が減少した。
■18年5月期通期は減額して減収・営業減益予想
今期(18年5月期)の連結業績予想は1月31日に売上高、営業利益、経常利益を減額修正、純利益を増額修正した。売上高は7億30百万円減額して前期(17年5月期)比16.5%減の40億40百万円で、営業利益は1億05百万円減額して24.5%減の1億45百万円、経常利益は25百万円減額して横ばいの2億30百万円、純利益は5百万円増額して11.1%増の1億10百万円とした。配当予想は前期と同額の年間2円(期末一括)としている。予想配当性向は73.8%となる。
キャリアプラットフォーム向けコンテンツ市場の縮小、豊洲市場への移転延期に伴う鮮魚EC「いなせり」への影響、中国における携帯電話販売の不採算販売抑制の影響、さらに店頭アフィリエイトサービスの事業譲渡などで売上高が計画を下回る。減収による売上総利益の減少で営業利益は減益見込みとなった。なお営業外での補助金収入の増加で経常利益は横ばい見込み、店頭アフィリエイトサービスの事業譲渡益1億43百万円の計上で純利益は増益見込みである。
■株価は下値固め完了感
なお2月2日に自己株式立会外買付取引(ToSTNeT―3)において自己株式48万株を取得した。
株価は17年12月の昨年来安値226円から切り返して下値固め完了感を強めている。
2月2日の終値244円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS2円71銭で算出)は90倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間2円で算出)は0.8%近辺、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS122円14銭で算出)は2.0倍近辺である。時価総額は約95億円である。
週足チャートで見ると26週移動平均線突破の動きを強めている。出直りを期待したい。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)