【編集長の視点】加賀電子は業績の再上方修正、年間配当の再増配を見直し売られ過ぎ訂正買いが再燃し急反発

 加賀電子<8154>(東1)は、前日15日に63円高の2527円と急反発して引け、取引時間中には2652円まで買い進まれ、世界同時株安に巻き込まれて3000円大台から突っ込んで2月14日につけた直近安値2539円から100円超高し、上昇トレンドへの転換を強く示唆した。今年2月6日に発表された今2018年3月期業績の2回目の上方修正と、同じく今期配当の2回目の増配を見直し売られ過ぎ訂正買いが再燃した。3年間の目標総額を50億円とするベンチャー投資活動で、産業用ドローン関連や女性活躍・子育て支援関連のベンチャー企業などに相次いで出資したことも、成長可能性を高めるとしてフォローの材料視されている。

■主力事業のEMSビジネスが好調に推移し半導体・情報機器の販売も牽引

 同社の今3月期業績は、昨年10月に上方修正されたが、今回は、売り上げを同上方修正値を据え置き2320億円(前期比2.1%増)としたものの、利益については、営業利益を5億円引き上げて80億円(同16.3%増)、経常利益を5億円アップさせて87億円(同18.5%増)、純利益を1億5000万円上乗せして64億5000万円(同7.5%減)とした。2月6日に開示した今期第3四半期業績が、遊技機関連市場向けは依然として低調推移しているが、主力事業の電子機器向けのEMS(開発・生産受託)ビジネスや半導体・情報機器の販売、住宅向け関連商材などの販売が好調に推移して、昨年10月に上方修正した今3月期通期予想業績に対して高利益進捗して着地しており、再上方修正に踏み切った。なお純利益は、前期に税効果会計の影響で法人税負担が軽減されており、今期はこれが一巡して小幅減益転換するが、経常利益は、前期の過去最高を連続更新する。

 今期配当は、昨年11月に中間配当を期初予想の25円から30円(普通配当25円、特別配当5円)に増配したが、今回は、期末配当を期初予想の35円から40円(普通配当35円、特別配当5円)へ引き上げ、年間配当を70円(普通配当60円、特別配当10円、前期実績60円)に再増配、5期連続の増配とする。

 なお同社のベンチャー投資活動は、中期経営計画で強化・開拓を目指す重点市場(車載、環境、通信、産業機器、アミューズメント)や新規事業分野(医療・ヘルスケア、素材)でベンチャー企業を発掘してそのユニークは発想力と技術力を結集、新たなイノベーションを創出して同社の持続的成長を推進することを目的にしている。とくに昨年10月は、住友金属鉱山<5713>(東1)とハイブリッド自動車や電気自動車向けの半導体材料であるSiC(シリコンカーバイド)基板を共同開発する合弁契約を締結したことを手初めにラッシュとなり、子育て中の女性が再就労しやすい託児機能付きワーキングスペースを展開するママスクエア(東京都港区)、ドローン操縦士の技術教育を行う「ドローンスクールジャパン」を全国22拠点で展開するスカイロボ(東京都中央区)、IoT化に必要なセンサデバイスやAI(人工知能)解析などをワンストップで開発するスカイディスク(東京都千代田区)などへの出資案件が続いた。

■PER11倍台、配当利回り2.7%と陰の極を示し25日線を上抜き昨年来高値を目指す

 株価は、昨年8月に発表した今期第1四半期(2017年4月~6月期)のV字回復業績を手掛かりにストップ高を交えて2970円高値まで500円高し、昨年10月のベンチャー出資案件ラッシュでは、昨年来高値3780円まで2段上げした。年明け後は、3000円大台の中段固めから世界同時株安の波及で急落、今期業績の再上方修正・再増配でいったん持ち直したものの、市場の先行き不透明化に足を引っ張られ再度の下げに見舞われた。PERはわずか11倍台、PBRは1倍ソコソコ、配当利回りは2.66%と割安で、テクニカル的にも25日移動平均線から10%超のマイナスかい離と売られ過ぎの陰の極を示唆しており、このまま25日線を上抜き、3000円大台奪回で弾みをつけ昨年来高値にキャッチアップしよう。(本紙編集長・浅妻昭治) 

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