翻訳センターは売り一巡して戻り歩調、18年3月期3Q累計営業減益だが通期2桁営業増益・増配予想

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 翻訳センター<2483>(JQ)は日本最大規模の言語サービス会社である。専門性の高い企業向け翻訳サービスを主力として通訳や国際会議運営なども展開している。18年3月期第3四半期累計は営業減益だったが、通期は2桁営業増益・連続増配予想である。株価は売り一巡して戻り歩調だ。

■企業向け翻訳サービスを主力として通訳や国際会議運営なども展開

 特許・医薬・工業・法務・金融分野など専門性の高い企業向け翻訳サービスを主力として、派遣、通訳、語学教育、コンベンションなどに業容を拡大している。

 17年3月期セグメント別売上高構成比は翻訳事業69%(特許分野18%、医薬分野24%、工業・ローカライゼーション分野20%、金融・法務分野7%)、派遣事業9%、通訳事業8%、語学教育事業2%、コンベンション事業11%、その他2%だった。収益面では下期の構成比が高くなる傾向があるとしている。

 翻訳事業は専門性の高い産業翻訳に特化している。グループ全体で約6300名の登録者を確保し、対応可能言語は約75言語と国内最大規模である。また取引社数は約4400社、年間受注件数は約6万4000件に達している。翻訳サービスの需要は、企業のグローバル展開も背景として知的財産権関連、新薬開発関連、新製品開発関連、海外展開関連、IR・ディスクロージャー関連を中心に拡大基調である。

 第3次中期経営計画では、目標数値として18年3月期売上高110億円、営業利益7億50百万円、純利益4億50百万円、ROE10%以上を掲げている。また営業利益率については中期的に8%を目指すとしている。

 17年10月にはフュートレック<2468>から、みらい翻訳の株式を13%取得、メディア総合研究所の株式を100%取得(子会社化)すると発表した。みらい翻訳は精度の高い機械翻訳技術の開発、メディア総合研究所は翻訳事業・システムソリューション事業を展開している。

■18年3月期3Q累計営業減益だが、通期2桁営業増益・連続増配予想

 今期(18年3月期)の連結業績予想(11月9日に増額修正)は、売上高が前期(17年3月期)比3.7%増の106億円、営業利益が11.8%増の7億80百万円、経常利益が11.5%増の7億80百万円、純利益が19.2%増の5億30百万円としている。

 コンベンション事業は前期の大型案件の反動で減少するが、主力の翻訳事業の好調が牽引する。子会社化したメディア総合研究所の新規連結も寄与して増収・2桁営業増益予想である。配当予想は3円増配の年間58円(期末一括)としている。4期連続増配で予想配当性向は18.4%となる。

 第3四半期累計は、売上高が前年同期比1.3%減の76億45百万円、営業利益が9.4%減の5億16百万円、経常利益が10.5%減の5億21百万円、純利益が0.5%増の3億64百万円だった。

 コンベンション事業における前期大型案件の反動で減収・営業減益だが、主力の翻訳事業は好調だった。売上総利益率は42.6%で2.1ポイント上昇、販管費比率は35.8%で2.7ポイント上昇した。

 セグメント別売上高は、翻訳事業が3.6%増収(特許分野が4.8%増収、医薬分野が10.9%増収、工業・ローカライゼーション分野が3.5%減収、金融・法務分野が4.5%減収)、派遣事業が28.2%増収、通訳事業が21.9%増収、語学教育事業が5.0%減収、コンベンション事業が57.2%減収、その他が8.8%増収だった。

 通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が72.1%、営業利益が66.2%、経常利益が66.8%、純利益が68.7%である。やや低水準の形だが、下期の構成比が高い収益特性を考慮すれば通期ベースで好業績が期待される。

■株価は売り一巡して戻り歩調

 株価は1月22日の昨年来高値4560円から、地合い悪化も影響して急反落したが、2月6日の直近安値3725円から切り返している。売り一巡して戻り歩調だ。

 2月19日の終値4060円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS314円64銭で算出)は12~13倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間58円で算出)は1.4%近辺、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS2064円69銭で算出)は2.0倍近辺である。時価総額は約68億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線を素早く回復した。売り一巡して戻りを試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)
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