【鈴木雅光の投信Now】銀行の人気ファンドランキングを見て思うこと

 メガバンクなど主だった銀行のホームページには、「投資信託ランキング」といって、販売額や販売件数、騰落率、純資産総額など、いくつかの切り口でランキングが表示されています。銀行窓口で投資信託を購入する際、このランキングをファンド選びの判断材料にしている人もいるでしょう。

 ただ、このランキングを見るにつけ思うのは、このランキング上位にあるファンドを、個人が自分の意志で買いに来ているのかということです。

某メガバンクの販売額ランキングを見てみましょう。

1位 新光US-REITオープン
2位 グローバル・ヘルスケア&バイオ・ファンド
3位 ニッセイJ-REITファンド
4位 米国バンクローン・オープン
5位 eMAXIS日経225インデックス
6位 UBSオーストラリア債券オープン
7位 日本厳選プレミアム株式オープン
8位 三菱UFJ米国配当成長株ファンド
9位 三菱UFJ Jリートオープン
10位 フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド

米国のリートやヘルスケア関連、日本のリート、オーストラリアの債券、そして米国のハイ・イールド債というように、非常に限定された資産クラスに投資するファンドがずらりと顔を並べています。

銀行で投資信託を購入する人の多くは、証券会社で株式を売買しているような、投資経験の長い個人はむしろ少数派で、定年退職金などの運用先として、初めて投資信託を購入している人が多いと思われます。

この手の個人は、自分で複数資産に分散したポートフォリオを、個別ファンドの組み合わせで構築する経験や知識がないので、本来なら1本のファンドで複数資産に分散したバランス型を購入するのが無難ですが、上記ランキングを見た限り、バランス型ファンドは1本も入っていません。それどころか、特定の資産のみで運用するファンドばかりが人気を集めています。

恐らく、販売窓口の担当者が、適当に複数ファンドへの分散投資を勧めて買わせるのでしょうが、定期的なリバランスをはじめとするアフターケアは期待できません。

つまり銀行の窓口で、何のアフターケアも期待できないままに複数ファンドを購入するくらいなら、世界中の株式や債券に分散投資する、優良なバランス型ファンドを1本購入した方が、はるかに合理的な投資行動といえるのです。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■内蔵インヒールで自然な足長効果、フォーマルからビジネスまで対応  青山商事<8219>(東証プラ…
  2. ■デュアル周波数対応で通信の安定性を確保  世界的なDX進展を背景に京セラ<6971>(東証プライ…
  3. ■リアルタイム文字起こしと自動要約で議事録作成を効率化  シャープ<6753>(東証プライム)は2…
2025年4月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930  

ピックアップ記事

  1. ■低PER・高配当利回り、不動産・銀行株が市場を牽引  3月の東京都区部消費者物価指数が前年比2.…
  2. ■新年度相場のサブテーマは「物価」?!  米国のトランプ大統領は、「壊し屋」と奉る以外にない。その…
  3. ■新年度相場の初動として注目される値上げ関連銘柄  4月予定の値上げは、原材料価格上昇や物流費増加…
  4. どう見るこの相場
    ■トランプ関税懸念も『総論弱気、各論強気』の市場展開  「トランプ・ディール(取引)」と「トランプ…
  5. ■名変更会社の局地戦相場の待ち伏せ買いも一考余地  今年4月1日以降、来年4月1日まで社名変更を予…
  6. ■あの銘柄が生まれ変わる!市場を揺るがす社名変更、次なる主役は?  「トランプ・トレード」が、「ト…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る