三栄建築設計は調整一巡して戻り試す、18年8月期増収増益・増配予想

 三栄建築設計<3228>(東1)は戸建住宅分譲を主力とする「住宅総合生産企業」である。中期成長戦略として「メルディアブランド」の幅広い浸透を目指し、海外にも積極展開している。18年8月期は子会社のシード平和も寄与して増収増益・増配予想である。積極的な事業展開で中期的にグループ収益拡大が期待される。株価は1月高値圏から反落して水準を切り下げたが、調整一巡して戻りを試す展開が期待される。

■戸建住宅分譲を主力とする住宅総合生産企業

 戸建住宅分譲事業を主力として、分譲住宅、注文住宅から、分譲マンションや賃貸物件まで、住宅に関する「すべて」を自社で生産できる「住宅総合生産企業」である。

 外観・内観のデザインや間取りなどが1棟ごとに異なる「同じ家は、つくらない」をポリシーとして、東京23区を中心とした都心部エリアにおける都市型木造3階建戸建住宅のリーディングカンパニーである。

 16年10月にグループ名称を三栄建築設計グループから「メルディアグループ」に変更した。グループ企業は、首都圏郊外部で戸建分譲住宅を販売する三建アーキテクト、関西を地盤として一般建築請負や戸建住宅分譲を展開するシード平和<1739>、ホームインスペクション事業のサン住宅品質検査、およびASEAN近隣諸国に出資するためプレサンスコーポレーション<3254>と共同で16年10月設立したプロスエーレなどである。

 なお17年8月期の販売件数は、2階建住宅が16年8月期比171件増の664件、3階建住宅が41件増の822件、販売用アパートが41件増の68件、マンション分譲が262件増の348件、所有不動産が16件増の27件、ロサンゼルス不動産販売が1件増の9件、土地売が36件増の52件だった。

■「メルディアブランド」の浸透目指す

 首都圏エリア、中京圏エリア、関西エリアに積極展開して「メルディアブランド」の幅広い浸透を目指している。中長期展望としては、三大都市圏における戸建住宅供給棟数5000棟、売上高2000億円企業を目指している。

 17年2月には京都市中京区に「メルディアホテル京都二条」を開業し、メルディアグループとしてホテル事業に本格参入した。

■海外にも積極展開

 中期成長戦略として海外にも積極展開し、ベトナム・ホーチミン市のホテル開発事業(19年4月ホテル運営開始予定)、米国・カリフォルニア州イングルウッド不動産開発プロジェクト(プレサンスコーポレーションと共同、19年12月竣工予定)、ベトナム・ハノイ市のホテル・大型分譲マンション・オフィスビル開発事業、ベトナム・ホーチミン市におけるホテル・大型分譲マンション・オフィスビル開発事業(プロスエーレが現地不動産デベロッパーと共同で推進、18年7月着工予定)に参画している。

 17年12月には、関係会社プロスエーレを通じてベトナム・ホーチミン市における分譲住宅開発事業「ノーチャンロン分譲マンション開発プロジェクト」に参画すると発表した。また17年12月には、ベトナムにおける不動産開発事業を強化するため、ベトナム・ハノイ市所在のIDS社に出資すると発表した。

■18年8月期増収増益・増配予想

 今期(18年8月期)連結業績予想(10月13日公表)は売上高が前期(17年8月期)比16.4%増の1171億11百万円、営業利益が10.3%増の104億77百万円、経常利益が9.9%増の100億18百万円、純利益が9.0%増の65億86百万円としている。配当予想は4円増配の年間48円(期末一括)としている。予想配当性向は15.5%となる。

 第1四半期は売上高が前年同期比30.9%増の158億61百万円、営業利益が31.1%減の5億73百万円、経常利益が47.0%減の4億71百万円、純利益が48.1%減の3億31百万円だった。
 
 大型収益不動産の売却や子会社シード平和のマンション分譲などで大幅増収だが、利益率の高くない大型収益不動産の売却、子会社シード平和の売上構成比の上昇、広告宣伝費の先行、大型収益不動産売却による仲介手数料の増加、人材確保などの先行投資の影響で大幅減益だった。

 通期ベースでは、積極的な事業展開で増収増益予想である。シード平和における関西大手デベロッパーからの受注拡大や戸建分譲供給体制構築も寄与する。通期会社予想に対する第1四半期の進捗率は低水準の形だが、主力の分譲戸建住宅の引き渡しが下期に偏重する収益特性のためネガティブ要因とはならない。また通期業績予想達成に必要な棚卸在庫はほぼ100%確保している。

 通期ベースで好業績が期待され、さらに中期的にグループ収益拡大が期待される。

■株主優待制度は毎年2月末に実施

 株主優待制度は毎年2月末現在100株以上所有株主を対象として実施している。100株以上1000株未満所有株主に対して1kgお米券2枚、1000株以上所有株主に対して1kgお米券8枚を進呈する。

■株価は調整一巡して戻り試す

 株価は第1四半期業績を嫌気する形で1月高値2704円から急反落し、地合い悪化も影響して水準を切り下げたが、2月14日の直近安値1987円から切り返して調整一巡感を強めている。

 2月23日の終値2159円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS310円44銭で算出)は7倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間48円で算出)は2.2%近辺、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1542円19銭で算出)は1.4倍近辺である。時価総額は約458億円である。

 週足チャートで見ると52週移動平均線近辺で下ヒゲを付けて切り返している。調整一巡して戻りを試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. 【先人の教えを格言で解説!】 (犬丸正寛=株式評論家・平成28年:2016年)没・享年72歳。生前に…
  2. ■2024年度上半期163件で過去最多更新  人手不足による倒産が急増している。帝国データバンクの…
  3. ■新たなモビリティ社会実現に向けた取り組み加速  トヨタ自動車<7203>(東証プライム)は10月…
2024年11月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

ピックアップ記事

  1. ■化粧品大手は業績下方修正も、電鉄各社は上方修正で活況  トランプ次期大統領の影響を受けない純内需…
  2. どう見るこの相場
    ■金利敏感株の次は円安メリット株?!インバウンド関連株に「トランプ・トレード」ローテーション  米…
  3. ■金利上昇追い風に地銀株が躍進、政策期待も後押し  金利上昇の影響を受けて銀行株、特に地方銀行株の…
  4. ■トリプルセット行、ダブルセット行も相次ぐ地銀銀株は決算プレイで「トランプトレード」へキャッチアップ…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る