- Home
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
- アルコニックスは地合い悪化の売り一巡、18年3月期増額して大幅増益・増配予想
アルコニックスは地合い悪化の売り一巡、18年3月期増額して大幅増益・増配予想
- 2018/2/26 08:05
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
アルコニックス<3036>(東1)は商社機能と製造業を融合した「非鉄金属の総合企業」を目指している。18年3月期は増額して大幅増益・増配予想である。積極的な事業展開で中期的にも収益拡大が期待される。株価は地合い悪化の売りが一巡して上値を試す展開が期待される。
■商社機能と製造業を融合した「非鉄金属の総合企業」目指す
軽金属・銅製品(伸銅品、銅管など)、電子・機能材(レアメタル・レアアース、チタン・ニッケル製品など)、非鉄原料(アルミ・亜鉛地金など)、建設・産業資材(配管機材など)を取り扱う非鉄金属商社グループである。
レアメタル分野に強みを持つことも特徴だが、中期成長に向けて商社機能と製造業を融合した「非鉄金属の総合企業」を目指し、M&Aも積極活用して、非鉄金属の周辺分野も含めた川上(製造)~川中(流通)~川下(問屋)を網羅するビジネス展開を推進している。
■製造が利益の過半
17年3月期のセグメント別売上高構成比は、商社流通87%(電子機能材事業が28%、アルミ銅事業が59%)、製造13%(装置材料事業が8%、金属加工事業が5%)だった、経常利益の構成比は商社流通47%(電子機能材事業が27%、アルミ銅事業が20%)、製造53%(装置材料事業が5%、金属加工事業が48%)だった。
レアメタル・レアアースなど非鉄金属の市況、持分法投資損益、M&Aに伴うのれん償却や負ののれん益なども収益変動要因となるが、積極的なM&Aで製造の利益が連結業績の過半を占めるようになった。
中期経営計画(18年3月期~20年3月期、1年ごとに見直すローリング方式)では、経営目標値を20年3月期の経常利益65億円超、純利益47億円超、ROE13~15%程度、NET/DER1.0~1.3倍程度としている。
3年間の投融資総額はM&A・事業投資を中心に250億円の計画としている。商社機能と製造業を融合した「非鉄金属の総合企業」を目指して積極投資を推進する方針だ。グループのシナジー効果を高めて中期的に収益拡大基調が期待される。
■18年3月期3Q累計大幅増収増益
今期(18年3月期)第3四半期累計の連結業績は売上高が前年同期比25.6%増の1837億06百万円、営業利益が86.2%増の54億82百万円、経常利益99.7%増の59億15百万円、そして純利益が79.4%増の42億50百万円だった。
非鉄市況の上昇や主要取引先の需要回復など、事業環境の改善で商社流通の取り扱いが拡大し、国内外の製造子会社の好調で製造も大幅伸長した。17年4月連結子会社化した富士プレスなどM&A効果も寄与した。売上総利益率は7.6%で2.3ポイント上昇、販管費比率は4.7%で0.6ポイント低下した。
セグメント経常利益は、商社流通-電子機能材料が73.0%増の11億80百万円、商社流通-アルミ銅事業が53.9%増の8億96百万円、製造-装置材料事業が6.0倍の6億35百万円、製造-金属加工事業が2.0倍の32億03百万円だった。経常利益に占める製造の割合は6割強に上昇した。
■18年3月期業績予想は2回目の増額修正、配当も増額修正
18年3月期予想については、2月9日に連結業績予想を増額修正(17年11月に続いて2回目)し、配当予想も増額修正した。
修正後の連結業績予想は、売上高が17年3月期比20.3%増の2430億円、営業利益が67.9%増の70億円、経常利益が70.0%増の74億円、純利益が71.9%増の53億円としている。
事業環境の改善、円安効果、自動車・半導体関連の需要拡大で、特に製造が大幅伸長する見込みだ。セグメント別経常利益は商社流通-電子機能材料が25.4%増の16億30百万円、商社流通-アルミ銅事業が10.4%増の10億60百万円、製造-装置材料事業が18.2%増の7億80百万円、製造-金属加工事業が1.3%増の39億30百万円としている。なお主要取引先である神戸製鋼所グループの品質問題の影響は限定的としている。
通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が75.6%、営業利益が78.3%、経常利益が79.9%、純利益が80.2%である。
配当予想は2月9日に、期末6円増額して年間32円(第2四半期末13円、期末19円)とした。17年9月1日付の株式2分割を考慮して前期実績の年間44円を22円に換算すると10円増配となる。予想配当性向は15.6%となる。
■株価は地合い悪化の売り一巡して上値試す
株価(17年9月1日付で株式2分割)は、2月2日に上場来高値2690円まで上伸した。その後一旦反落したが、2月9日の2187円から切り返している。
2月23日の終値2442円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS205円00銭で算出)は12倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間32円で算出)は1.3%近辺、そして前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1255円61銭で算出)は1.9倍近辺である。時価総額は約631億円である。
週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインの形だ。地合い悪化の売りが一巡して上値を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)