トランザスは18年1月期増収増益予想で19年1月期も収益拡大期待、株価は反発へ

 トランザス<6696>(東マ)は、IoT端末・機器を製造販売するターミナルソリューション事業を展開している。中期成長に向けてウェアラブル端末を育成している。18年1月期増収増益予想で、19年1月期も収益拡大が期待される。株価は1月の戻り高値から反落して安値を更新する形となったが、ほぼ底値圏だろう。地合い悪化の影響が一巡して反発が期待される。

■STBやウェアラブル端末などIoT端末・機器メーカー

 17年8月東証マザーズに新規上場した。STB(受信端末装置)やウェアラブル端末など、IoT(モノのインターネット)端末・機器を製造販売するターミナルソリューション事業を展開している。

 VOD(ビデオ・オン・デマンド)などの映像受信端末装置であるSTBを、特定の機能に絞った単機能型の低価格コンピュータとして、ホテルでフロントが一括管理するルームコントロールシステムに活用するなど、ホテル・民泊・飲食業、物流業、製造業などの分野向けを中心に事業展開している。製品の開発・製造・販売を一気通貫で行う垂直統合型ビジネスモデルで、ファブレス(製造を台湾企業に委託)も特徴としている。

 中期成長に向けて17年1月、エンタープライズ向けウェアラブル端末「Cygnus」の販売を開始した。カメラ、無線LAN機能、マイク・スピーカを搭載し、バーコード、QRコード、NFCタグの読み取りも可能なウェアラブル端末である。物流業や製造業ではPOSシステムに連動したオーダー端末としても使用できる。

 ウェアラブル端末「Cygnus」は、オムロン<6645>製のロボットの操作用端末として活用されている。また17年12月には、世界的モニターブランド「BenQ」を展開する台湾Qisda社のグループ会社を通じて、台湾のレストランにおいてオーダー端末として採用された。18年1月には、ハウステンボスが運営する「変なホテル ハウステンボス」の運営スタッフ連絡用に採用された。

 18年1月期第3四半期累計の事業別売上構成比は、IoT端末(ターミナル)を製造販売するIOTソリューション73%(STBの映像配信分野65%、デジタルサイネージの販売支援分野7%、ウェアラブル端末の作業支援分野1%)、およびIT業務支援(システム受託開発やアプリケーションソフト開発など)27%である。

■18年1月期増収増益予想、19年1月期も収益拡大期待

 18年1月期の連結業績予想は、売上高が12億52百万円、営業利益が2億56百万円、経常利益が2億43百万円、純利益が1億66百万円としている。17年1月期単体業績との比較で売上高が19.1%増収、営業利益が44.6%増益、経常利益が32.1%増益、純利益が49.5%増益の予想である。

 第3四半期累計は、売上高が7億15百万円、営業利益が87百万円、経常利益が79百万円、純利益が51百万円だった。前年同期の単体業績との比較で、売上高は1.4%増収だが、営業利益は9.4%減益、経常利益は23.3%減益、純利益は30.1%減益だった。売上構成変化で売上原価が増加した。また営業外での上場関連費用の計上も影響した。

 通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高57%、営業利益34%、経常利益33%、純利益31%だった。低水準だが、受注残高が想定水準であり、端末の納品が第2四半期と第4四半期に偏る傾向があることを考慮すれば、通期予想の達成は可能だろう。そして19年1月期も収益拡大が期待される。

■株価はほぼ底値圏

 株価は1月31日の戻り高値2595円から反落し、地合い悪化の影響で安値を更新する形となった。17年12月2013円を割り込んで2月9日に2001円まで調整した。その後は切り返しの動きを強めている。

 2月23日の終値は2170円、前期推定連結PERは33倍近辺、時価総額は約68億円である。週足チャートで見ると13週移動平均線を割り込んだが、2000円近辺が下値支持線となりそうだ。ほぼ底値圏だろう。地合い悪化の影響が一巡して反発が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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