TACは地合い悪化の影響が一巡して戻り歩調、18年3月期3Q累計大幅増益で通期も2桁営業増益・連続増配予想

 TAC<4319>(東1)は「資格の学校」運営を主力として、中期成長に向けて新事業領域への展開を強化している。18年3月期第3四半期累計は大幅増益だった。そして通期も2桁営業増益・連続増配予想である。なお2月28日に子会社TAC医療の事業休止を発表した。人材確保が難しいと判断した。株価は地合い悪化の影響が一巡して戻り歩調だ。

■財務・会計分野を中心に「資格の学校」を運営、新規事業領域も展開

 財務・会計分野(簿記検定・公認会計士など)、経営・税務分野(税理士・中小企業診断士など)、金融・不動産分野(宅建・不動産鑑定士・FPなど)、法律分野(司法試験・司法書士など)、公務員・労務分野(社会保険労務士・国家総合職など)、その他分野(情報・国際、医療・福祉など)といった幅広い分野で「資格の学校」を運営している。また法人研修事業、出版事業、人材事業も展開している。

 17年3月期セグメント別売上高構成比(連結調整前)は個人教育事業60%、法人研修事業20%、出版事業16%、人材事業3%だった。

 M&Aも積極活用して、医療事務スタッフ派遣事業、診療報酬請求事務請負事業、介護系資格取得教室、企業人材・企業経営アドバイザー検定および対策講座など、新事業領域への展開を強化している。17年9月には一般社団法人日本金融人材育成協会を設立した。

 なお2月28日、子会社TAC医療の全事業を休止すると発表した。人材確保が難しく、人材確保のために要する費用が収益に見合わない状況が続くと判断した。

■四半期業績には季節変動要因

 四半期業績は資格講座の本試験実施・合格発表の時期との関係などで季節変動の特徴がある。第2四半期(7~9月)と第3四半期(10~12月)の公認会計士・税理士講座は、翌年受験のための受講申込が集中する時期となるため、現金ベース売上高が突出して多くなるとともに、翌四半期に向かって前受け金として繰り越されることから、発生ベース売上高の増加が少なくなる傾向がある。

 また第4四半期(1~3月)から第1四半期(4~6月)にかけては、夏・秋の本試験時期に向けて全コースが出揃う時期にあたり、稼働率の上昇から前受金戻入額が増加することを通じて発生ベース売上高が増加する傾向にある。こうした売上の傾向に対して、売上原価や営業費用は毎月一定額計上されるため、四半期ごとの営業利益が変動しやすい。

■18年3月期3Q累計大幅増益で通期も2桁営業増益・連続増配予想

 今期(18年3月期)連結業績予想(5月15日公表)は、売上高が前期(17年3月期)比2.3%増の209億円、営業利益が13.6%増の8億10百万円、経常利益が12.6%増の7億80百万円、純利益が10.2%減の4億40百万円としている。

 純利益は特別利益が一巡して減益予想だが、各事業とも堅調に推移し、適切な経費コントロールも寄与して2桁営業増益・経常増益予想である。配当予想は1円増配の年間5円(第2四半期末2円、期末3円)としている。連続増配予想で、予想配当性向は21.0%となる。

 第3四半期累計は、売上高が前年同期比2.8%増の158億38百万円、営業利益が43.7%増の8億88百万円、経常利益が37.7%増の8億33百万円、純利益が24.6%増の5億37百万円だった。

 売上面は個人教育事業が2.7%増収、法人研修事業が4.3%増収、出版事業が0.4%増収、人材事業が6.2%増収と堅調だった。利益面では、人件費を中心に営業費用が増加したが、棚卸資産の廃棄に備えて設定する引当金等の純繰入額が減少したことも寄与して大幅営業増益だった。差引売上総利益率は42.2%で1.7ポイント上昇、販管費比率は36.6%で0.2ポイント上昇した。

 教育事業の受講者数は、個人が0.5%減の11万3308人、法人が11.4%増の6万8630人、合計が3.7%増の18万1938人だった。公務員・労務分野が8.9%増、金融・不動産分野が5.8%増、情報・国際/医療・福祉/その他分野が5.3%増、法律分野が2.2%増と好調だった。財務・会計分野は1.1%減、経営・税務分野は4.2%減だった。

 四半期業績が変動する季節要因があるが、通期ベースでも好業績が期待される。

■株価は地合い悪化の影響が一巡して戻り歩調

 株価は水準を切り下げる場面があったが、2月14日の290円から切り返している。地合い悪化の影響が一巡して戻り歩調だ。

 2月28日の終値329円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS23円78銭で算出)は13~14倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間5円で算出)は1.5%近辺、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS267円76銭で算出)は1.2倍近辺である。時価総額は約61億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線近辺から切り返している。サポートラインを確認した形だ。戻りを試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■シスルナ経済圏構築に向け、グローバルなパートナーシップを強化  ispace(アイスペース)<9…
  2. 【先人の教えを格言で解説!】 (犬丸正寛=株式評論家・平成28年:2016年)没・享年72歳。生前に…
  3. ■物価高・人手不足が直撃、倒産件数29カ月連続で増加  帝国データバンクの調査によると、倒産件数が…
2024年11月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

ピックアップ記事

  1.  暖房機器、除雪商品などを展開し割安放置が目立つセクターにホームセンター株がある。PBRが1倍を割…
  2. ■背広の売れ行きが映す街角の景気シグナル  街角の景気実感を分析し、景気実態を明らかにする経済指標…
  3. ■化粧品大手は業績下方修正も、電鉄各社は上方修正で活況  トランプ次期大統領の影響を受けない純内需…
  4. どう見るこの相場
    ■金利敏感株の次は円安メリット株?!インバウンド関連株に「トランプ・トレード」ローテーション  米…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る