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ワイヤレスゲートはほぼ底値圏、18年12月期2桁増益予想
- 2018/3/1 07:49
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ワイヤレスゲート<9419>(東1)はワイヤレス・ブロードバンドサービスを主力としている。中期成長に向けてWi-Fiインフラ構築やIoTプラットフォームなどBtoB事業を拡大する方針だ。17年12月期は減収減益だったが、利益が計画を上回った。そして18年12月期は2桁増益予想である。株価は水準を切り下げたが、ほぼ底値圏だろう。
■ワイヤレス・ブロードバンド事業が主力
通信事業者からインフラを借り受けてワイヤレス・ブロードバンドサービス(Wi-Fi、WiMAX)を提供するMVNO(仮想移動体通信事業者)である。
17年12月期事業別売上構成比は、ワイヤレス・ブロードバンド事業(BtoC事業)が97%(モバイルインターネットサービス91%、公衆無線LANサービス5%、オプションサービス1%)で、ワイヤレス・ビジネスドメイン事業(BtoB事業)が3%(認証プラットフォームサービス1%、その他法人向けサービス1%)だった。販売チャネルはヨドバシカメラと携帯電話販売最大手ティーガイアを主力としている。
個人向けワイヤレス・ブロードバンド事業は有料会員に対する月額課金収入、法人向けWi-Fiインフラ事業はアクセスポイント管理(クラウド管理)に対する月額課金収入が主力である。有料会員数およびアクセスポイント数の積み上げに伴って収益が拡大するストック型ビジネスモデルである。株主還元についてはDOE(株主資本配当率)を重視し、機動的かつ柔軟な自社株買いも実施する方針としている。
■中期成長に向けてBtoB事業を拡大方針
中期経営計画「ワイヤレスゲート2020年ビジョン中期経営計画」では、経営目標値に20年12月期売上高150億円~200億円規模、営業利益20億円~30億円規模、営業利益率13%~15%程度を掲げている。
事業戦略としては、安定収益源であるBtoC事業を堅持(Wi-Fiインフラの強化、通信サービスの再編成、通信サービスと親和性の高い周辺機器ベンダーとの協業、通信サービスの卸販売などによる販売経路の多様化)しつつ、成長事業であるBtoB事業に経営資源を集中投資(持続可能なフリーWi-Fi環境の構築、セキュアで高速・大容量な通信インフラの構築、投資を含めたビジネスアライアンス推進)する。また安定的な配当を行いつつ、中期的な企業価値の増大を目指す。
BtoB事業分野では、14年11月スペインのFon社および日本法人フォン・ジャパンと業務協力し、15年11月フォン・ジャパンを持分法適用関連会社化している。Fon社のルータを活用して国内Wi-Fiエリア構築を推進する。
16年9月モバイル・インターネットキャピタルと合弁でLTE-Xを設立し、産業用IoTプラットフォーム事業に本格参入した。17年9月にはLTE-XがVAIO社とLTE over Wi-Fi技術を活用したセキュリティソリューションの共同開発で業務提携した。
17年12月には、BeaconおよびIoTマネージメントプラットフォームを提供するTangerine社に追加出資した。Wi-Fi事業における業務提携を推進する。
■17年12月期は減収減益だが利益が計画超
17年12月期連結業績は、売上高が16年12月期比3.3%減の118億30百万円、営業利益が26.2%減の9億22百万円、経常利益が28.8%減の7億82百万円、純利益が33.5%減の4億61百万円だった。配当は1円増配の年間28円(期末一括)とした。配当性向は63.1%である。
売上面では、ワイヤレス・ビジネスドメイン事業(BtoB事業)はLTE-Xの業務展開本格化も寄与して順調に拡大したが、ワイヤレス・ブロードバンド事業(BtoC事業)が競争激化などでやや低調だった。新たなSIMサービス投入を見送ったことも影響して売上高は計画を下回り減収だった。
営業利益は減益だったが、期初計画を大幅に上回った。事業ポートフォリオ転換に向けてBtoB事業に経営資源を集中投資しているが、新たなSIMサービス投入を見送ったため関連経費が発生せず、子会社LTE-Xのコストも想定を下回った。売上総利益率は24.2%で0.1ポイント低下、販管費比率は16.4%で2.3ポイント上昇した。
事業別売上高は、ワイヤレス・ブロードバンド事業が5.2%減の114億33百万円(モバイルインターネットサービスが4.7%減の107億46百万円、公衆無線LANサービスが12.9%減の5億87百万円、オプションサービスが6.7%減の1億円)で、ワイヤレス・ビジネスドメイン事業が78.1%増の3億02百万円(認証プラットフォームサービスが28.9%増の64百万円、その他法人向けサービスが98.4%増の64百万円)だった。その他は小型の紛失防止IoTデバイス「MAMORIO」が好調で6.2倍の94百万円だった。
■18年12月期は増収・2桁増益予想
18年12月期の連結業績予想(2月13日公表)は、売上高が17年12月期比1.7%増の120億34百万円、営業利益が11.1%増の10億24百万円、経常利益が13.0%増の8億83百万円、純利益が24.1%増の5億72百万円としている。配当予想は1円増配の年間29円(期末一括)としている。予想配当性向は53.0%となる。
注力する取り組みとして、BtoC事業のワイヤレスゲートWi-Fi+WiMAXサービスでは費用対効果を見極めた会員獲得・退会防止策や販路拡大、ワイヤレスゲートSIMサービスではプリペイドSIMの販売、公衆無線LANサービスでは法人向けバルク販売、オプションサービスでは新しいサービスの投入を掲げている。
BtoB事業の認証プラットフォームは継続案件が前期と同程度で、新規受注は小型案件が中心としている。またその他法人向けサービスではLTE-X事業が順調に拡大する見込みだ。
コスト面では、BtoC事業の新サービス開始に伴う一時的費用の増加、BtoB事業で子会社LTE-Xの本格業務展開に伴うコスト増加を見込んでいるが、一方では施策見直しで顧客獲得・退会防止関連コストを抑制する見込みだ。営業外費用ではフォン・ジャパンののれん償却(10年で約16億円を償却予定)を前期と同程度計上する。
■株価はほぼ底値圏
株価は地合い悪化も影響して2月14日の昨年来安値1103円まで水準を切り下げた。その後は1200円台に戻している。
3月28日の終値1234円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS54円71銭で算出)は22~23倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間29円で算出)は2.4%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS307円96銭で算出)は4.0倍近辺である。時価総額は約130億円である。
週足チャートで見ると26週移動平均線を割り込んだが、ほぼ底値圏だろう。反発が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)