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インフォマートは17年6月高値に接近、18年12月期大幅増収増益予想
- 2018/3/5 06:31
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
インフォマート<2492>(東1)は企業間電子商取引「BtoBプラットフォーム」を運営している。18年12月期大幅増収増益予想である。これを好感して株価は17年6月の上場来高値に接近している。上値を試す展開が期待される。
■企業間(BtoB)電子商取引プラットフォームを運営
企業間の商行為を電子化する企業間電子商取引プラットフォーム「BtoBプラットフォーム」として、企業間受発注業務をWeb上で行うBtoBプラットフォーム受発注、食の安全・安心の商品仕様書DBであるBtoBプラットフォーム規格書、企業間請求書発行・受取業務をWeb上で行うBtoBプラットフォーム請求書、BtoB専用の販売・購買システムであるBtoBプラットフォーム商談を運営している。
17年6月には受発注の新システム(卸・食品メーカー)の提供を開始、17年9月には無料で使えるBtoBプラットフォーム見積書の提供を開始した。17年11月にはBtoBプラットフォームが、一般社団法人クラウドサービス推進機構(CSPA)の「クラウドサービス認定プログラム」に認定された。
システムをネット経由で提供するクラウド型サービスであり、利用企業数増加に伴って月額課金のシステム使用料収入が拡大する。売上高の95%が月額システム使用料のストック型収益モデルである。配当政策は個別業績に応じた配当性向50%を基本方針としている。
■国内最大級のBtoBプラットフォームで利用企業数は増加基調
フード業界向けで外食と食材卸の間の受発注をWeb上で行うBtoBプラットフォーム受発注を主力として、全業界を対象とするBtoBプラットフォーム請求書の利用企業数も増加基調である。国内最大級のBtoBプラットフォームである。
17年12月末のBtoBプラットフォーム利用企業数(無料利用含む全業界ID数で集計、海外除く)は16年12月末比5万349社増加の17万5399社、事業所数(本社・支店・営業所・店舗)は7万6170事業所増加の48万727事業所、17年度の流通金額(全業界の受発注金額と請求書金額の合計)は4兆7203億円である。
受発注(外食・卸)は買い手企業数(外食)が330社増加の2356社、売り手企業数(卸)が2044社増加の3万1939社、17年6月提供開始の受発注(外食・食品メーカー)は買い手企業数(卸)が36社、売り手企業数(卸・食品メーカー)が387社である。システム連携は92社・111ソリューションである。
規格書は、買い手機能が108社増加の558社、卸機能が55社増加の592社、メーカー機能が79社増加の6264社である。
15年1月サービス開始した請求書の利用企業数合計は4万3655社増加の16万8056社(うち有料契約数は915社増加の2731社)である。また18年1月に利用企業数合計は17万社を突破した。
商談は、買い手企業数が107社増加の6962社、売り手企業数が158社減少の1554社である。
BtoB標準プラットフォームを実現するため、他社とのシステム連携戦略を強化して利用企業数100万社への普及を目指すとしている。またFinTech分野に関しては、請求書関連業務の新たなモデル作りのため各金融機関・パートナーとともに実証実験を推進する。
■18年12月期大幅増収増益予想
17年12月期の連結業績予想は、売上高が16年12月期比9.0%増の67億09百万円、営業利益が9.8%減の17億65百万円、経常利益が10.0%減の17億51百万円、純利益が68.1%減の3億84百万円だった。
各プラットフォームの利用企業数が順調に増加して増収基調に変化はないが、新システム「BtoBプラットフォーム受発注 卸会社と食品メーカー間」の立ち上げが遅れたこと、および「BtoBプラットフォーム請求書」の有料契約企業の稼働進捗が遅れたことなどで売上高、利益とも計画を下回った。開発投資の増加に伴うソフトウェア償却費の増加で減益だった。純利益は「BtoBプラットフォーム請求書」に関する減損損失も影響した。
配当は年間6円54銭(第2四半期末3円27銭、期末3円27銭)とした。17年1月1日付株式2分割を考慮して前期の11円80銭を5円90銭に換算すると、実質的に64銭増配となる。配当性向は194.6%となる。
18年12月期の連結業績予想は、売上高が17年12月期18.7%増の79億65百万円、営業利益が42.3%増の25億12百万円、経常利益が42.8%増の25億円、純利益が4.4倍の16億74百万円としている。
各プラットフォーム利用企業数の増加でシステム使用料が増加し、過年度の大型システム開発投資(次世代プラットフォーム開発)のソフトウェア償却費が償却期間満了で順次減少すること、さらに前期までの2年間のシステム開発強化が完了してシステム開発投資額を低減することも寄与する。純利益は特別損失の一巡も寄与する。
配当予想は80銭増配の年間7円34銭(第2四半期末3円67銭、期末3円67銭)としている。予想配当性向は50.1%となる。
■中期経営計画で受発注5万社と請求書100万社目標
中期経営計画では基本方針を、フード業界におけるBtoBプラットフォーム受発注の利用拡大・シェア拡大、BtoBプラットフォーム請求書の全業界展開・デファクト化、BtoB電子商取引プラットフォームの構築としている。
18年12月期目標として、フード業界におけるシェア拡大では利用企業数5万社およびシステム取引高・外食シェア2兆円・30%、電子請求プラットフォームのデファクト化では利用企業数30万社およびシステム取引高5兆円、BtoB電子商取引プラットフォームの構築ではシステムコンセプトとして全業界対応BtoBプラットフォームを目指す。
そして2020年までに、あらゆる業界にBtoBプラットフォームを提供し、グローバルなBtoBインフラ企業を目指すとしている。
■株価は17年6月高値に接近
株価は18年12月期大幅増収増益予想を好感して水準を切り上げている。3月1日には964円まで上伸して17年6月の上場来高値965円に接近している。
3月2日の終値929円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS14円64銭で算出)は63倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間7円34銭で算出)は0.8%近辺、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS83円08銭で算出)は11倍近辺である。時価総額は約1205億円である。
週足チャートで見ると13週移動平均線が26週移動平均線を上抜いた。先高観を強めて上値を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)