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PALTEKは調整一巡、18年12月期一部取引形態変更で減益予想だが織り込み完了
- 2018/3/5 06:16
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
PALTEK<7587>(東2)は、ザイリンクス社のFPGAを主力とする半導体輸入商社である。18年12月期はFPGAの一部取引形態変更の影響で大幅減益予想だが、株価は織り込み完了して調整一巡感を強めている。
■FPGAなどの半導体事業が主力
ザイリンクス社のFPGA(PLDの一種で設計者が手元で変更を行いながら論理回路をプログラミングできるLSI)を主力として特定用途IC、汎用IC、アナログ、メモリなどを扱う半導体事業、および試作ボードや量産ボードなどを受託設計・開発・製造(ODM、EMS、OEM)するデザインサービス事業、新規分野としてスマートエネルギー事業(病院・介護施設向け停電対策システム)を展開している。海外は香港に拠点展開している。
17年12月期売上構成比は半導体事業94.5%(FPGA35.3%、特定用途IC16.5%、汎用IC10.3%、アナログ9.7%、メモリ22.7%)、デザインサービス事業4.9%、その他0.6%だった。18年12月期からセグメント区分を半導体事業、デザインサービス事業、ソリューション事業とする。
主要仕入先は、FPGAがザイリンクス社、汎用ICがNXPセミコンダクターズ社、マイクロチップテクノロジー社、アナログがリニアテクノロジー社、メモリがマイクロンテクノロジー社である。用途別には産業機器向けを主力としてFA機器、通信機器、放送機器、医療機器、車載機器向けなどに展開し、センサ分野ソリューションも強化している。主要販売先はNEC<6701>、京セラ<6971>、オリンパス<7733>などである。
なお17年11月、ザイリンクス社製品販売における取引形態変更を発表した。一部の主要大手顧客への販売活動のうち、販売・物流オペレーション業務のみを当社が担当し、それ以外のFPGA活用ニーズの調査・案件発掘・案件獲得・技術サポートに関する業務はザイリンクス社が担当する。主要大手顧客以外の顧客については従来どおり当社が全ての販売業務を担当する。18年1月から実施する。
■M&A・アライアンスも活用して事業領域拡大
M&A・アライアンスも活用して事業領域を拡大している。17年3月ソラコムおよびIoTクラウドプラットフォームのUPRと連携してインダストリアルIoTソリューションパッケージの販売を開始、企業向けビデオソリューションのHaivision社(カナダ)と販売代理店契約を締結、産業用コンピュータモジュール専業メーカーcongatec社(独)と販売代理店契約を締結した。
17年7月紙梱包資材・システムのRanpak社と販売代理店契約を締結、17年8月TPMS・車両向けセンサーネットワークのLDLテクノロジーと販売代理店契約を締結、17年9月PLUNIFY社(シンガポール)と販売代理店契約を締結した。
■仕入値引きドル建て債権評価額が為替によって変動する収益特性
一部の主要仕入先に対して保有する仕入値引きドル建て債権評価額が為替によって変動し、売上総利益の増減に影響を与える収益特性がある。ドル高・円安は売上総利益押し上げ要因、ドル安・円高は売上総利益押し下げ要因となる。為替影響は15年12月期が4億31百万円の売上総利益増加要因、16年12月期が5億30百万円の売上総利益減少要因だった。
■17年12月期は円安メリットで大幅増益
17年12月期連結業績は、売上高が16年12月期比1.4%減の330億75百万円、営業利益が2.0倍の10億37百万円、経常利益が9.8倍の10億84百万円、純利益が7億03百万円(16年12月期は11百万円)だった。配当は前期と同額の年間13円(期末一括)とした。配当性向は20.3%である。
半導体事業が海外メーカー向けメモリの減少などで1.6%減収だったが、為替のドル高・円安で仕入値引きドル建て債権の評価額が増加(営業利益5億52百万円増益要因)し、大幅増益だった。為替影響を除く売上総利益は42億52百万円で、売上総利益率は0.6ポイント上昇の12.9%だった。半導体事業において売上総利益率の低い民生機器案件が減少した。
■18年12月期はFPGAの一部取引形態変更で大幅減益予想
18年12月期の連結業績予想は、売上高が17年12月期比9.3%減の300億円、営業利益が51.8%減の5億円、経常利益が63.1%減の4億円、純利益が61.6%減の2億70百万円としている。
FPGAの一部取引形態変更による影響として、売上総利益の5億円程度減少を想定し、大幅減益予想である。配当予想は3円減配の年間10円(期末一括)で予想配当性向は40.6%となる。
今後の対応として、FPGAに対応していたリソースをデザインサービス事業やソリューション事業といった収益性の高い事業に振り向けて、中期計画の目標値20年12月期売上高400億円、営業利益20億円の達成を目指すとしている。
■FPGAは市場拡大
中期的な収益向上に向けた取り組みとして、半導体事業では高付加価値製品の取り扱い拡大、中核製品であるFPGAのさらなる拡販、第2の柱となる製品の売上拡大(センサー関連やIoT関連製品の拡充など)、医療・産業・通信・放送など成長分野への注力、デザインサービス事業では医療・放送・通信分野の受託設計・開発・ODM強化、自社製品の開発・販売強化、スマートエネルギー事業では病院・介護施設向け停電対策システムの構築・販売を強化する方針だ。
中核製品のFPGAは論理回路構成を自由に書き換えられるため、世界的なトレンドとしてプロセッサーを内蔵したFPGAをメインチップとする傾向を強めている。そして今後は自動車の先進運転支援システム(ADAS)分野やIoT関連などを中心として市場拡大が予想されている。
センサ関連に関しては、赤外線カメラのグローバルリーディングカンパニーである米フリアーシステムズ社の赤外線カメラモジュールを、産業機器(検査機器、防災機器、産業向け携帯情報端末)やセキュリティ用監視カメラ向けに拡販する方針だ。
■株主優待制度は12月末に実施
株主優待制度は毎年12月31日現在100株以上保有株主を対象として、保有株式数と継続保有期間に応じてクオカードを贈呈(詳細は会社HPを参照)する。
■株価は調整一巡感、18年12月期減益予想の織り込み完了
株価は地合い悪化も影響した2月2月15日の直近安値650円から切り返して調整一巡感を強めている。18年12月期大幅減益予想の織り込みは完了しているようだ。
3月2日の終値718円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS24円65銭で算出)は29~30倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間10円で算出)は1.4%近辺、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS867円35銭で算出)は0.8倍近辺である。時価総額は約85億円である。
週足チャートで見ると26週移動平均線が戻りを押さえる形だが、安値圏の下ヒゲで調整一巡感を強めている。反発が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)