【株式評論家の視点】CRI・ミドルウェアはミドルウェア使用許諾料の低料金プランを提供、1900円割れは下値圏

株式評論家の視点

 CRI・ミドルウェア<3698>(東マ)は、音声・映像・ファイルシステムに関する研究開発、およびミドルウェア製品としての販売・サポートを行っている。ミドルウェア製品ブランド「CRIWARE(シーアールアイウェア)」でアプリケーションソフトの開発や横展開を容易にし、ゲーム分野(スマートフォンや家庭用ゲーム)や組込み分野(家電・業務用機器、車載)、医療・ヘルスケア分野、新規分野(動画配信・動画広告など)で顧客ビジネスの拡大を支援している。採用実績としては全世界で3,000以上のゲーム、アプリに採用されており、技術力や信頼性が評価されている。

 同社は、同社製品の採用拡大や新規顧客獲得に向けて、中長期的に事業拡大が見込める市場への展開を進めている。ゲーム分野では、国内において、「シーアールアイウェア」のスマートフォン向け許諾販売が好調に推移しており、顧客収益に連動した新料金体系の展開によって、さらなる収益性の向上を図っている。注力している中国においては、ブランド浸透に時間を要しているが、大手パブリッシャーへの採用を活かし、受注獲得を加速するため取り組んでいる。組込み分野では、業務用エンターテインメント機器向けに「シーアールアイウェア」のコア技術を活かした開発案件を受注。 新規分野では、LTE回線(携帯電話用通信回線)を活用したネットワーク監視システム向けに、映像品質を落とさずにデータを軽くして転送できる動画圧縮ソリューション「CRI DietCoder(シーアールアイ ダイエットコーダー)」の導入を進めている。また、Web動画ミドルウェア「LiveAct PRO(ライブアクトプロ)」は、商品をあらゆる角度から見せられる360度ビュー機能が注目を集め、引き合いが増えている。

 2月8日に発表した今2018年9月期第1四半期業績実績は、売上高3億0600万円(前年同期比11.7%増)、営業損益1600万円の黒字(同1500万円の赤字)、経常損益1700万円の黒字(同1400万円の赤字)、最終損益1400万円の黒字(同1100万円の赤字)に着地。国内スマートフォンゲーム向けが好調、F2Pゲーム向け月額許諾売上の積み上げが貢献し、 ゲーム分野の売上は前年同期比28%増。F2P向け許諾は7四半期連続増収。 組込み分野は、業務用エンターテインメント機器向け開発案件が復調。車載で受注獲得が始まっている。

 今18年9月期業績予想は、売上高15億円(前期比19.1%増)、営業利益3億円(同2.5倍)、経常利益3億円(同2.5倍)、純利益2億1000万円(同2.6倍)を見込む。年間配当予想は、無配継続を予定としている。

 株価は、昨年1月26日につけた昨年来の高値3750円から同9月26日安値1810円まで調整。2000円を軸とした往来相場を続けていたが、本年2月14日に年初来の安値1759円と売られた後、同28日に「ニンテンドースイッチ」や「プレイステーション4」「プレイステーションVita」などのダウンロード専売タイトル向けに、ミドルウェア使用許諾料を売り上げの0.95%とする低料金料金プランの提供を開始する発表。これを手掛かりに同日高値2190円と上昇。その後、モミ合っている。ミドルウェア使用許諾料の低料金プランを提供することで利用者の拡大が期待されるほか、新規分野で、動画圧縮をLTE監視カメラ向けに注力。PS VR向けアプリ開発を展開していることが注目される。今9月期第1四半期黒字転換着地で、業績は回復。1900円割れは下値圏になっており、日柄調整が進めば、十分リバウンドが期待されそうだ。(株式評論家・信濃川)

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