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エイトレッドは戻り歩調、18年3月期2桁増収増益予想
- 2018/3/9 07:22
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
エイトレッド<3969>(東マ)は、ワークフローを電子化する「ワークフローシステム」を開発・販売している。18年3月期は2桁増収増益予想である。導入企業・クラウド利用数が順調に増加し、ストック収益も拡大する。株価は地合い悪化の影響を受けたが、調整一巡して戻り歩調だ。
■ワークフローシステムを開発・販売
ソフトクリエイトホールディングス<3371>の連結子会社で、ワークフローを電子化する「ワークフローシステム」を開発・販売している。
ワークフローというのは、企業における稟議書、経費精算申請書、各種届け出書などの作成~申請~回覧~承認~保存~履歴管理のように、企業内における業務・事務処理手続きの一連の流れ・プロセスのことである。
このワークフローをコンピュータに組み入れて、従来の紙文書での手書き・回覧作業を、パソコン・スマホ入力で電子文書化することによって、業務負担の軽減、ペーパーレス化、回覧に要する時間の短縮、書類の紛失防止など、業務効率化・迅速化やセキュリティ向上を実現するシステムが「ワークフローシステム」である。
現在の主力製品は、パッケージ型の小規模・中規模企業向けX-point(エクスポイント、03年販売開始、12年メジャーバージョンアップ)、中規模・大規模企業向けAgileWorks(アジャイルワークス、09年販売開始)、クラウド型の小規模企業向けX-point Cloud(エクスポイントクラウド、11年販売開始)である。
いずれの製品も、Webブラウザ上で「まるで紙に書くように」利用できる紙イメージの入力画面を備え、ITの知識が無くても簡単に稟議書などを作成できる操作性を共通の特徴としている。またグループウェア(組織内部におけるスケジュールやタスクなどの情報共有を目的としたコミュニケーションツール)や、外部システムとの連携も可能である。
17年5月にはクラウドアプリプラットフォームのATLED Work Platformの提供を開始した。ワークフローシステムが標準搭載されたマルチテナント型クラウドアプリケーションプラットフォームである。プラットフォーム利用者は短期間でワークフローシステムと組み合わせたアプリケーションを構築でき、自社ブランドのオリジナルソリューションとして顧客にサービス提供できる。
販売面では第2位株主であるSCSK<9719>など、幅広い顧客層をカバーする大手SIとのパートナー関係を構築している。そして03年のX-point販売開始以来、スモールビジネスから大手企業まで2000社を超えるパッケージ製品導入実績を誇り、国内ワークフローシステム市場において6年連続シェア1位(株式会社ミック経済研究所調べ)を獲得している。
■ワークフローシステムの市場は拡大基調
ワークフローシステム市場は、09年度から15年度まで年平均13.5%(株式会社ミック経済研究所調べ)と高成長を続けている。しかし依然としてワークフローシステムによる電子文書化を導入せず、紙・手書きベースでの業務・事務処理に依存している企業が多いため潜在市場は大きい。また在宅勤務やテレワークといった働き方改革の推進、企業不祥事防止のための内部統制強化の流れなども背景として、市場は拡大基調が期待される。
こうした事業環境に対応し、中期成長戦略として営業の強化、アライアンスパートナーの開拓、製品機能の強化、クラウド対応の拡大などの施策を推進する方針だ。
■導入企業増加してストック型収益比率も上昇基調
17年3月期の製品別売上高は、X-pointが16年3月期比3.1%減の4億72百万円、AgileWorksが32.7%増の3億22百万円、X-point Cloudが46.0%増の1億66百万円だった。
ストック売上高(サービス&サポート)の比率は53.9%で2.4ポイント上昇した。また17年3月期末のパッケージ導入社数は16年3月期末比362社増加の2026社、クラウド利用ユーザー数は7555増加の2万4280となった。導入企業が増加してストック型収益比率も上昇基調である。
■18年3月期2桁増収増益予想
18年3月期の非連結業績予想は、売上高が17年3月期比19.6%増の11億50百万円、営業利益が16.5%増の3億36百万円、経常利益が20.6%増の3億36百万円、純利益が16.0%増の2億21百万円としている。
中規模・大規模企業向けやクラウド対応の大幅伸長が牽引し、積極的な人員採用に伴う人件費増加などを吸収して2桁増収増益予想である。製品別売上高の計画はX-pointが1.5%増の4億80百万円、AgileWorksが39.7%増の4億50百万円、X-point Cloudが32.0%増の2億20百万円としている。
第3四半期累計は売上高が前年同期比12.9%増の7億81百万円、営業利益が5.3%増の2億09百万円、経常利益が10.8%増の2億09百万円、純利益が9.8%増の1億36百万円だった。導入企業数が順調に推移して増収増益だった。売上総利益率は74.1%で0.2ポイント低下、販管費比率は47.4%で1.7ポイント上昇した。
パッケージソフトの売上高は4.8%増の6億04百万円だった。フロー売上高はX-pointのVer2.0への移行案件の反動減で4.7%減の2億83百万円だったが、ストック売上高は導入企業数が順調に推移して15.0%増の3億20百万円だった。
クラウドサービスの売上高は52.8%増の1億77百万円だった。新規導入企業数が順調に増加して、フロー売上高が48.7%増の23百万円、ストック売上高が53.4%増の1億54百万円と、いずれも大幅伸長した。
通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が67.9%、営業利益が62.2%、経常利益が62.2%、純利益が61.5%である。やや低水準の形だが、システム投資関連で第4四半期の構成比が高い特性を考慮すればネガティブ要因とはならない。またストック型収益構造であることも考慮すれば通期ベースでも好業績が期待される。
配当予想は第2四半期末15円50銭、期末5円17銭としている。17年12月17日付株式3分割を考慮して、株式3分割前に換算すると期末が15円51銭、年間が31円01銭となり、17年3月期の年間28円47銭に対して2円54銭増配となる。
■株主優待制度は9月末と3月末の年2回実施
株主優待制度は年2回、毎年9月末および3月末時点の株主を対象として、保有株式数に応じてオリジナルQuoカードを贈呈する。17年9月末から実施した。なお株式3分割に伴って18年3月末の贈呈区分が変更(詳細は会社HP参照)となる。
■株価は調整一巡して戻り歩調
株価(17年12月17日付で株式3分割)は、1月の戻り高値1293円から地合い悪化の影響で反落したが、2月6日の直近安値993円から切り返している。調整一巡して戻り歩調だ。
3月8日の終値1154円を指標面(17年12月17日付株式3分割後)で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS33円48銭で算出)は34~35倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間10円33銭で算出)は0.9%近辺、前期実績PBR(前期実績のBPS195円52銭で算出)は5.9倍近辺である。時価総額は約78億円である。
週足チャートで見ると26週移動平均線を突破した。そして13週移動平均線突破の動きを強めている。戻りを試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)