【編集長の視点】U&Cは小反落も分割落ち後安値を前に下げ渋る、業績下方修正織り込み価格改定や新出店方針を前向き評価
- 2018/3/12 08:02
- 編集長の視点
ユナイテッド&コレクティブ<U&C、3557>(東マ)は、前週末9日に1円安の2335円と小反落して引けたが、取引時間中には2420円まで買われており、今年3月6日につけた株式分割の権利落ち後安値2261円を前に下げ渋った。同社株は、今年1月30日に発表した目下集計中の2018年2月期業績の下方修正を嫌って急落し、さらに2月28日を基準日にした株式分割(1株を2株に分割)の権利を6430円で落とし、理論価格を大きく下回る分割権利落ち後安値まで調整したが、業績下方修正は、織り込み済みとして売られ過ぎ訂正の買い物が下値に続いた。業績下方修正は、新規出店計画に遅れが生じたことや酒類・食材価格の高騰が要因となったが、昨年11月に価格改定を実施し、今後の新規出店については出店方針を変更しすることも、続く今2019年2月期業績への期待を高めて買い材料視されている。
■1都3県以外の地方主要都市にも新規出店し昨年11月実施の価格改定も浸透
目下集計中の同社の2018年2月期業績は、売り上げが期初予想より5億5800万円、利益が1億2000万円~7200万円下ぶれ、売り上げは63億2400万円(前期比15.4%増)と続伸したものの、営業利益は1億9000万円(同25.1%減)、経常利益は1億5300万円(同31.6%減)、純利益は8300万円(同56.0%減)と減益転換したとされた。主力業態の鶏料理をメーンとした居酒屋「てけてけ」の既存店売り上げは好調に推移したものの、同期の新規出店計画22店舗に対して今年1月末現在で15店舗の出店にとどまり遅れが生じており、さらに酒税法改正による酒類価格高騰、食材価格高騰による原価率の上昇、出店に関する設備投資資金調達のために設定した貸出コミットメント契約のコミットメントフィーを計上したことなどが要因となった。
今後の出店政策については、首都圏の1都3県中心から同エリア以外の地方主要都市へもドミナント出店する方針に変更して新規出店を確保する。同社は、中期目標として2020年に店舗網を200店に拡大する計画を策定して、新業態のハンガーガーカフェ「ザ・サードバーガー」なども開発・展開し、さらに新規出店は、居抜き物件を中心として出店投下資本を通常の3分の2に抑制するビジネスモデルを確立している。また、酒類や食材価格の高騰に対しては、昨年11月24日に価格改定を行うとともに、食材の調達でも、世界規模でのソーシング活動を積極化して原価率の低減を図っており、この浸透からも2018年2月期業績の伸び悩みを一時的として次期2019年2月期以降、成長路線に復帰することも想定される。
■25日線から24%の下方かい離と売られ過ぎで「リターン・リバーサル」買いチャンス
株価は、今年1月12日に同時発表した2018年2月期第3四半期(2017年3月~11月期、3Q)決算と株式分割(1株を2株に分割)が綱引きとなって5310円まで調整したが、分割権利取りで8700円高値まで6割高し業績下方修正で再調整、6430円で株式分割の権利を落とした。権利落ち後は、第1波、第2波と続いた世界同時株安の影響もあり2261円まで売られ、理論価格を大きく下回っているほか、25日移動平均線からは24%のも下方かい離し、売られ過ぎとして底上げに転じた。新規株式公開時の2017年2月には3日連続のストップ高を演じ、1万370円の上場来高値まで買い上げられた高株価・軽快足のイメージはなおマーケットには鮮烈に残っており、大きく下げた株ほど大きく戻るとする「リターン・リバーサル」買いが再燃し、今年2月21日につけた株式分割権利落ち高値3185円奪回から一段の権利落ち埋めを強めよう。(本紙編集長・浅妻昭治)