- Home
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
- ファンデリーは自律調整一巡して上値試す、18年3月期2桁増益予想で中期的に収益拡大基調
ファンデリーは自律調整一巡して上値試す、18年3月期2桁増益予想で中期的に収益拡大基調
- 2018/3/12 07:29
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ファンデリー<3137>(東マ)は健康食宅配事業を主力として、ヘルスケア総合企業を目指している。健康食宅配会員数が増加基調であり、18年3月期2桁増益予想である。一人暮らし高齢者や生活習慣病患者の増加を背景として、中期的に収益拡大基調だろう。株価は戻り高値圏から反落したが、自律調整一巡して上値を試す展開が期待される。
■健康食宅配サービスのMFD事業が主力
健康食宅配サービスのMFD(Medical Food Delivery)事業、およびマーケティング事業を展開している。17年3月期事業別売上高構成比はMFD事業91%、マーケティング事業9%だった。
MFD事業は健康食(冷凍弁当)の通販カタログ「ミールタイム」などを医療機関や調剤薬局などを通じて配布し、顧客(個人)から注文を受けて宅配する。従来の食事宅配サービスと一線を画し、食事コントロールを通じた血液検査結果の数値改善を目指している。管理栄養士・栄養士が顧客の疾病・制限数値・嗜好などに合わせてメニューを選び、定期的に届ける「栄養士おまかせ定期便」も提供している。
MFD事業の会員数は、15年3月期末15万2771人、16年3月期末18万2905人、17年3月期末20万3441人と増加基調である。全国の医療機関などの紹介ネットワーク(約1万8000ヶ所)を通じた効率的な顧客獲得、専門性の高い栄養士による「ヘルシー食」など多様な健康食の開発やカウンセリングが強みである。
なお需要拡大に対応してMFD事業の初の生産拠点となる新工場を建設する。18年度内に着工、19年度内に操業予定としている。また健康食通販カタログ「ミールタイム」の発行部数を、現在の各号75万部に対して、19年3月発行の「ミールタイム2019春号」から各号80万部に増刷する。さらなる会員数拡大を目指す。
健康食宅配サービスから派生した事業として、食品メーカーなどへの健康食通販カタログ誌面の広告枠販売、食品メーカーなどからの商品サンプリングや健康食レシピ作成の業務受託、健康食レシピサイト運営などのマーケティング事業も展開し、収益源の多様化を推進している。
MFD事業はおせち料理などで12月の売上高が増加する季節要因があり、マーケティング事業は業務受託売上が下期偏重となる。利益配分については、事業規模や収益が安定成長段階に入ったと判断された時点で、配当による株主への利益還元に努めるとしている。
■18年3月期2桁増益予想
18年3月期の非連結業績予想は、売上高が17年3月期比12.8%増の36億40百万円、営業利益が12.1%増の6億81百万円、経常利益が10.3%増の6億80百万円、純利益が10.6%増の4億36百万円としている。紹介ネットワークの新規開拓や深耕などにより、MFD事業、マーケティング事業とも伸長して2桁増益予想である。配当は無配を継続する。
第3四半期累計は売上高が前年同期比4.8%増の25億12百万円、営業利益が20.3%増の5億01百万円、経常利益が18.2%増の5億02百万円、純利益が18.4%増の3億17百万円だった。主力のMFD事業が堅調に推移し、マーケティング事業が大幅伸長した。売上総利益率は58.8%で1.8ポイント上昇、販管費比率は38.8%で0.8ポイント低下した
MFD事業は売上高が0.1%増の22億27百万円で営業利益が3.1%増の5億12百万円だった。期末MFD事業会員数は9.4%増の21万7507人(うち定期コース会員数は10.5%増の7786人)となった。また第3四半期の定期コース比率は3.9ポイント上昇して55.9%、1件あたり購入単価は29円低下して6972円となった。マーケティング事業は売上高が65.3%増の2億85百万円で営業利益が71.2%増の2億15百万円だった。健康食通販カタログの広告枠販売が順調に推移し、業務受託における複数案件獲得も寄与した。
なお17年12月末時点の紹介ネットワーク数は1万9906ヶ所(病院・一般診療所が1万5797ヶ所、薬局が4109ヶ所)となり、18年3月期末目標の2万ヶ所の達成が目前となった。
通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が69.0%、営業利益が73.6%、経常利益が73.9%、純利益が72.8%と概ね順調である。下期の構成比が高い収益特性を考慮すれば、通期ベースでも好業績が期待される。
■23年3月期営業利益20億円目指す、中期的に収益拡大基調
18年2月には、団塊の世代の先頭である1947年生まれが75歳となり、本格的なひとり暮らし社会が始まる2022年に向けて、19年3月期を初年度とする中期経営計画「will2022」を策定した。
目標値には23年3月期売上高100億円、営業利益20億円、営業利益率20%を掲げた。セグメント別の目標は、MFD事業が売上高91億円、営業利益20億円(営業利益率22%)、マーケティング事業が売上高6億円、営業利益4億円(営業利益率67%)、メディア事業(新設予定)が売上高3億円、営業利益2億円(営業利益率67%)、営業利益調整の全社費用6億円である。
MFD事業では、SPA(製造小売業)モデルへの事業構造転換を推進し、圧倒的NO.1の健康食ブランドの確立を目指す。マーケティング事業では、医療機関リコメンドサンプリングを成長ドライバーとして大型契約獲得を推進し、商品力を高めてTVCMと競争できるサービス提供を目指す。新設予定のメディア事業では、ポイント家電を軸に自社の強みを活かした新事業を創出し、第3の収益柱を目指す。
一人暮らし高齢者の増加、生活習慣病患者や食事制限対象者などの増加を背景として健康食宅配市場は拡大基調が予想される。従来の食事宅配サービスと一線を画した健康食メニュー開発力などを武器として、中期的に収益拡大基調だろう。
■株価は自律調整一巡して上値試す
株価は地合い悪化の影響を受けたが、直近安値圏1400円近辺から急反発した。その後は2月27日の戻り高値1875円台から反落したが自律調整の範囲だろう。
3月9日の終値1706円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS68円54銭で算出)は24~25倍近辺、前期実績PBR(前期実績BPS292円10銭で算出)は5.8倍近辺である。時価総額は約109億円である。
週足チャートで見ると26週移動平均線も上向きに転じて先高観を強めている。自律調整一巡して上値を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)