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三栄建築設計は戻り歩調、18年8月期増収増益・増配予想
- 2018/3/12 07:27
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
三栄建築設計<3228>(東1)は戸建住宅分譲を主力とする「住宅総合生産企業」である。中期成長戦略として「メルディアブランド」の幅広い浸透を目指し、海外にも積極展開している。18年8月期は子会社のシード平和も寄与して増収増益・増配予想である。積極的な事業展開で中期的にグループ収益拡大が期待される。株価は地合い悪化も影響した2月の直近高値圏から切り返して戻り歩調だ。
■戸建住宅分譲を主力とする住宅総合生産企業
戸建住宅分譲事業を主力として、分譲住宅、注文住宅から、分譲マンションや賃貸物件まで、住宅に関する「すべて」を自社で生産できる「住宅総合生産企業」である。
外観・内観のデザインや間取りなどが1棟ごとに異なる「同じ家は、つくらない」をポリシーとして、東京23区を中心とした都心部エリアにおける都市型木造3階建戸建住宅のリーディングカンパニーである。
16年10月にグループ名称を三栄建築設計グループから「メルディアグループ」に変更した。グループ企業は、首都圏郊外部で戸建分譲住宅を販売する三建アーキテクト、関西を地盤として一般建築請負や戸建住宅分譲を展開するシード平和<1739>、ホームインスペクション事業のサン住宅品質検査、およびASEAN近隣諸国に出資するためプレサンスコーポレーション<3254>と共同で16年10月設立したプロスエーレなどである。
17年8月期の販売件数は、2階建住宅が16年8月期比171件増の664件、3階建住宅が41件増の822件、販売用アパートが41件増の68件、マンション分譲が262件増の348件、所有不動産が16件増の27件、ロサンゼルス不動産販売が1件増の9件、土地売が36件増の52件だった。
■「メルディアブランド」の浸透目指す
首都圏エリア、中京圏エリア、関西エリアでの「メルディアブランド」の幅広い浸透を目指し、中長期展望として三大都市圏における戸建住宅供給棟数5000棟、売上高2000億円企業を目指している。
17年2月には京都市中京区に「メルディアホテル京都二条」を開業し、メルディアグループとしてホテル事業に本格参入した。
■海外にも積極展開
海外にも積極展開し、ベトナム・ホーチミン市のホテル開発事業(19年4月ホテル運営開始予定)、米国・カリフォルニア州イングルウッド不動産開発プロジェクト(プレサンスコーポレーションと共同、19年12月竣工予定)、ベトナム・ハノイ市のホテル・大型分譲マンション・オフィスビル開発事業、ベトナム・ホーチミン市におけるホテル・大型分譲マンション・オフィスビル開発事業(プロスエーレが現地不動産デベロッパーと共同で推進、18年7月着工予定)に参画している。
17年12月には関係会社プロスエーレを通じて、ベトナム・ホーチミン市の分譲住宅開発事業「ノーチャンロン分譲マンション開発プロジェクト」に参画した。またベトナムにおける不動産開発事業を強化するため、ベトナム・ハノイ市所在のIDS社に出資した。
■18年8月期増収増益・増配予想
18年8月期連結業績予想は、売上高が17年8月期比16.4%増の1171億11百万円、営業利益が10.3%増の104億77百万円、経常利益が9.9%増の100億18百万円、純利益が9.0%増の65億86百万円としている。配当予想は4円増配の年間48円(期末一括)で予想配当性向は15.5%となる。
第1四半期は売上高が前年同期比30.9%増の158億61百万円、営業利益が31.1%減の5億73百万円、経常利益が47.0%減の4億71百万円、純利益が48.1%減の3億31百万円だった。
大型収益不動産の売却や子会社シード平和のマンション分譲などで大幅増収だが、利益率の高くない大型収益不動産の売却、子会社シード平和の売上構成比の上昇、広告宣伝費の先行、大型収益不動産売却による仲介手数料の増加、人材確保などの先行投資の影響で大幅減益だった。
通期ベースでは、積極的な事業展開で増収増益予想である。シード平和における関西大手デベロッパーからの受注拡大や戸建分譲供給体制構築も寄与する。通期会社予想に対する第1四半期の進捗率は低水準の形だが、主力の分譲戸建住宅の引き渡しが下期に偏重する収益特性のためネガティブ要因とはならない。また通期業績予想達成に必要な棚卸在庫はほぼ100%確保している。
通期ベースで好業績が期待され、さらに中期的にグループ収益拡大が期待される。
■株主優待制度は毎年2月末に実施
株主優待制度は毎年2月末現在100株以上所有株主を対象として実施している。100株以上1000株未満所有株主に対して1kgお米券2枚、1000株以上所有株主に対して1kgお米券8枚を進呈する。
■株価は戻り歩調
株価は第1四半期業績を嫌気する形で1月高値2704円から急反落し、地合い悪化も影響して水準を切り下げたが、2月14日の直近安値1987円から切り返して戻り歩調だ。
3月9日の終値2276円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS310円44銭で算出)は7~8倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間48円で算出)は2.1%近辺、そして前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1542円19銭で算出)は1.5倍近辺である。時価総額は約483億円である。
週足チャートで見ると52週移動平均線近辺から切り返した。調整一巡して戻りを試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)