【編集長の視点】綿半HDは反落もサプライズの記念配当や株主優待制度の権利取りに業績上ぶれ期待が加わり押し目買い妙味

 綿半ホールディングス<3199>(東1)は、前日13日に65円安の3820円と反落して引けた。同社株は、今年3月5日につけた直近安値3560円から300円幅のリバウンドしており、目先の利益を確定する売り物が出た。ただ下値には、今年1月30日に今2018年3月期第3四半期(2017年4月~12月期、3Q)決算と同時に発表した期末の記念配当のサプライズや、3Q業績の3月通期予想業績に対する高利益進捗率を手掛かりに押し目買いが続いた。また、期末接近とともに拡充が続く株主優待制度の権利取りと、3Qの高利益進捗率業績から3月通期業績が上ぶれ着地するとの期待もフォローの材料となっている。

■M&Aのフル寄与と店舗リニューアル、「EDLP戦略」の深化で3Q利益が高進捗

 同社の今期配当は、創業420周年記念の5円を上乗せして年間31円(前期実績26円)に増配されるが、この創業が、江戸時代の慶長3年(西暦1598年)にまで遡り、西暦1586年創業の松井建設<1810>(東1)などと並び上場会社の最古参グループに属することが明らかになりサプライズとなった。しかも、この記念配当の上乗せは、2016年3月期以来の3期連続増配であり、次々と優待品を拡充している株主優待制度でも、2000円相当の長野県特産品を贈呈するなど株主還元策を積極的に行っており、総合利回りでも好位置にランクされることになる。

 一方、3Q業績は、売り上げが前年同期比12.6%増と続伸し、利益も営業利益が同16.4%、経常利益が同20.0%増と各増益転換、純利益が同10.5%増と続伸し、3月通期予想業績に対する利益進捗率は、86%~90%と目安の75%を大きく上回った。2016年9月に連結子会社化した綿半Jマートがフル寄与したほか、特売ではなく年間を通して商品を低価格で提供する「EDLP戦略」では、昨年11月に日用品・食品700品目を値下げし、既存店舗の食品・ガーデニングを強化し収益力の高い都市型スーパーセンターにリニューアルしたことなどが寄与した。

 今3月通期業績は、期初予想を据え置き売り上げ1013億5100万円(前期比9.2%増)、営業利益20億3900万円(同3.6%増)、経常利益21億900万円(同5.8%増)、純利益12億5900万円(同6.3%減)と見込み、売り上げ、営業利益、経常利益は連続過去最高となるが、3Q業績の高利益進捗率からさらに最高利益更新の更新幅の拡大が期待されている。なお純利益は、前期に綿半Jマートの連結納税で減少した法人税等が通常税率に戻り小幅減益転換する。

■総合利回り買いと「リターン・リバーサル」買いの相乗で一段の戻りにチャレンジ

 株価は、昨年11月の東村山店のリニューアルオープンや、700品目の値下げで3000円台に乗せ、今年1月の今期3Q好決算・記念増配発表では上場来高値4875円まで600円超の急騰となった。最高値後は、2度にわたる世界同時株安の直撃で3560円安値まで1300円幅の調整をし、25日移動平均線から7%超のマイナスかい離は売られ過ぎとして底上げに転じ、25日線をクリアした。総合利回り評価の期末の配当・優待制度の権利取りと、大きく下げた株ほど大きく戻すとする投資セオリーの「リターン・リバーサル」買いの相乗効果で一段の戻りを試し、上場来高値奪回を目指そう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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