綿半ホールディングスは調整一巡、18年3月期増収・営業増益・増配予想、既存店好調で増額の可能性

 綿半ホールディングス<3199>(東1)はスーパーセンター事業や建設事業などを展開している。18年3月期増収・営業増益・増配予想である。第3四半期の進捗率が高水準であり、18年2月の既存店売上も101.2%と好調である。通期業績予想は増額の可能性が高いだろう。株価は上場来高値圏から急反落したが、調整一巡して上値を試す展開が期待される。

■スーパーセンター事業や建設事業などを展開

 スーパーセンター事業、建設事業、貿易事業を展開する持株会社である。17年3月期セグメント別売上高構成比はスーパーセンター事業63%、建設事業32%、貿易事業4%、その他事業(不動産賃貸事業)0%だった。

■スーパーセンター事業はM&Aも活用してエリア拡大と業態多様化を推進

 スーパーセンター事業はM&Aも積極活用してエリア拡大と業態多様化を推進している。17年3月期末の店舗数はスーパーセンター11店舗、ホームセンター21店舗、食品スーパー5店舗の合計37店舗だった。

 綿半ホームエイドは長野県中心にスーパーセンター業態とホームセンター業態、綿半フレッシュマーケットは愛知県中心に食品スーパー業態、綿半Jマートは関東甲信越エリアにホームセンター業態を展開している。17年1月には綿半パートナーズを設立し、グループのスケールメリットを活かした商品仕入原価の低減やPB商品の共同開発・相互供給を推進している。

 なお18年4月オープン予定だった綿半スーパーセンター一宮北店(スーパーセンター業態として愛知県初出店)は、許認可等の諸事情によりオープンを延期した。小型店舗ながら青果や加工食品も販売し、シーズンプロモーションに特化したミニスーパーセンターと位置付けている。

■建設事業は長尺屋根工事や自走式立体駐車場工事に強み

 建設事業は、綿半ソリューションズ(16年4月、建築・土木を主体とする綿半鋼機と、鉄構・橋梁構造を主体とする綿半テクノスが合併)が、建築・土木・住宅リフォーム工事、鉄骨・鋼構造物の加工・製造などを展開し、長尺屋根工事などの外装改修工事および自走式立体駐車場工事を強みとしている。

 長尺屋根工事では、工場の操業を止めずに老朽化した屋根の改修工事を行うWKカバー工法で特許を取得し、工場・倉庫・物流センター、商業施設、駅舎関連などに豊富な工事実績を誇っている。自走式立体駐車場工事では柱の少ない認定品「ステージダブル」など国土交通省の認定を多数有している。大型SCの立体駐車場などの工事実績が豊富である。

 17年7月イオンモール神戸南に隣接する立体駐車場に雨水貯留柱(実用新案登録済)が採用された。また沖縄県浦添西海岸に建設予定の大型ショッピングセンターに併設される立体駐車場の建設工事を受注した。17年8月ららぽーと名古屋港明(仮称)に併設される立体駐車場建設工事を受注した。

■貿易事業はジェネリック医薬品向け天然原料などを輸入販売

 貿易事業は医薬品・化成品向け天然原料輸入専門商社の綿半トレーディング(16年7月ミツバ貿易が社名変更)が展開している。

 ジェネリック医薬品向けアセトアミノフェン(解熱鎮痛剤)や、メキシコ特産でヘアワックス・口紅などに使用するキャンデリラワックス(取り扱い数量国内1位)など特定分野に強みを持ち、製造部門はHMG(ヒト尿由来の排卵障害治療薬)原薬を製造して医薬品メーカーに販売している。

■スーパーセンターは既存店売上と店舗網拡大、建設は工事採算に注目

 スーパーセンター事業は既存店売上高、M&Aも活用した店舗網拡大戦略、新業態開発戦略が注目される。建設事業は基本的には第4四半期の構成比が高い季節要因だが、大型案件の動向や個別案件の工事採算動向で利益率が変動する。

■18年3月期増収・営業増益・増配予想、既存店好調で増額の可能性

 18年3月期連結業績予想は売上高が17年3月期比9.2%増の1013億51百万円、営業利益が3.6%増の20億39百万円、経常利益が5.8%増の21億09百万円、純利益が6.3%減の12億59百万円としている。純利益は法人税等の増加で減益予想だが、スーパーセンター事業における綿半Jマートの通期連結、既存店の好調、売上総利益率改善が牽引して増収・営業増益予想である。

 第3四半期累計は、売上高が前年同期比12.6%増の769億26百万円、営業利益が16.4%増の17億62百万円、経常利益が20.0%増の18億52百万円、純利益が10.5%増の11億36百万円だった。

 建設事業の大型工事物件の進捗がやや遅れたが、スーパーセンター事業におけるM&A効果、既存店の好調、綿半パートナーズの始動による原価低減効果などが牽引して2桁増収増益だった。全体の売上総利益率は21.1%で1.2ポイント上昇、販管費比率は18.8%で1.1ポイント上昇した。

 スーパーセンター事業は、売上高が20.9%増の523億33百万円、営業利益が35.1%増の14億12百万円だった。綿半Jマートの連結に加えて、EDLP(エブリデー・ロー・プライス)戦略が浸透し、既存店売上が102.1%と好調に推移した。利益面では不採算店の業態転換・閉店に加えて、綿半パートナーズの始動による共同仕入や物流拠点集約、店舗オペレーション効率化などEDLC(エブリデー・ロー・コスト)追求による売上総利益率改善も寄与した。なお三鷹店を閉店して期末店舗数は36店舗となった。

 建設事業は売上高が3.9%減の210億26百万円、営業利益が16.6%減の6億57百万円だった。前工程の遅れや天候不順の影響で大型工事物件の進捗がやや遅れたが、受注は好調で、受注残高は46.0%増と大幅に増加した。

 貿易事業は売上高が13.5%増の33億58百万円で営業利益が9.1%減の4億08百万円、その他は売上高が1.3%増の2億08百万円で営業利益が15.4%増の87百万円だった。

 通期ベースのセグメント別計画は、スーパーセンター事業の売上高が10.7%増の650億66百万円で営業利益が31.6%増の13億34百万円、建設事業の売上高が6.2%増の315億38百万円で営業利益が6.6%増の14億63百万円、貿易事業の売上高が11.5%増の44億75百万円で営業利益が8.8%減の5億44百万円としている。建設事業は下期に大型工事案件が集中する。

 スーパーセンター事業の月次売上(前年同月比、速報値)を見ると、18年2月は全店が96.3%、既存店が101.2%だった。全店売上は三鷹店の閉店が影響したが、既存店売上はEDLP戦略の推進、綿半Jマート店舗への食品導入による客単価上昇効果、国分寺店・東村山店のスーパーセンター化などで、4ヶ月連続の前年比プラスだった。既存店客単価は18ヶ月連続プラスだった。なお17年4月~18年2月累計では全店が117.2%、既存店が102.0%となった。

 通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が75.9%、営業利益が86.4%、経常利益が87.8%、純利益が90.2%と高水準である。スーパーセンター事業の好調が牽引して、通期予想は増額の可能性が高いだろう。

 なお配当予想(1月30日に期末5円増額修正)は、期末に創業420周年記念配当5円を実施して、17年3月期比5円増配の年間31円(期末一括)としている。予想配当性向は24.3%となる。

■景気に左右されない安定・成長性のある事業構造を目指す

 中期ビジョンでは基本方針に「時代の変化に対応し、景気に左右されない安定・成長性のある事業構造を創り上げる」を掲げ、多様性のある経営人財の育成、IT化推進による経営改革、M&A推進のための財務体質強化、長期を見据えた海外展開の準備に取り組んでいる。

 そして中期経営計画では経営目標値に、19年3月期売上高1000億円(スーパーセンター事業600億円、建設事業360億円、貿易事業40億円)、経常利益22億円を掲げている。

 事業別重点施策としては、スーパーセンター事業では新業態開発による売場面積拡大(3年間で4500坪)、既存店活性化に向けたサービスメニューとプロモーションの拡充、ロス率改善やオペレーション効率化による利益率向上、建設事業では問題解決に向けた提案型営業への転換による安定した高収益体質の実現、貿易事業では天然原料の新商品拡充と仕入・販売経路の拡大を推進する。

 スーパーセンター事業では「EDLP×EDLC」戦略を追求するとともに、近隣県への進出も含めた本格的な多店舗展開(当面の目標100店舗体制)に向けて、体制整備や新フォーマット店舗開発に取り組んでいる。新フォーマット店舗では、都市型スーパーセンター業態(700坪クラス)や都市型ミニスーパーセンター(300坪クラス)の出店を推進する。

■株主優待制度は毎年9月末に実施

 株主優待制度は毎年9月30日現在の1単元(100株)以上保有株主に対して贈呈する。綿半ホームエイドPB商品詰め合わせなどを贈呈する。

■株価は調整一巡して上値試す

 株価は2月の上場来高値4875円から反落し、3500円~4000円近辺でモミ合う形だったが、3月14日には4255円まで急伸した。調整が一巡した形だ。

 3月14日の終値4220円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS127円71銭で算出)は33倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間31円で算出)は0.7%近辺、そして前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1232円74銭で算出)は3.4倍近辺である。時価総額は約416億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線サポートラインだ。調整一巡して上値を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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