- Home
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
- トランザスは底固め完了して出直り期待、18年1月期増収増益で19年1月期も増収増益予想
トランザスは底固め完了して出直り期待、18年1月期増収増益で19年1月期も増収増益予想
- 2018/3/15 10:24
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
トランザス<6696>(東マ)は、IoT端末・機器を製造販売するターミナルソリューション事業を展開し、中期成長に向けてウェアラブル端末やIoTコントローラーを育成している。18年1月期(連結決算開始)は実質大幅増収増益だった。そして19年1月期も増収増益予想である。株価は底固めが完了し、好業績を評価して出直りが期待される。
■IoT端末・機器メーカー
17年8月東証マザーズに新規上場した。STB(受信端末装置)やウェアラブル端末など、IoT(モノのインターネット)端末・機器を製造販売するターミナルソリューション事業を展開している。
VOD(ビデオ・オン・デマンド)などの映像受信端末装置であるSTBを、特定の機能に絞った単機能型の低価格コンピュータとして、ホテルでフロントが一括管理するルームコントロールシステムに活用するなど、ホテル・民泊・飲食業、物流業、製造業などの分野向けを中心に事業展開している。
製品の開発・製造・販売を一気通貫で行う垂直統合型ビジネスモデルだが、販売はSIer・商社・ソフトウェア開発事業者などのVAR(付加価値再販パートナー)企業を通じて行い、製造のファブレス型(台湾企業に委託)も特徴である。また収益面の特性として、端末の納品が第2四半期と第4四半期に集中する傾向が強い。
18年1月期の事業別売上高構成比は、IoT端末(ターミナル)を製造販売するIOTソリューション79%(STBの映像配信分野70%、デジタルサイネージの販売支援分野5%、ウェアラブル端末やIoTコントローラーの作業支援分野4%)、およびIT業務支援(システム受託開発やアプリケーションソフト開発など)21%である。
■ウェアラブル端末やIoTコントローラーを育成
中期成長に向けて17年1月、エンタープライズ向けウェアラブル端末「Cygnus」の販売を開始した。カメラ、無線LAN機能、マイク・スピーカを搭載し、バーコード、QRコード、NFCタグの読み取りも可能なウェアラブル端末である。物流業や製造業ではPOSシステムに連動したオーダー端末としても使用できる。
ウェアラブル端末「Cygnus」は、オムロン<6645>製のロボットの操作用端末として活用されている。17年12月には、世界的モニターブランド「BenQ」を展開する台湾Qisda社のグループ会社を通じて、台湾のレストランにおいてオーダー端末として採用された。18年1月には、ハウステンボスが運営する「変なホテル ハウステンボス」の運営スタッフ連絡用に採用された。
ウェアラブル端末の展開では、物流業を中心にVAR(付加価値再販パートナー)が増加し、知名度向上効果も寄与して、営業対象企業数(具体的な案件や利用用途を見込む企業)が大幅に増加している。18年1月期のVARは17年1月期比11社増加の35社、営業対象企業数は約2倍の133社となった。今後の展開として、ハンディターミナルとの差別化を図るための開発を進めながら、物流業を中心に導入を推進する。
IoTコントローラーも18年1月、開発が完了した。客室の家電制御や監視を可能にして、宿泊施設の作業効率向上を図る。そして18年2月には、子会社のTAP社(シンガポール)がコニカミノルタBSA社(シンガポール)と、ホテル・リゾート施設向けITサービス開発に関する覚書を締結した。IoTコントローラーの技術を活用して、ホテル・リゾートなどの宿泊施設向け高付加価値型ITサービスの開発に取り組む。また国内では、今後の展開として民泊市場への参入を推進する。
■18年1月期実質大幅増収増益
3月14日発表した18年1月期連結業績は、売上高が12億58百万円、営業利益が2億51百万円、経常利益が2億45百万円、純利益が1億52百万円だった。概ね計画水準で着地した。
17年1月期単体業績との比較で売上高が19.6%増収、営業利益が41.5%増益、経常利益が33.0%増益、純利益が36.4%増益だった。映像配信分野のSTBが牽引して実質大幅増収増益だった。
売上高は、IOTソリューションが34.1%増の9億92百万円(映像配信分野8億80百万円、販売支援分野61百万円、作業支援分野50百万円)、IT業務支援が14.2%減の2億65百万円だった。映像配信分野のSTBはIP放送向けが増加した。
売上総利益は18.4%増加したが、売上総利益率は43.6%で0.5ポイント低下した。売上構成の変化に加えて、ソフトウェア償却費の追加計上も影響した。販管費は支店・子会社の新設などで4.1%増加したが、増収効果で吸収し、販管費比率は23.6%で3.5ポイント低下した。
■19年1月期も増収増益予想
19年1月期の連結業績予想は、売上高が19.2%増の15億円で、営業利益が8.0%増の2億71百万円、経常利益が9.8%増の2億69百万円、そして純利益が17.1%増の1億78百万円としている。
作業支援分野のウェアラブル端末およびIoTコントローラーが牽引して増収増益予想である。なお第3四半期に映像配信分野で新ターミナル端末を投入するため、第2四半期累計では既存ターミナル端末の販売を予定していない。したがって売上高、利益とも下期偏重の計画である。
通期の売上高の計画は、IOTソリューションが18.2%増の11億73百万円(映像配信分野6億03百万円、販売支援分野78百万円、作業支援分野4億90百万円)、IT業務支援が23.4%増の3億27百万円としている。映像配信分野は法人向けIPTVが減少するが、平均単価の高い作業支援分野が大幅増加する。コスト面では、新ターミナル開発に伴う投資で人件費や外注費が増加するが、増収効果で吸収して増益予想である。
■株価は底固め完了して出直り期待
株価は上場来安値圏の2000円近辺でモミ合う形だが、底固め完了感を強めている。
3月14日の終値2191円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS56円85銭で算出)は38~39倍近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS434円91銭で算出)は5.0倍近辺、時価総額は約69億円である。
週足チャートで見ると2000円近辺が底値ラインだ。底固め完了して出直りが期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)