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協立情報通信は売られ過ぎ感、18年2月期2桁増益予想で19年2月期も収益拡大期待
- 2018/3/20 06:51
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
協立情報通信<3670>(JQ)は、法人向けソリューション事業とモバイル事業を展開している。18年2月期はモバイル事業の営業損益改善で2桁増益予想である。そして19年2月期も収益拡大が期待される。株価は1月の戻り高値圏から反落し、ほぼ一本調子に水準を切り下げたが、売られ過ぎ感を強めている。反発が期待される。なお4月12日に18年2月期決算発表を予定している。
■法人向けソリューション事業とモバイル事業を展開
法人向けソリューション事業(情報通信システムソリューション、会計情報ソリューション、情報活用教育ソリューション、情報活用レンタルソリューション)と、モバイル事業(法人向けモバイルソリューション、ドコモショップ6店舗運営)を展開している。17年2月期セグメント別売上高構成比はソリューション事業32%、モバイル事業68%だった。
企業のICT(情報通信技術)化実現に向けて、NEC<6701>、オービックビジネスコンサルタント<4733>、NTTドコモ<9437>、サイボウズ<4776>、日本マイクロソフトなどパートナー企業の製品・サービスを融合し、情報通信システムの構築から導入・保守・運用・教育までを提供するソリューション企業である。
ソリューション事業は、情報通信システムソリューションでNECのPBX(構内交換機)、会計情報ソリューションでオービックビジネスコンサルタントの「奉行シリーズ」をベースとして、中堅・中小企業向け中心に情報インフラ、情報コンテンツおよび情報活用支援(プラクティカルユース)の3分野を統合した経営情報ソリューションをワンストップサービスで提供している。
常設デモスペースの体感型フューチャーラボ「情報創造コミュニティー」で、製品活用体験セミナー、フェア、イベント、システム導入相談会、教育サービスなどを提供していることも特徴だ。
17年11月には多摩大学大学院との「事業協力に関する覚書」締結を発表した。同大学院MBAコースに「協立情報通信カレッジ」を開講する。17年12月には中堅・中小企業の情報化・情報活用を推進する取り組みを強化するため、情報創造コミュニティーを活動の中核として「Kic-Microsoft 365 Business 活用サポートサービス」の提供を開始すると発表した。
モバイル事はNTTドコモの一次代理店であるティーガイア<3738>の代理店として、ドコモショップ6店舗(東京都内2店舗、埼玉県内4店舗)を運営し、個人向けモバイル端末などの店頭販売、および法人向けモバイルソリューションを展開している。
■第1四半期の構成比が高い収益特性
収益面では、ソリューション事業が企業のICT投資関連のため、3月期決算企業の年度末にあたる第1四半期の構成比が高くなる特性がある。
利益還元については、継続的かつ安定的な配当を年1回(期末)実施することを基本方針としている。配当水準については、配当性向30~40%程度を目途に、業績に連動させて適正な配当を行うとともに、万一業績が悪化したとしても一定の水準を維持していきたいとしている。
■18年2月期2桁増益予想
18年2月期の連結業績予想は、売上高が17年2月期比6.4%増の61億70百万円、営業利益が19.7%増の2億78百万円、経常利益が19.2%増の2億83百万円、純利益が33.3%増の1億94百万円としている。配当予想は17年2月期と同額の年間50円(期末一括)で、予想配当性向は30.8%となる。
第3四半期累計は前年同期単体業績との比較で、売上高が5.1%増の45億75百万円、営業利益が18.6%増の1億76百万円、経常利益が21.1%増の1億81百万円、純利益が34.0%増の1億19百万円だった。
移転費用や先行投資費用で販管費が増加したが、モバイル事業の利益率改善がけん引して大幅増益だった。売上総利益率は32.6%で2.9ポイント上昇、販管費比率は28.7%で2.4ポイント上昇した。
セグメント別に見ると、ソリューション事業は売上高が1.6%増の13億73百万円で営業利益が22.1%減の1億39百万円だった。情報創造コミュニティーへの投資が先行して減益だった。受注高は20.7%減の5億36百万円で、受注残高は16.9%減の1億76百万円となった。
モバイル事業は売上高が6.7%増の32億01百万円で、営業利益が37百万円(前年同期は29百万円の赤字)だった。重点項目を絞った営業施策の結果としてインセンティブを獲得した。粗利益率改善によって販管費増加を吸収し、営業損益が改善した。携帯電話総販売台数は5.7%増の3万3805台だった。
通期セグメント別計画は、ソリューション事業の売上高が9.6%増の20億10百万円で営業利益が7.0%増の2億74百万円、モバイル事業の売上高が4.9%増の41億60百万円で営業利益が4百万円の黒字(前期は23百万円の赤字)としている。
ソリューション事業は中型PBXリプレース需要が堅調に推移する。モバイル事業はソリューション事業との連携で法人分野を強化する。なお17年10月、ドコモショップ茅場町店と情報創造コミュニティーを元の中央区八丁堀に移転した。移転に伴って情報創造コミュニティーのフロア面積を約2倍に拡張した。出会いと共創の場として進化させる方針だ。
通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が74.2%、営業利益が63.6%、経常利益が64.1%、純利益が61.8%である。ソリューション事業は第1四半期の構成比が高い収益特性だが、モバイル事業の収益改善がけん引して通期ベースでも好業績が期待される。そして19年2月期も収益拡大が期待される。
■ソリューションへのシフトやストック型モデルの強化で高収益化目指す
企業のICT投資需要は「クラウド」「モバイル」「セキュリティ」をキーワードとして高水準に推移することが予想されるため、中期的に物販からソリューションへのシフト、モバイル事業の利益率改善など、ストック型収益モデルの強化によって高収益化を目指す方針だ。
中期成長に向けた基本方針は、情報創造コミュニティーの活性化(教育サービスメニューの開発、顧客創造力の増強、定期的なパートナー交流)、パートナー企業との共同展開の積極化、ソリューションサービスのモバイル化とインフラ・コンテンツ・教育・生産価値情報・セキュリティをキーワードとしたサービス展開としている。
■株主優待制度は毎年2月末に実施
株主優待制度は毎年2月末に実施している。500株以上~1000株未満保有株主に対して島根県仁多郡産コシヒカリ「仁多米」2kg(1500円相当)、1000株以上保有株主に対して同5kg(3700円相当)を贈呈する。
■株価は売られ過ぎ感
株価は1月の戻り高値2168円から反落し、ほぼ一本調子に水準を切り上げ、3月19日には1805円まで調整した。地合い悪化も影響しているだろう。ただし売られ過ぎ感を強めている。
3月19日の終値1806円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS162円11銭で算出)は11~12倍近辺、前期推定配当利回り(会社予想の年間50円で算出)は2.8%近辺、前々期実績PBR(前々期実績連結BPS1067円02銭で算出)は1.7倍近辺である。時価総額は約22億円である。
週足チャートで見ると52週移動平均線を割り込んだが、売られ過ぎ感を強めて反発が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)