【編集長の視点】ジーニーは反落も不正広告検知機能開発をテコに高成長業績を見直し直近IPO株人気の再燃が有力

 ジーニー<6562>(東マ)は、前日19日に89円安の1856円と2日間の変わらずを含めて8営業日ぶりに反落して引けた。同社株は、昨年12月18日に新規株式公開(IPO)されたばかりで、今年3月14日に発表したメディア向けの不正広告検知機能の新規開発を好感して前週末16日に200円超幅の急伸を演じており、週明けは、日経平均株価が、「森友問題」による国内政局の先行き不透明化で、195円安と続落したことから、同社株にも目先の利益を確定する売り物が出た。ただ下値には、インターネット広告で国内シェアNo.1の好ポジションにいることや、今年2月14日に開示した今2018年3月期第3四半期(2017年4月~12月期、3Q)業績が、通期予想業績に対して低利益進捗率にとどまったものの、3月通期業績が高成長し、来2019年3月期業績の続伸観測が強まっていることを手掛かりに売られ過ぎとして直近IPO株買いが続いた。

■二重のセキュリティ対策で不正アプリのインストールなどを防止し信頼性向上

 同社は、インターネット広告の代理店として、インターネット広告の収益を最大化するプラットフォーム(SSP)「GenieeSSP」を展開しているが、今回新規開発した不正広告検知機能は、この「GenieeSSP」においてサイト訪問者を悪質なWebサイトへ強制的に遷移させ、不正アプリのインストールなどを誘発する不正なリダイレクト広告への対策を強化する。監視体制を強化する網羅的な「自動検閲システム」と検閲をすり抜けた不正広告の配信を停止する「高精度オペレーション」との二重のセキュリティ対策を新規に開発したもので、自社インターネットの信頼性と媒体価値の保護を実現する。インターネット広告の急速な発展とともに、悪意ある不正広告問題が顕在化するなか、国内SSP市場でシェア30%を誇るNo.1企業として、インターネット広告全体の透明性と信頼性の向上をリードする。

 一方、今期3Q業績は、売り上げが100億7300万円、営業利益が3億6900万円、経常利益が3億2800万円、純利益が7300万円の赤字で着地した。3Q決算は初作成となるため、前年同期比較はないが、売り上げは四半期ベースで過去最高となったが、IPO時の今3月期通期予想業績に対する利益進捗率は、62~67%と目安の75%を下回った。「GenieeSSP」では、積極的に媒体やOEM提供先の開拓に取り組み、大型案件受注やOEM案件が増加し、広告主側のDSP(Demand Side Platform)の「GenieeDSP」でも、積極的な新規開拓により規模が拡大したことが要因となった。なお純利益は、今期第2四半期に海外子会社2社の投資有価評価損2億7500万円を計上したことなどで赤字となった。

 この3Q業績の低利益進捗率は、国内企業の商習慣上、顧客企業の広告宣伝費使用が第4四半期に偏重する季節特性によるもので、今3月期通期業績は、IPO時予想に変更はなく、売り上げ147億3100万円(前期比25.6%増)、営業利益5億4800万円(同2.12倍)、経常利益5億2200万円(同2.68倍)、純利益4700万円(前期は1400万円の赤字)と高成長を見込んでいる。また、来2019年3月期業績も、営業利益7億円との投資分析会社の観測が伝えられている。

■上場来高値から上場来安値までの調整幅の3分の1戻しをクリアし次は半値戻しに弾み

 株価は、昨年12月に1350円を公開価格にIPOされ、2674円で初値をつけ上場来高値2970円まで買い進まれ、その後は、2000円台下位で下値を確かめる300円幅のレンジ相場を続けたが、世界同時株安の直撃と今期3Qの低利益進捗率業績が重なって上場来安値1372円へ突っ込んだ。同安値からは、公開価格目前は売られ過ぎとして即底上げ、25日移動平均線水準を上抜き、不正広告検知機能開発で1970円の戻り高値まで上値を伸ばした。同高値は、上場来高値から上場来安値まで調整した調整幅の3分の1戻しとなっており、直近IPO株人気を再燃させ、まず半値戻しをクリア、さらに全値戻しと一段の戻りにトライしよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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