川崎近海汽船は目先的な売り一巡感、18年3月期大幅増益予想

 川崎近海汽船<9179>(東2)は近海輸送と内航輸送を主力としている。18年3月期は市況改善などが追い風となって大幅増益予想である。株価は世界貿易停滞への警戒感などで戻り高値圏から急反落したが、目先的な売り一巡感を強めている。

■近海輸送と内航輸送を展開

 石炭・木材・鋼材輸送などの近海部門、石炭・石灰石・紙製品・農産品輸送やフェリー輸送などの内航部門を展開している。17年3月期の売上高構成比は近海部門が30%、内航部門が70%だった。新規分野として日本近海における海洋資源開発・探査・掘削設備・洋上再生可能エネルギー設備に関わるオフショア支援船事業(OSV部門)に進出している。

 内航部門では、トラックドライバー不足に対応した長距離幹線輸送のモーダルシフトの受け皿となるべく、フェリー輸送の航路拡大を推進している。清水~大分航路は18年3月から2隻体制によるデイリー運航(日曜除く)を開始した。18年4月には新造船「シルバーティアラ」が八戸~苫小牧航路で就航予定、18年6月には岩手県宮古港~北海道室蘭港の新たなフェリー航路を開設予定である。

 なお日本初のLNG燃料フェリー就航に向けて、川崎汽船<9107>と共同で技術的検証を本格化している。

 収益面では輸送量、運賃市況、為替、燃料油価格、および燃料油価格変動に伴う燃料調整金などが影響する特性がある。

■18年3月期大幅増益予想、3回目の増額余地

 18年3月期連結業績予想(1月31日に上方修正、営業利益と経常利益は10月に続いて2回目)は、売上高が17年3月期比10.7%増の415億円、営業利益が62.8%増の23億円、経常利益が73.4%増の23億50百万円、純利益が85.6%増の11億円としている。前提条件は為替が1ドル=110円、内航燃料油価格(C重油)が5万3700円/KLである。

 第3四半期累計は、売上高が前年同期比11.1%増の311億02百万円、営業利益が95.4%増の22億83百万円、経常利益が2.1倍の23億48百万円、純利益が2.4倍の10億61百万円だった。

 近海部門での市況改善や、内航部門での堅調な荷動きなどで大幅増収増益だった。売上総利益率は16.9%で2.4ポイント上昇、販管費比率は9.6%で0.8ポイント低下した。営業外では持分法投資損益が悪化したが、為替差損益が改善した。特別利益では負ののれん発生益4億89百万円、特別損失では用船契約解約金13億22百万円を計上した。

 近海部門は、売上高が4.6%増の89億15百万円で、営業利益が6億73百万円の赤字(前年同期は14億15百万円の赤字)だった。バイオマス燃料PKSの輸送量が大幅増加し、市況改善も寄与して営業赤字が縮小した。内航部門は、売上高が7.9%増の210億14百万円で、営業利益が7.2%増の27億70百万円だった。荷動きが堅調に推移した。オフショア支援のOSV部門は売上高が11億69百万円で営業利益が1億85百万円だった。

 通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が74.9%、営業利益が99.3%、経常利益が99.9%、純利益が96.5%である。通期利益予想には3回目の増額余地がありそうだ。

 配当予想は第2四半期末が5円、期末が50円としている。17年10月1日付の株式併合(10株を1株に併合)を考慮して株式併合後に換算すると年間100円となり、17年3月期の換算後の年間80円との比較で実質的に20円増配となる。

■株価は目先的な売り一巡感

 株価(17年10月1日付で10株を1株に併合)は、世界貿易停滞への警戒感などで4000円近辺の戻り高値圏から急反落したが、3500円近辺で目先的な売り一巡感を強めている。

 3月30日の終値3625円を指標面(1株当たり数値は17年10月1日付株式併合後に換算)で見ると、前期推定連結PER(会社予想連結EPS374円69銭で算出)は9~10倍近辺、前期推定配当利回り(会社予想の年間100円で算出)は2.8%近辺、前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS7972円40銭で算出)は0.5倍近辺である。時価総額は約107億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線を割り込んだが、52週移動平均線近辺から切り返している。低PBRも支援材料に戻りを試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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