【株式評論家の視点】カーリットHDは新中期計画評価で出直る、株価三段上げへ

株式評論家の視点

 カーリットホールディングス<4275>(東1)は、ミニゴールデンクロスを示現。2月26日に発表した新中期経営計画(2015年度~2018年度)『礎100』~次の100年企業となるための礎作りを策定したことが見直される可能性があり注目したい。

 同社は、化学品事業、ボトリング事業、産業用部材事業等を行う子会社等の経営管理およびそれに附帯または関連する業務を行っている。化学品事業では、砕石・石灰石の採掘などに使われる「産業用爆薬」、事故・災害時に人々の安全を守る「自動車用緊急保安炎筒」、漂白剤として製紙・繊維業界で使用される「塩素酸ナトリウム」、ロケット推進薬である「過塩素酸アンモニウム」、パソコン等に使用される電解コンデンサの電解質や電気二重層キャパシタの電解液を製造・販売を行っている。

ボトリング事業では、生活の必需品となったペットボトル飲料や缶飲料の受託製造を行っている。産業用部材事業では、パソコンやLED照明などに使われる「半導体用シリコンウェーハ」、鉄鋼などの産業分野に欠かせない「研削砥石」や「耐火材」、石油化学関係諸設備や都市ごみ焼却設備に使用される「耐熱炉内用金物」、自動車や建設機械向けの「スプリング」などを製造・販売している。

その他、上下水・排水処理施設等の設計・監理、工業用塗料販売及び塗装、工事エンジニアリング業務請負など、従来の事業領域にとらわれない多様な事業を展開している。

今2015年3月期・第3四半期業績は、売上高が332億4800万円(前年同期比14.7%増)、営業利益が5億9500万円(同35.5%減)、経常利益が6億9100万円(同31.3%減)、純利益が5億1600万円(同4.3%減)に着地。化学品事業は、塩素酸ナトリウムと機能性高分子コンデンサ向けピロール関連製品、チオフェン系材料が増販。産業用部材事業で、研削材は堅調に推移し増販、耐火・耐熱金物等も需要を確実に取り込み増販。新規連結子会社となった東洋発條工業(株)において、ばね座金や薄板ばね、平座金などが売上に寄与したものの、のれん償却の影響で販売費及び一般管理費が増加し、増収減益となった。

通期業績予想は、売上高が470億円(前期比18.0%増)、営業利益が16億円(同0.4%増)、経常利益が17億円(同1.4%増)、純利益が9億円(同28.1%減)を見込む。年間配当は期末一括10円を予定している。

株価は、自社株買い実施の発表を手掛かりに1月29日に昨年来の高値722円と買われた後、2月24日安値642円まで調整を挟んで3月13日は6円高の685円と出直っている。

2018年に創業100周年を迎えるが、更に次の100年企業の礎となる事業基盤を確立するために、新中期経営計画(2015年度~2018年度)を策定。グループの中長期目標2024年度売上高1000億円の中長期目標を確固たるものにするため、成長基盤強化、収益基盤強化、グループ基盤強化に取り組み、2019年3月期売上高650億円、営業利益35億円、営業利益率5%、設備投資200億円を目指すことが注目される。同社はロケット推進薬である「過塩素酸アンモニウム」を手掛けているが、政府は宇宙関連産業を今後10年間で官民合わせて5兆円規模とする目標などを掲げ、衛星の打ち上げはH2Aやイプシロンなど国産の基幹ロケットを優先し、宇宙産業の基盤強化につなげる見通しで、同社が宇宙関連事業への注力することから、将来的に業績に貢献するとの期待感が高まる。

チャート的には13週移動平均線がサポート。PBRは0.71倍と割り負け、需給面では逆日歩がつく信用好需給となっており、三段上げに向かう可能性もありそうだ。(株式評論家・信濃川)

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