- Home
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
- インテージホールディングスは下値固め完了感、19年3月期収益拡大期待
インテージホールディングスは下値固め完了感、19年3月期収益拡大期待
- 2018/4/4 06:25
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
インテージホールディングス<4326>(東1)は市場調査事業を主力として、システムソリューション分野や医薬情報分野にも展開している。18年3月期は開発費増加などで営業減益予想だが、19年3月期は収益拡大が期待される。株価は戻り高値圏から急反落したが、下値固め完了感を強めている。なお5月11日に18年3月期決算発表を予定している。
■国内首位の市場調査が主力、システムソリューションなども展開
子会社インテージのSCI(全国個人消費者パネル調査)やi-SSP(インテージシングルソースパネル)など、国内首位・世界9位の市場調査事業を主力として、システムソリューション分野や医薬情報分野にも展開している。国内外における積極的なM&A・アライアンス戦略で業容を拡大している。
SBIインベストメントと共同設立したINTAGE Open Innovationは、17年10月P.A.I.(パーソナル人工知能)「al+(オルツ)」を開発するオルツに投資、17年12月マーケティングリサーチのリサーチ・アンド・イノベーションに投資、18年2月世界中のセンサーデバイスが生成する情報を仲介する米EverySense社に投資した。
18年3月には、横浜市立大学とデータサイエンス分野での産学連携に関する基本協定を締結した。またシステム受託開発のビルドシステムの全株式を取得して連結子会社化した。ビジネスインテリジェンス事業の技術力強化を目指す。
17年3月期のセグメント別売上構成比は、消費財・サービス分野のマーケティング支援事業(事業会社インテージ、インテージリサーチ、アクセス・ジェーピー、海外子会社)66%、ヘルスケア分野のマーケティング支援事業(事業会社アンテリオ、アスクレップ、医療情報総合研究所、プラメド)22%、ITソリューション分野のビジネスインテリジェンス事業(事業会社インテージテクノスフィア)12%、営業利益構成比は消費財・サービス分野のマーケティング支援事業56%、ヘルスケア分野のマーケティング支援事業35%、ITソリューション分野のビジネスインテリジェンス事業9%だった。収益面では期後半の構成比が高い特性がある。
第12次中期経営計画(18年3月期~20年3月期)では経営目標値に20年3月期売上高620億円(消費財・サービス分野マーケティング支援事業394億円、ヘルスケア分野マーケティング支援事業126億円、ビジネスインテリジェンス事業100億円)、営業利益50億円を掲げている。成長投資を推進して売上高に対するR&D経費比率を従来の1%水準から2%水準に引き上げる。株主還元はROAを意識して配当性向35%を目安とする。
■18年3月期営業減益予想だが、19年3月期の収益拡大期待
18年3月期連結業績予想(11月10日に経常利益と純利益を増額)は、売上高が17年3月期比6.3%増の510億円、営業利益が6.3%減の40億円、経常利益が2.1%減の43億円、純利益が1.0%増の29億円としている。開発費増加などで営業減益予想である。
消費財・サービス分野のマーケティング支援事業は売上高が5.6%増の332億円で営業利益が16.6%減の19億90百万円、ヘルスケア分野のマーケティング支援事業は売上高が7.5%増の115億円で営業利益が3.1%増の15億30百万円、ビジネスインテリジェンス事業は売上高が7.5%増の63億円で営業利益が20.5%増の4億80百万円の計画としている。
配当予想は年間20円(期末一括)としている。17年10月1日付株式2分割を考慮して、前期の年間35円を17円50銭に換算すると2円50銭増配となる。5期連続増配で予想配当性向は27.5%となる。
第3四半期累計は、売上高が前年同期比6.2%増の350億40百万円、営業利益が14.5%減の24億02百万円、経常利益が9.0%減の26億56百万円、純利益が6.8%減の18億52百万円だった。売上総利益率は29.6%で1.5ポイント上昇、販管費比率は22.7%で3.1ポイント上昇した。
消費財・サービス分野のマーケティング支援事業は、売上高が6.2%増の226億10百万円だったが、データの価値向上やサービス領域拡大に向けた投資負担で営業利益が27.4%減の9億78百万円だった。ヘルスケア分野のマーケティング支援事業は売上高が5.3%増の84億円だったが、アンテリオにおける投資負担や大型案件の反動で営業利益が11.7%減の11億17百万円だった。ビジネスインテリジェンス事業は旅行業界や出版業界向けが好調に推移して、売上高が7.7%増の40億29百万円、営業利益が56.7%増の3億05百万円だった。
通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が68.7%、営業利益が60.1%、経常利益が61.8%、純利益が63.9%である。やや低水準の形だが、期後半の構成比が高い特性を考慮すれば通期会社予想は達成可能だろう。そして19年3月期は収益拡大が期待される。
■株価は下値固め完了感
なお17年12月15日に第三者割当による行使価額修正条項付第1回新株予約権(行使指定・停止指定条項付)の発行(割当日18年1月5日、総数4万個=400万株)を発表した。そして3月16日には、割当先である野村證券との間で締結した買取契約に基づき、株価水準を勘案し、同社に対して本新株予約権の停止指定を行うことを決定したと発表している。停止指定期間は18年3月20日以降、18年6月29日までとしている。なお3月末時点の未行使潜在株式数は281万株となった。
株価(17年10月1日付で株式2分割)は戻り高値圏1400円台から急反落したが、1100円近辺で推移して下値固め完了感を強めている。
4月3日の終値1184円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社予想連結EPS72円60銭で算出)は約16倍、前期推定配当利回り(会社予想の年間20円で算出)は約1.7%、前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS589円87銭で算出)は約2.0倍である。時価総額は約488億円である。
週足チャートで見ると1100円近辺が下値支持線の形だ。調整一巡して反発が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)