- Home
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
- ヨコレイは急反発して戻り歩調、18年9月期大幅増益・増配予想
ヨコレイは急反発して戻り歩調、18年9月期大幅増益・増配予想
- 2018/4/6 06:56
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ヨコレイ(横浜冷凍)<2874>(東1)は冷蔵倉庫の大手である。低温物流サービスの戦略的ネットワーク構築に向けて積極投資を継続し、食品販売事業はノルウェーHI社と資本業務提携して業容拡大戦略を推進している。18年9月期大幅増益・増配予想である。株価は急反発して戻り歩調だ。
■冷蔵倉庫事業と食品販売事業を展開
冷蔵倉庫事業および食品販売事業を展開している。17年9月期セグメント別売上高構成比は冷蔵倉庫事業16%、食品販売事業84%、営業利益(連結調整前)構成比は冷蔵倉庫事業74%、食品販売事業25%、その他1%だった。収益面では、冷蔵倉庫事業は倉庫稼働率、食品販売事業は水産品・畜産品・農産品の市況や季節要因の影響を受ける特性がある。
冷蔵倉庫事業は低温物流サービスの戦略的ネットワーク展開に向けて積極投資を継続し、新物流センターが順次稼働して収益拡大に貢献している。17年6月には埼玉県・幸手物流センターが竣工した。18年2月には東京都大田区に東京羽田物流センター(18年3月物流総合効率化法の認定)が竣工した。
また福岡市アイランドシティ港湾関連用地4工区E区画を取得(18年3月引き渡し予定)している。海外はASEAN地域へ積極展開し、タイヨコレイ全体の保管収容能力はタイ国内トップシェアである。
なお17年11月にはトラック待機問題の軽減・解消を主たる目的として、自社専用のトラック予約受付システムを開発し、17年12月から協力運送会社とともに試験導入を開始した。
食品販売事業はノルウェーの大手水産加工会社ホフセスインターナショナル(HI社)と包括的業務提携し、アトランティックサーモン等の加工製造販売など業容拡大を推進している。17年7月にはグループの水産会社アライアンスシーフーズが、マレーシアの海老養殖事業会社AGROBEST社と包括業務提携契約を締結し、海老養殖事業に参入した。
■中期経営計画で収益性強化を推進
第6次3ヶ年中期経営計画「Growing Value 2020」では、目標値に20年9月期売上高1800億円、営業利益85億円、経常利益85億円、純利益53億円、ROE6.0%、EBITDA130億円、自己資本比率40%以上を掲げている。
収益性の一段の強化を推進する。事業別の目標値は、冷蔵倉庫事業が売上高283億円で営業利益66億円、食品販売事業が売上高1517億円で営業利益47億円としている。
■18年9月期大幅増益・増配予想
18年9月期の連結業績予想は、売上高が17年9月期比2.5%増の1630億円、営業利益が35.1%増の70億円、経常利益が28.8%増の70億円、純利益が19.0%増の40億円としている。配当予想は3円増配の年間23円(第2四半期末10円、期末13円)で、予想配当性向は30.1%となる。
事業別計画は、冷蔵倉庫事業の売上高が2.2%増の258億84百万円で営業利益が5.4%増の60億04百万円、食品販売事業の売上高が2.6%増の1370億77百万円で営業利益が91.3%増の17億38百万円としている。
第1四半期は、売上高が前年同期比4.7%増の442億24百万円、営業利益が15.6%減の17億65百万円、経常利益が27.3%減の18億44百万円、純利益が39.9%減の10億10百万円だった。
売上面は堅調に推移したが、食品販売事業において国内の収益性が低下したため減益だった。売上総利益率は9.9%で0.8ポイント低下、販管費比率は5.9%で0.2ポイント上昇した。特別損失では、老朽化のため前期閉鎖した神戸物流センターの取り壊し費用として、事業所撤去損失2億80百万円を計上した。
冷蔵倉庫事業は売上高が1.7%増の67億98百万円で営業利益が1.1%増の17億79百万円だった。17年6月稼働した幸手物流センターがフル稼働状態となった。ただし荷動きがやや停滞し、全体としてやや伸び悩んだ。食品販売事業は売上高が5.2%増の374億10百万円で営業利益が34.1%減の6億34百万円だった。海外水産品は好調だったが、国内の収益性が低下した。
通期予想に対する第1四半期の進捗率は売上高27.1%、営業利益25.2%、経常利益26.3%、純利益25.3%と順調である。第1四半期は減益だが、通期ベースで好業績が期待される。
■株主優待は毎年9月末に実施
株主優待制度は、毎年9月30日現在の1000株以上保有株主に対して実施している。優待内容は1000株以上~3000株未満保有株主に対して鮭切身詰め合わせ、3000株以上保有株主に対して北海道産ホタテ・いくらセットを贈呈する。
■株価は急反発して戻り歩調
株価は水準を切り下げたが、3月27日の直近安値972円から急反発して戻り歩調だ。4月5日には1097円まで上伸した。
4月5日の終値1085円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS76円51銭で算出)は約14倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間23円で算出)は約2.1%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1298円88銭で算出)は約0.8倍である。時価総額は約613億円である。
週足チャートで見ると安値圏の下ヒゲ陽線で基調転換した形だ。そして13週移動平均線突破の動きを強めている。戻りを試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)