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Jトラストは反発して底打ち感、18年3月期は最終赤字縮小予想、19年3月期は一段の収益改善期待
- 2018/4/11 06:24
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
Jトラスト<8508>(東2)は、銀行業を中心とする持続的な利益拡大へのステージアップを目指して事業基盤を強化している。18年3月期は投資事業におけるタイGL社関連の影響などで最終赤字予想だが、17年3月期との比較では最終赤字が大幅に縮小する見込みだ。そして19年3月期は一段の収益改善が期待される。株価は反発して底打ち感を強めている。
■国内外で金融事業を中心に業容拡大
国内外でM&Aや債権承継などを積極活用して業容を拡大している。そして銀行業を中心とする持続的な利益拡大へのステージアップを目指し、国内外において事業基盤の強化に取り組み、特に韓国やインドネシアなどアジア地域での金融事業拡大を推進している。
事業セグメントは、国内金融事業(信用保証、債権回収、クレジット・信販、その他の金融)、韓国金融事業(貯蓄銀行、債権回収、キャピタル)、東南アジア金融事業(銀行、債権回収、販売金融)、総合エンターテインメント事業(アミューズメント施設運営など)、不動産事業(戸建分譲中心の不動産売買、流動化不動産中心の収益物件仕入・販売)、投資事業、その他事業としている。
17年3月期のセグメント別営業収益構成比は国内金融事業13%、韓国金融事業34%、東南アジア金融事業21%、総合エンターテインメント事業18%、不動産事業8%、投資事業3%、その他事業3%だった。
国内金融事業は日本保証、Jトラストカード、パルティール債権回収などが展開している。韓国金融事業はJT親愛貯蓄銀行、JT貯蓄銀行、JTキャピタル、TA資産管理など総合金融サービスを展開するための事業基盤整備が完了している。東南アジアでは、金融事業はJトラスト銀行インドネシア、投資事業はJトラストアジアを中心に展開している。
なおJトラストアジアは、東南アジアにおけるリテール分野への進出を企図して販売金融事業のタイGL社に出資するとともに、タイGL社と共同でインドネシアに割賦販売金融事業のGLFI社(出資比率20%)を設立したが、17年10月タイGL社CEOである此下益司氏がタイSECから偽計および不正行為で刑事告発されたため、現在はタイGL社、此下益司氏およびGLの関連取締役に対して、刑事告発手続き、および会社更生法申し立て・補償請求・賠償請求などの訴訟を提起している。
総合エンターテインメント事業および不動産事業は、KeyHolder(アドアーズが17年10月1日付で持株会社に移行して商号変更) <4712> が展開している。なおKeyHolderは18年1月、100%子会社アドアーズの全株式をワイドレジャーに譲渡し、特別利益に関係会社売却益12憶11百万円を計上すると発表した。
■収益はM&A・事業再編・不良債権処理などで変動
収益はM&A・事業再編・不良債権処理などで大幅に変動する可能性がある。18年3月期から国際財務報告基準(IFRS)を任意適用した。利益配分については、将来の経営環境や業界動向を総合的に勘案しながら、積極的な利益還元を図ることを基本方針としている。
■18年3月期(IFRS)最終赤字縮小予想、19年3月期収益改善期待
18年3月期の連結業績(IFRS)予想(2月13日に営業収益、営業利益、純利益を各々減額修正、3月26日に営業収益と営業利益を減額、純利益を増額修正)は、営業収益が17年3月期(IFRSに組み替え後)比3.2%減の775億74百万円、営業利益が88.8%増の24億86百万円、純利益が1億87百万円の赤字(17年3月期は12億70百万円の赤字)としている。配当予想は17年3月期と同額の年間12円(第2四半期末6円、期末6円)としている。
JトラストアジアがタイGL社の転換社債取消に伴う債権分類変更によって、その他営業収益に53億86百万円を計上する一方で、転換社債取消に伴って新株予約権部分に対する評価損を計上し、保有株式についてもその他営業費用で減損損失82億30百万円計上する。
なお3月26日の修正は、アドアーズの株式譲渡が実行されたため、アドアーズの経営成績ならびに譲渡に伴う損益を非継続事業として開示する場合の予想に変更したものである。
18年3月期は主力の金融3事業で営業利益を88億円計上予定と好調の反面、投資事業におけるタイGL社関連の影響などで最終赤字予想の見込みだが、17年3月期との比較で最終赤字が縮小する。19年3月期は主力の金融事業の好調が牽引して一段の収益改善が期待される。
■中期的に銀行業の収益拡大期待
中期経営計画では、中期ビジョンとして「既成概念にとらわれないファイナンシャルサービスを提供する企業を目指す」を掲げている。事業拡大が望めるアジア銀行業からの利益貢献を中心として、成長市場におけるIRR15%以上の投資案件をターゲットに3年間で500億円~1000億円の投資を目指す。また株式価値の最大化を経営の最重要課題の一つとして位置付け、株価が割安であると判断したときには機動的に自社株買いを実施する。
国内金融事業では消費者金融事業から撤退し、不良債権の買取回収と保証事業を推進する。特に信用保証事業は地方銀行と電鉄会社と提携し、国内の不動産関連の保証事業を強化し、ハワイやテキサスなど海外の不動産担保ローンの保証も積極的におこない、事業を拡大する。韓国金融事業ではJトラストブランドの積極的なマーケティング活動により、グループ内の相互連携を通じて各事業を有機的に連携させ、債権残高積み増しと収益拡大に取り組む。東南アジア金融事業では、Jトラストインドネシア銀行のアセット拡大と、不良債権回収事業の収益強化に取り組むとともに、インドネシア以外の東南アジア地域においてもさらなるM&Aを推進する方針だ。
中期成長に向けて、M&Aや事業再編を活用したグループの事業基盤構築・強化に取り組んでいるため、M&A・事業再編および事業構造改革に伴う一時的利益・費用の計上で収益が大幅に変動する可能性もあるが、中期的に韓国金融事業の収益改善、東南アジアへの積極的な業容拡大、グループシナジーなどの効果で銀行業の収益拡大が期待される。なお16年5月には東証1部への申請に向けた検討を開始したと発表している。
■株価は反発して底打ち感
株価は安値圏から反発して底打ち感を強めている。3月26日安値616円から切り返して4月4日の716円まで上伸した。
4月10日の終値704円を指標面で見ると、前期推定配当利回り(会社予想の年間12円で算出)は約1.7%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1455円90銭で算出)は約0.5倍である。時価総額は約793億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)