【アナリスト水田雅展の銘柄診断】キーウェアソリューションズはマイナンバー制度関連や来期の収益改善期待で戻り歩調

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 システム受託開発やシステムインテグレーションのキーウェアソリューションズ<3799>(東2)の株価は、2月の昨年来安値から切り返して戻り歩調の展開だ。マイナンバー制度関連のシステム開発需要や来期の収益改善期待で続伸展開だろう。

 システム受託開発事業(公共システム開発、ネットワークシステム開発)、経営とITの総合コンサルティング事業(システムインテグレーション、ITサービス、サポートサービス)、その他事業(機器販売など)を展開している。

 主要顧客は、筆頭株主であるNEC<6701>グループ向けが約4割を占め、NTT<9432>グループ、JR東日本<9020>グループ、三菱商事<8058>グループ、日本ヒューレット・パッカードなどが続いている。NECと連携して医療分野や流通・サービス業分野へ事業領域を広げ、ERP(統合業務パッケージ)関連やセキュリティ関連も強化している。

 なお15年1月に、経済産業省「平成26年度健康寿命延伸産業創出推進事業」の「職場における健康投資に関する効果指標および投資環境整備(健康データのオープン化・小規模事業所)」に、職域健康投資コンソーシアムとして参画した。また総務省「新たなワークスタイルの実現に資するテレワークモデルの実証」プロジェクトにモデル企業として選ばれ、15年1月から実証を開始している。

 また3月4日には、自治体向けに農作物の品質・生産性向上や栽培技能の継承を支援する農業ICTサービス「OGAL(オーガル)」シリーズの提供を開始すると発表した。圃場に設置した各種センサーから収集した環境情報を遠隔からリアルタイムでモニタリングできるクラウド型サービスで、14年6月に宮城県亘理町いちごファームが導入して研究利用が開始された。

 今期(15年3月期)の連結業績見通し(1月30日に減額修正)は売上高が前期比6.0%減の161億70百万円、営業利益は非開示、経常利益が0億円(前期は3億67百万円の黒字)、純利益が1億30百万円の赤字(同2億40百万円の黒字)で、配当予想(1月30日に減額修正)は無配(前期は期末一括の年間10円)としている。

 複数の不採算案件の影響、見込んでいた大型案件の失注・延期・凍結による受注の減少、競争激化による全体としての採算性低下などが影響して売上高、利益とも減額修正した。なお14年11月から実施している常勤役員、執行役員および常勤監査役の役員報酬の一部返上を15年3月まで継続する。

 第3四半期累計(4月~12月)は前年同期比6.1%減収で、営業利益、経常利益、純利益とも赤字となった。ただし四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)33億34百万円、第2四半期(7月~9月)39億19百万円、第3四半期(10月~12月)40億67百万円で、営業利益は第1四半期3億24百万円の赤字、第2四半期1億95百万円の赤字に対して、第3四半期70百万円の黒字となり改善傾向を強めている。

 来期(16年3月期)は不採算案件の一巡、15年から本格化するマイナンバー制度(社会保障・税番号制度)導入関連のシステム開発需要、販管費の抑制などの効果で収益改善が期待される。さらに国・地方を通じた行政情報システムの改革、20年東京夏季五輪に向けたITインフラ投資などで受注拡大が期待され、中期的にも収益は改善基調だろう。

 株価の動きを見ると、今期業績と配当予想の減額修正を嫌気した2月3日の昨年来安値369円から切り返して戻り歩調の展開だ。3月5日には560円まで急伸する場面があった。マイナンバー制度関連が材料視されている可能性もあるだろう。

 日足チャートで見ると25日移動平均線を突破して上伸した。また週足チャートで見ると13週移動平均線突破に続いて、抵抗線だった26週移動平均線突破の動きを強めている。マイナンバー制度関連のシステム開発需要や来期の収益改善期待で続伸展開だろう。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■グローバルモデルに匹敵する日本語対応の高性能生成AIを4月から順次提供  ELYZAとKDDI<…
  2. ■優勝への軌跡と名将の言葉  学研ホールディングス<9470>(東証プライム)は3月14日、阪神タ…
  3. ■新たな映画プロジェクトを発表  任天堂は3月10日、イルミネーション(本社:米国カリフォルニア州…
2024年4月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ピックアップ記事

  1. ■金先物と原油価格、史上最高値に迫る―地政学リスクが市場に与える影響  今週のコラムは、異例中の異…
  2. ■「虎」と「狼」の挟撃を振り切り地政学リスク関連株で「ピンチはチャンス」に再度トライ  東京市場は…
  3. ■海運株と防衛関連株、原油価格の動向に注目集まる  地政学リスクによる市場の不安定さが増す中、安全…
  4. ■中東緊張と市場動向:投資家の選択は?  「遠い戦争は買い」とするのが、投資セオリーとされてきた。…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る