商いは1日だけの喜憂にあらず=犬丸正寛の相場格言

■商いは1日だけの喜憂にあらず

 1度、儲かったくらいで大喜びしない。反対に、1度、2度損したくらいで落ち込むなという教えです。ひとことで言えば、株式投資には一喜一憂しないことが大切ということです。

 相場好きの投資家の方に耳を傾けていますと、すごく儲かった自慢話をされる方がいらっしゃいます。買った銘柄、特に人気銘柄が数倍にも値上がりしたような時にその傾向が強いといえます。誰だって自慢したくなるものです。気持ちは分かります。しかし、そういった方が、投資総合的に見て大成功され財を成しておられるかというとそうでもありません。結局は損をしているという話に落ち着くものです。

 似たような話は、贔屓(ひいき)の野球チームが勝ったような時にもみられます。10対0で勝ったような時は、あたかも、優勝したかのような大騒ぎです。しかし、ペナントレースが終わって見れば優勝どころかビリから数えるのが早い順位ということは、よくある話です。

 株式投資もプロ野球とまったく同じです。プロ野球は年間130~140試合です。優勝するためには、勝率は6割台は必要です。仮に、140試合なら84勝程度挙げないといけません。10対0で、1試合だけ勝ったからといって、年間の勝率が悪いとリーグ優勝できません。また、反対に0対10で負けたからといって落ち込むことはないのです。要は一喜一憂するのではなく、年間を通しての勝率が大切です。

 株式投資では、年間の立会い日数は野球より100日も多い、約245日程度です。野球では年間の試合数を消化しなくてはいけない義務がありますが、株式投資は少々、違います。『買うべし、売るべし、休むべし』との格言もあるように、自己の判断で休むことができます。ここのところを大切にしてください。決して、株中毒とならぬように、迷った時、うまくリズムに乗れない時などは休むことが大切です。

 もちろん、1度くらい儲かったから、あるいは損したからといって「喜んだり」、「憂うつになる」ことはありません。むしろ、大きく儲かったり損した時は、まぐれ扱いにするくらいの淡々とした気持ちが大切です。株式投資も「勝負ごと」です。勝負事には一喜一憂は禁物です。

 ただ、野球と株式投資の違いで非常に大切なことがあります。野球は10戦して9勝1敗ならすごい成績です。しかし、株式投資の場合は、10戦、9勝1敗でも、1敗が問題です。9回儲かった分を、わずか1回の損で、すべて吐き出してしまうことが多々あるからです。野球なら0対10で負けても1敗です。しかし、株式投資は1敗の重みが非常に大きいのです。

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