【水田雅展の株式・為替相場展望】18日の米FOMC声明文しだいで波乱含み

株式・為替相場展望

3月16日~20日の株式・為替相場は、大勢として為替はドル高・円安方向で1ドル=123円台、日経平均株価は2万円を目指す流れに変化はないだろう。ただし前週後半の日経平均株価の上昇が急ピッチだったことに加えて、17日~18日の米FOMC(連邦公開市場委員会)を控えて、週前半の株式市場では利益確定売りが一旦優勢になりそうだ。その後は18日の米FOMC声明文しだいで波乱含みの可能性があるだろう。

前週(9日~13日)は10日にドル・円相場が一時1ドル=122円台を付けたにもかかわらず、日経平均株価が前日比125円44円安と下落したことで株式相場の為替離れが指摘された。そして10日の米国市場でダウ工業株30種平均株価が前日比332ドル78セント安と急落したにもかかわらず、11日の日経平均株価が前日比プラス圏に切り返したことで米国株離れが指摘された。

さらに12日はトヨタ自動車<7203>の今春闘での過去最高水準の賃上げ回答方針、13日はファナック<6954>の株主との対話や株主還元の積極化方針が好感されて日経平均株価は大幅上昇した。為替はドル買い・ユーロ売りの流れの中で、ドル・円相場は概ね1ドル=121円台で推移した。

このため週初16日は、前週末13日の米国市場でドル高、原油安を嫌気してダウ工業株30種平均株価が前日比145ドル91セント下落した流れに対して、米国株離れの流れを鮮明にするのかが注目点となる。前週後半の日経平均株価の上昇が急ピッチだったことに加えて、17日~18日に注目の米FOMCを控えていることを考慮すれば、常識的には週前半の株式市場では利益確定売りが一旦優勢になりそうだ。ただし米国株離れの流れを鮮明にすれば先高観が一段と強まることになる。

18日の米FOMC声明文では、米FRB(連邦準備制度理事会)による利上げ開始時期を考えるにあたって「忍耐強く」との文言が削除されるかどうかが焦点となり、市場では削除されるとの観測が高まっている。

米FOMC声明発表に向けて為替・株式市場とも様子見ムードを強める可能性もあるが、市場観測どおりに「忍耐強く」との文言が削除されれば6月利上げ開始を意識する動きが広がり、米債権安(米金利上昇)、ドル高、原油安、米国株安が加速して波乱含みの可能性もあるだろう。FOMC会合後のイエレン米FRB議長の記者会見も注目される。

なお16日~17日の日銀金融政策決定会合に関しては、量的・質的緩和策第3弾「黒田バズーカ3」に対する期待感が高まっているものの、今回は現状の金融政策維持との見方が優勢だろう。

日本株の物色面では、3月期末に向けて高配当利回り・株主優待関連銘柄を物色する流れは継続しそうだが、高値水準にある主力大型株には一旦は利益確定売りが優勢となる可能性がありそうだ。

一方で、出遅れ感の強いマザーズ市場を中心とする中小型株や材料株に資金がシフトする可能性があるだろう。テーマ物色では、注目度を高めてきたマイナンバー制度関連の物色範囲が広がりそうだ。

なお大勢としては、国内要因でアベノミクス成長戦略の具体化、4月の統一地方選に向けた地方創生戦略、日銀の追加金融緩和第3弾に対する期待感、原油価格下落メリットの本格化、インバウンド消費の増加、株価上昇に伴う高額消費の活発化、賃金上昇による消費マインド改善、製品価格改定(値上げ)の浸透などで、16年3月期の企業業績拡大基調が日本株押し上げ要因であることに変化はないだろう。

また需給面では、日銀によるETF買い、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による日本株買いが下支え要因であることにも変化はない。待機資金が膨大とされる個人投資家がしびれを切らして買いに向かうかも注目点だろう。

その他の注目スケジュールとしては、16日の米2月鉱工業生産・設備稼働率、米3月NAHB住宅市場指数、米3月ニューヨーク連銀製造業景気指数、17日のドイツ3月ZEW景況感指数、米2月住宅着工件数、18日の日本2月貿易統計、中国2月主要70都市新築住宅価格、19日の米2月コンファレンス・ボード景気先行指数、米3月フィラデルフィア連銀製造業景況感指数、19日~20日のEU首脳会議、20日のユーロ圏1月経常収支などがあるだろう。(アナリスト)

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