- Home
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
- パシフィックネットは高値圏、18年5月期3Q累計黒字化して通期大幅増益予想
パシフィックネットは高値圏、18年5月期3Q累計黒字化して通期大幅増益予想
- 2018/4/17 06:31
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
パシフィックネット<3021>(東2)は、法人向けにIT機器の調達・導入、ネットワーク構築、運用・保守、データ消去、引取回収をワンストップで提供するLCM(ライフサイクルマネジメント)サービスを強化し、フロー型からストック型への収益構造転換を推進している。18年5月期第3四半期累計は黒字化した。そして通期も大幅増益予想とした。株価は06年来の高値圏だ。
■IT機器のLCMサービスを強化
法人向けにPC・タブレット・モバイル等のIT機器の調達・導入、キッティング(事前設定)、ネットワーク構築、運用・保守、使用済みIT機器の引取・回収、データ消去・消去証明書発行、リユース・リサイクルを行うLCM(ライフサイクルマネジメント)サービスを強化している。
使用済みIT機器の引取・回収、データ消去、再生、リユース販売中心の「フロー型」から、新品IT機器の長期レンタル型の調達・導入、キッティング、運用・保守を中心とした「ストック型」への収益構造転換を推進している。
15年10月2B(トゥー ビー)を設立してBtoB専門総合通信サービス事業に進出、17年6月M&Aアドバイザリ・仲介サービス事業を行う子会社エムエーピー(MAP)を設立した。
17年11月には取締役会で、店舗部門の縮小と法人向けLCM事業のさらなる強化の方針を決議した。店舗部門は市場動向把握のための一部店舗を残して順次閉店する。17年12月にはガイド用無線レシーバーを中心としたレンタル・販売・保守サービスを展開するケンネットを子会社化した。18年2月には有料職業紹介事業(人材紹介事業)の開始を発表した。
■18年5月期3Q累計黒字化して通期大幅増益予想
18年5月期第3四半期累計の連結業績は、売上高が前年同期比2.8%減の32億94百万円で、営業利益が1億31百万円の黒字(前年同期は26百万円の赤字)、経常利益が1億33百万円の黒字(同13百万円の赤字)、純利益が91百万円の黒字(同34百万円の赤字)だった。
LCMサービスの受注拡大、選別受注による収益管理強化、新たな東京テクニカルセンターによる付加価値・生産性の向上、支店・店舗統廃合によるコスト削減などの効果で黒字化した。
LCM事業は売上高が8.0%増の12億56百万円で営業利益が5.0%減の2億20百万円だった。積極的な営業展開で増収だが、東京テクニカルセンター生産能力拡大、収益性向上のためのレンタル用資産入れ替え、イベント出展やWeb広告宣伝強化、技術系人材拡充など投資負担で減益だった。
リユース事業は売上高が9.0%減の20億26百万円で営業利益が9.8倍の1億67百万円の黒字だった。一部店舗の廃止、LCM事業による収益重視戦略の結果として使用済みIT機器の入荷台数が減少して減収だが、東京テクニカルセンター設置による生産性向上、在庫回転率向上などの効果で損益が改善した。その他事業は売上高が23百万円で営業利益が1百万円だった。
非開示だった通期の連結業績予想を公表し、売上高が17年5月期比3.7%減の44億70百万円、営業利益が2億10百万円(17年5月期は16百万円)、経常利益が2億11百万円(同29百万円)、そして純利益が1億51百万円(同6百万円の赤字)とした。
収益性重視での受注案件絞り込みや、一部支店・店舗統廃合などで減収だが、東京テクニカルセンター設置による生産性向上、一部支店・店舗統廃合による販売関連経費の圧縮など構造改革の効果で大幅増益予想である。第4四半期から新規連結する子会社ケンネットも寄与する。
■株価は高値圏
株価は3月13日に06年来高値となる1294円まで急伸した。やや乱高下の形だが、その後も高値圏だ。4月16日の終値は1001円、今期予想連結PER(会社予想の29円17銭で算出)は約34倍、時価総額は約52億円である。週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなりそうだ。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)