【編集長の視点】ヴィスコは分割落ち安値から急反発、業績上方修正・最高純益更新幅拡大を見直して突っ込み買い

株式市場 銘柄

 ヴィスコ・テクノロジーズ<6698>(JQS)は、前日17日に74円高の2939円と急反発して引け、同日前場取引時間中に突っ込んだ株式分割権利落ち後安値2578円から大きく底上げした。同社株は、昨年12月13日に新規株式公開(IPO3月)され、今年3月31日を基準日とした株式分割(1株を8株に分割)の権利落ちと米国市場でハイテク株が急落するトバッチリを受けて分割権利落ち後安値に突っ込んだが、今年2月27日に発表した目下集計中の2018年3月期業績の上方修正や、連続過去最高更新の更新幅の拡大を見直し、売られ過ぎとして直近IPO株買いが再燃した。配当も、IPO時に未定としていたが、記念増配を含めて大幅増配に踏み切ったことも、次期2019年3月期業績への期待を高めて押し上げ材料視されている。

■IPOからわずか2カ月後に業績を上方修正し未定としていた配当も大幅増配

 2018年3月期業績は、IPOからわずか2カ月後にIPO時予想より売り上げが2億4900万円、営業利益が9100万円、経常利益が1億1200万円、純利益が7600万円それぞれ引き上げられ、売り上げ33億5000万円(前期比16.4%増)、営業利益4億7000万円(同33.9%増)、経常利益4億2000万円(同55.5%増)、純利益2億9000万円(同43.5%増)と見込まれた。純利益は、前期の過去最高を大幅に連続更新するとともに、市場コンセンサスも大幅に上回った。同社は、電子部品や半導体の製造工程で使用される画像処理検査装置メーカーで、電子部品業界向けに販売が好調に推移しているが、売り上げが集中する傾向にある第4四半期(4Q)は、電子部品の生産や設備更新が一部、次期にズレ込むと慎重に想定、堅めに見込んでいた4Q売り上げが依然として堅調に推移したため上方修正をした。
 配当は、IPO時には未定としていたが、今年3月12日に業績の上方修正を踏まえて普通配当40円に上場記念配当10円を上乗せして50円(前期実績1円)として実施することを発表、前期に比べ大幅増配した。

 次期2019年3月期の業績動向は、今年5月中旬に予定している3月期決算発表時の業績ガイダンスを待たなくてはならないが、一段と注目度を集めることになる。東洋経済会社四季報最新号では、新規顧客増の寄与などから純利益は3億3000万円、連続増配含みと観測している。

■25日線から27%超の下方かい離と売られ過ぎでIPO時の株価9倍化の再現期待が強い

 株価は、4920円を公開価格にIPOされ、1万5000円で初値を形成し、上場来高値4万3900円まで買い進まれ公開価格比約9倍化する高人気となり、世界同時株安の影響でいったん2万1160円安値へ調整したが、業績上方修正と株式分割との同時発表のダブル効果に大幅増配の権利取りが加わり3万6500円の戻り高値をつけ、3万1250円で株式分割の権利を落とした。権利落ち後は、理論価格を上回る4100円へ買われたものの、米国市場で続いたハイテク株売りの波及で下値を探り、前日17日前場に瞬間的に落ち後安値2578円へ突っ込んだ。同安値は、25日移動平均線から27%超もマイナスかい離し、ダメ押し、売られ過ぎとして大引けにかけ380円幅のリバウンドを演じた。今年5月中旬予定の3月期決算発表を先取りして、大きく下げた株ほど大きく戻すとする投資セオリーの「リターン・リバーサル」通りに、IPO時の高人気の再現期待を強め底上げ加速となりそうだ。(本紙編集長・浅妻昭治)

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