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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】チムニーは14年12月期増収増益見通しを評価して4月高値目指す
- 2014/12/4 07:03
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
大手居酒屋チェーンのチムニー<3178>(東1)の株価は、9月戻り高値2390円から一旦反落したが、10月直近安値圏2100円近辺から切り返し、12月1日には2390円まで上値を伸ばして9月の戻り高値に面合わせとなった。調整が一巡した形であり、今期(14年12月期)増収増益見通しを評価して4月高値2675円を目指す展開だろう。12月末の株主優待制度の権利取りも注目される。
売上高が業界5位規模の大手居酒屋チェーンで、直営とFCの飲食事業の他に、受託食堂のコントラクト事業も展開している。漁業などの一次産業、食材加工などの二次産業、店舗で商品を提供する三次産業まで一括管理する「飲食業の六次産業化」に向けた取り組みを強化している。仕入面では子会社の魚鮮水産が愛媛県で漁業権を保有し、13年には新たに2つの買参権を取得している。
飲食事業は居酒屋業態を直営とFCで展開し、主力の「はなの舞」「さかなや道場」に加えて、軍鶏(しゃも)をメインとする「龍馬軍鶏農場」や、新鮮な肉と魚の両方を浜焼きスタイルで楽しむ「豊丸水産」の新規出店や業態転換も積極推進している。13年7月には新業態を推進する子会社「めっちゃ魚が好き」を設立した。また今後の新規出店は、競合店が少なく高ROI(投資収益率)が見込める山陰・山陽道エリア、四国エリア、東北エリアへの出店を強化する方針だ。
コントラクト事業は、居酒屋事業で培った店舗運営ノウハウを活用して、官公庁の施設内を中心に受託食堂を展開している。メニュー見直しや人員配置再構築で収益力強化を目指し、14年4月には船橋中央病院(千葉県船橋市)の食堂事業を受託した。さらに16年度の新規受託に向けて入札準備を進めている。
今期(14年12月期)の連結業績見通しは前回予想(2月7日公表)を据え置いて、売上高が464億24百万円、営業利益が32億60百万円、経常利益が33億07百万円、純利益が15億87百万円としている。連結初年度のため前期非連結ベースとの比較で見ると5.4%増収、5.2%営業増益、3.1%経常増益、10.9%最終増益となる。配当予想は前期と同額の年間20円(第2四半期末10円、期末10円)としている。
既存店売上高は前期比98.0%、グループ全体の売上高は同3.4%増の700億円、新規出店は直営30店舗、FC5店舗、閉店は直営12店舗、FC12店舗の計画としている。新規出店、業態転換による既存店活性化、仕入価格見直しやメニュー改定による原価安定化、業務効率化や経費コントロール徹底などの効果で増収増益見込みだ。
第3四半期累計(1月~9月)は売上高が341億20百万円、営業利益が23億76百万円、経常利益が24億15百万円、純利益が12億32百万円で、前年同期(非連結)との比較で見ると5.7%増収、8.4%営業増益、8.9%経常増益、27.7%最終増益だった。新規出店、商品ロス低減、調理技術力向上、買参権活用による仕入効率化、メニューミックスによる原価低減などの効果で増収増益だった。売上総利益率は0.3ポイント上昇した。純利益は減損損失の減少も寄与した。
月次売上動向(直営店全業態、前年比)を見ると、14年10月は既存店が102.2%、全店が102.0%だった。既存店売上高は2ヶ月連続の前年比プラスとなり、客単価の上昇も続いている。なお1月~10月累計は既存店が99.3%、全店が100.3%だった。消費増税の影響は軽微のようだ。
10月の出店状況は、新規出店が直営3店舗(新規出店累計30店舗)、退店が0店舗、FCから直営への転換が1店舗で、14年10月末店舗数は直営403店舗(うちコントラクト100店舗)、FC304店舗の合計707店舗となった。子会社の紅フーズコーポレーション「新橋やきとん」は10月の新規出店1店舗で合計16店舗、めっちゃ魚が好き「豊丸」「鶴金」は新規出店2店舗で合計12店舗である。
通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高が73.5%、営業利益が72.9%、経常利益が73.0%、純利益が77.6%と順調な水準である。既存店売上高が堅調であり、第4四半期(10月~12月)が需要期となることも考慮すれば、通期上ブレの可能性がありそうだ。親会社となったやまや<9994>、および第2位株主となったアサヒビールとの連携強化の効果も期待され、中期的に収益拡大基調だろう。
なお株主優待制度については、毎年6月末および12月末時点の株主を対象として実施している。100株~499株所有株主に対しては「お食事ご優待券500円券×10枚」または当社オリジナル商品、500株以上所有株主に対しては「お食事ご優待券500円券×30枚」または当社オリジナル商品を贈呈(詳細は会社ホームページを参照)している。
株価の動きを見ると、9月の戻り高値2390円から一旦反落したが、10月の直近安値圏2100円近辺から切り返し、12月1日には2390円まで上値を伸ばして9月の戻り高値に面合わせとなった。調整が一巡して今期増収増益見通しを評価する動きのようだ。
12月3日の終値2382円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS84円38銭で算出)は28~29倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間20円で算出)は0.8%近辺、実績PBR(前期実績の非連結ベースのBPS601円58銭で算出)は4.0倍近辺である。
週足チャートで見ると、上向きに転じた13週移動平均線がサポートラインとなって水準を切り上げている。調整が一巡して強基調に回帰した形であり、今期増収増益見通しを評価して4月高値2675円を目指す展開だろう。12月末の株主優待制度の権利取りも注目される。