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アスカネットはAI事業で樹脂製プレートサンプルを6月から供給開始
- 2018/5/2 06:48
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
アスカネット<2438>(東マ)は遺影写真加工関連や写真集制作関連を主力としている。18年4月期減益予想だが上振れ余地がありそうだ。注目のエアリアルイメージング(AI)事業に関して4月27日、樹脂製ASKA3Dプレートサンプルの安定した品質での試作に成功し、6月から供給開始すると発表した。これを好感して株価は急動意の展開だ。
■写真加工関連を主力としてAI事業も育成
葬儀社・写真館向け遺影写真合成・加工関連のメモリアルデザインサービス(MDS)事業、写真館・コンシューマー向けオリジナル写真集制作関連のパーソナルパブリッシングサービス(PPS)事業を主力として、空中結像技術を用いたエアリアルイメージング(AI)事業など新規事業も育成している。
17年2月人工知能搭載ソーシャルロボット「unibo」を開発・製造・販売するユニロボットに出資して資本業務提携、18年3月全身高速3Dスキャナーおよび3Dデータ処理システム開発・製造・販売のVRC社と資本業務提携した。
■葬祭市場のIT化「葬Tech」目指す
MDS事業は葬儀関連、PPS事業はウエディング・卒業・入学イベント関連などが主力市場である。景気変動の影響を受けにくい特性や、下期の構成比が高い季節特性もある。
MDS事業では葬祭市場のIT化「葬儀×TECH=葬Tech」を目指し、葬祭市場における豊富な顧客基盤も活用して、AI事業とのコラボ商品である「飛鳥焼香台」なども強化している。また18年3月には、葬儀社と喪主と会葬者を繋ぐサービス「tsunagoo」で、新しい形の弔電サービスを開始した。
PPS事業は、プロフェッショナル写真家向け(BtoB)の「アスカブック」と、一般消費者向け(BtoC)「マイブック」を主力としている。NTTドコモ<9437>向けOEM供給もサービス浸透で規模が拡大している。
■AI事業の樹脂製ASKA3Dプレートサンプルを6月から供給開始
AI事業は18年1月、サービスブランドをASKA3D、プレート名をASKA3Dプレートに統一した。ASKA3Dは、プレートだけで空中ディスプレイが可能となるシンプルな構造を特色として、サイネージ、車載、医療、操作パネル、飲食、アミューズメントなど多方面の業界・業種から注目されている。
高い量産性と低コスト化を目指し、本格量産(ファブレス形態で製造して自社ブランドで販売)技術の確立に取り組んでいる。4月27日には、低コスト供給が可能な樹脂製ASKA3Dプレートサンプルの安定した品質での試作に成功したと発表している。6月にドイツで開催される展示会CEBIT2018にて公開し、同時に供給開始する。19年4月期には月産1万個規模の量産体制確立を目指している。
■18年4月期はAI事業の費用増加で減益予想だが上振れ余地
18年4月期の非連結業績予想は売上高が17年4月期比4.7%増の56億96百万円、営業利益が3.7%減の7億71百万円、経常利益が3.6%減の7億76百万円、純利益が5.5%減の5億41百万円としている。
第3四半期累計は売上高が前年同期比9.9%増の44億29百万円、営業利益が7.0%減の6億04百万円、経常利益が6.4%減の6億11百万円、そして純利益が7.0%減の4億13百万円だった。
AI事業で広告宣伝費、研究開発費、特許関連費用が増加したため前年同期比で減益だったが、計画に対しては売上面でPPS事業のOEM供給が好調に推移して計画超となり、利益も概ね計画水準だった。売上総利益率は51.7%で0.1ポイント上昇、販管費比率は38.1%で2.6ポイント上昇した。
MDS事業は売上高が4.0%増の18億65百万円、営業利益が6.8%減の5億45百万円だった。売上面ではハード機器が好調に推移し、AI事業とのコラボ商品である「飛鳥焼香台」も寄与した。利益面では人件費や発送配達費の増加で減益だった。
PPS事業は売上高が13.0%増の24億77百万円、営業利益が22.0%増の6億02百万円だった。NTTドコモ向けOEM供給がサービス浸透で好調に推移し、稼働率上昇効果で大幅増益だった。
AI事業は売上高が2.2倍の97百万円、営業利益が1億87百万円の赤字(前年同期は91百万円の赤字)だった。国内外の展示会出展のための広告宣伝費、研究開発費、特許申請費用などが増加した。
通期のセグメント別売上高計画は、MDS事業が3.7%増の25億16百万円、PPS事業が2.3%増の30億20百万円、AI事業が2.6倍の1億60百万円としている。
MDS事業では遺影写真加工収入の着実な積み上げや、AI事業とのコラボ商品である「飛鳥焼香台」など葬儀演出ツールの伸長を見込んでいる。PPS事業ではOEM供給の伸長を見込んでいる。AI事業では樹脂製ASKA3Dプレートの18年4月期中のサンプル出荷を目指している。
通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が77.8%、営業利益が78.3%、経常利益が78.7%、純利益が76.3%である。下期の構成比が高い季節特性を考慮すれば高水準である。AI事業における費用増加で減益予想だが、PPS事業のOEM供給が好調に推移して通期予想に上振れ余地がありそうだ。
■株主優待制度は毎年4月末に実施
株主優待制度は毎年4月30日現在の株主に対して、所有株式数に応じて自社サービス(マイブック)割引利用券を贈呈している。
■株価は急動意
株価は1800円近辺の戻り高値圏から一旦反落したが、樹脂製ASKA3Dプレートサンプルの試作成功と6月からの供給開始を好感して急動意の展開だ。5月1日には1964円まで上伸する場面があった。
5月1日の終値1663円を指標面で見ると、前期推定PER(会社予想のEPS32円31銭で算出)は約51倍、前期推定配当利回り(会社予想の年間10円で算出)は約0.6%、前々期実績PBR(前々期実績のBPS274円56銭で算出)は約6.1倍である。時価総額は約290億円である。
週足チャートで見ると26週移動平均線を突破して水準を切り上げている。基調転換して上値を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)