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ジャパンフーズは19年3月期2桁増益・増配予想
- 2018/5/2 06:42
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ジャパンフーズ<2599>(東1)は飲料受託生産の国内最大手である。中期的に「日本一のパッカー」を目指している。18年3月期はブランドオーナー側の在庫調整の影響で減益だったが、19年3月期は新規商材獲得などで2桁増益予想、そして増配予想である。株価は下値を切り上げて戻りを試す展開が期待される。
■飲料受託生産の国内最大手、フレキシブルな生産が強み
伊藤忠商事<8001>系で飲料受託生産の国内最大手である。主要得意先はサントリー食品インターナショナル<2587>、伊藤園<2593>、アサヒ飲料などの大手飲料メーカーで、品目別では炭酸飲料と茶系飲料、容器別ではペットボトル飲料を主力としている。
本社工場の炭酸・非炭酸兼用無菌充填ライン(EラインおよびTライン)では、さまざまな容器(ペットボトル、瓶、缶)の飲料を生産している。市場環境や顧客ニーズの変化に対応したフレキシブルで効率的な生産が強みだ。
■新規ビジネスも積極展開
新規ビジネス(海外飲料受託製造事業、国内水宅配事業、自社ブランド商品)も積極展開している。
17年4月当社の水宅配事業を子会社JFウォーターサービスに承継させ、国内で水宅配事業を展開するウォーターネット、中国の清涼飲料受託製造会社である東洋飲料(東洋製罐と合弁)も18年3月期から連結対象とした。自社ブランド商品は、本社工場がある千葉県産の農林水産物を使用した商品「おいしい房総サイダー」シリーズなどを千葉県中心に販売している。
■上期(4月~9月)繁忙期、下期(10月~3月)閑散期の収益構造
個人消費や天候などの影響を受けやすく、飲料業界全体が夏場の上期(4~9月)に繁忙期、冬場の下期(10~3月)に閑散期となって生産量が減少するため、下期は営業損益が赤字となる収益構造だ。
なお16年3月期から一部飲料メーカーとの取引形態が、有償支給(顧客指定の原材料を購入し、加工料+原材料費で売上計上する方法)から、無償支給(顧客指定の原材料を受給し、加工料を売上計上する方法)に変更された。このため見かけ上の売上高は大幅に減少しているが、実質的な売上高である加工料収入に影響はない。
■18年3月期減益だが、19年3月期は2桁増益・増配予想
18年3月期(連結決算に移行)の連結業績は、売上高が148億51百万円、営業利益が8億93百万円、経常利益が9億59百万円、純利益が6億58百万円だった。17年3月期の非連結業績との比較で見ると売上高が1.8%減収、営業利益が22.6%減益、経常利益が17.8%減益、純利益が8.1%減益だった。
上期は順調だったが、下期にブランドオーナー側の在庫調整の影響を受けた。受託製造数は2.0%減の4146.9万ケースだった。品目別では酒類飲料が9%増加したが、炭酸飲料が3%減少、茶系飲料が3%減少した。容器別ではペットボトル飲料が1%増加したが、缶飲料が9%減少、びん飲料が18%減少した。
なおセグメント別の経常利益は、国内飲料受託製造事業が8億59百万円、海外飲料受託製造事業が73百万円、水宅配事業が11百万円、水宅配フランチャイズ事業が16百万円だった。
19年3月期連結業績予想は売上高が18年3月期比9.1%増の162億円、営業利益が10.8%増の9億90百万円、経常利益が10.5%増の10億60百万円、純利益が10.9%増の7億30百万円としている。新規商材獲得などで増収・2桁増益予想である。収益改善を期待したい。
18年3月期の配当は17年3月期と同額の年間27円(第2四半期末10円、期末17円)とした。19年3月期の配当予想は18年3月期比3円増配の年間30円(第2四半期末10円、期末20円)で、予想配当性向は19.8%となる。
■「日本一のパッカー」目指す
中期経営計画「“JUMP+2018”-躍動-」では、成長戦略の方向性・キーワードを「戦略的パートナーシップ」「自立自発」「100年企業」「イノベーション」とした。そして2つの成長戦略は、コアビジネス(国内飲料受託製造事業)の収益拡大と、新規ビジネス(海外飲料受託製造事業、国内水宅配事業、自社ブランド商品)の着実な推進としている。
コアビジネスでは「名実ともに日本一のパッカー」を目指し、品質向上の追求、ローコストオペレーション(生産効率・稼働率・原単位の向上)の徹底、新規商材の取り込みを積極推進する。設備投資では総合S&Bの第1フェーズとして、本社工場内に工場建屋、ペットボトルブロー成型機、炭酸常温充填ラインを新設・稼働した。
新規ビジネス分野では、戦略的パートナーシップも活用して業容拡大を目指す。国内のウォーターネットは黒字が定着し、中国の東洋飲料も17年度に経常黒字を達成した。また17年4月に分社化したJFウォーターサービスも顧客が着実に増加している。
なお経営目標値については、18年3月期実績が計画を下回ったことを踏まえ、最終年度19年3月期の目標を見直した。
■飲料受託生産の役割・存在感高まり、競争力強化で中期成長期待
飲料業界全体が天候の影響を受けやすいことに加えて、大手飲料メーカーの再編や内製拡大による受託製造量減少を懸念する見方もあるが、夏場の繁忙期と冬場の閑散期という季節間の需要格差が大きい業界のため、大手飲料メーカーにとって内製拡大は設備投資や固定費負担の面でリスクが大きい。また飲料メーカーは経営効率化の観点からも、経営資源の重点をマーケティング分野にシフトする動きを強めている。
このため飲料受託生産の役割や存在感は一段と高まっている。そして当社は飲料受託生産の最大手として、高品質でフレキシブルな生産対応が可能な強みを発揮することが期待される。さらに一段の競争力強化に向けた投資の成果により、受託製造数量増加、プロダクトミックス改善、コストダウンが進展して中期成長が期待される。
■株主優待制度は毎年3月末に実施
株主優待制度は、毎年3月31日時点の1単元(100株)以上所有株主を対象として、自社製品詰め合わせセットなどを贈呈している。
■株価は下値切り上げ
株価は3月の戻り高値1578円から反落したが、2月安値1408円を割り込むことなく下値を切り上げている。
5月1日の終値1490円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS151円36銭で算出)は約10倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間30円で算出)は約2.0%、前期実績PBR(前期実績連結BPS1725円23銭で算出)は約0.9倍である。時価総額は約76億円である。
週足チャートで見ると26週移動平均線突破の動きを強めている。戻りを試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)