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ラクーンは調整一巡して戻り歩調、18年4月期増収増益予想で19年4月期も収益拡大期待
- 2018/5/7 06:48
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ラクーン<3031>(東1)はBtoB電子商取引スーパーデリバリー運営、クラウド受発注COREC事業、BtoB掛売り・請求書決済代行サービスPaid事業、売掛債権保証事業を展開している。利用企業数が増加基調で18年4月期増収増益予想である。そして19年4月期も収益拡大が期待される。株価は調整一巡して戻り歩調だ。なお6月8日に18年4月期決算発表を予定している。
■企業間ECサイト「スーパーデリバリー」運営が主力
アパレル・雑貨分野の企業間(BtoB)電子商取引(EC)スーパーデリバリー運営を主力として、クラウド受発注システムのCOREC(コレック)事業、BtoB掛売り・決済業務代行サービスのPaid(ペイド)事業、売掛債権保証事業など周辺領域へ事業を拡大している。またスーパーデリバリーの越境ECサービス(海外販売)「SD export」も展開している。なお18年3月には持株会社体制への移行検討開始を発表している。
17年4月期のセグメント別(連結調整前)売上高構成比はEC事業(スーパーデリバリーとCOREC)58%、Paid事業15%、保証事業26%、営業利益構成比はEC事業53%、Paid事業7%、保証事業40%だった。
出展企業と会員小売店の増加に伴って月額課金システム利用料売上が積み上がるストック型収益構造である。なお決算短信および有価証券報告書のセグメント情報においては、間接コスト(本社費用)を全てEC事業負担としているため、EC事業のセグメント利益は他の事業と比べて相対的に小さく表示されている。
■利用企業数が増加基調
17年4月期のスーパーデリバリー全体流通額は16年4月期比2.6%増の98億34百万円、スーパーデリバリー会員小売店数は1万8148店舗増の7万520店舗、出展企業数は51社増の1189社だった。またCORECユーザー数は1万1092社だった。
Paid事業はサービス改良によって業種・業態を問わず、あらゆるBtoB向けサービスへの導入やFinTech分野への展開も推進している。17年10月には導入企業数が2500社を突破した。また17年11月には、デイープラーニングを活用した自社開発AI(人工知能)による与信審査を年明け目途に開始すると発表している。
■18年4月期2桁増益予想
18年4月期の連結業績予想は、売上高が17年4月期比8.1%増の25億50百万円、営業利益が16.4%増の4億90百万円、経常利益が17.1%増の4億85百万円、純利益が17.3%増の3億円としている。配当予想は70銭増配の年間5円20銭(期末一括)とした。
第3四半期累計は、売上高が前年同期比8.2%増の18億87百万円、営業利益が5.3%増の3億34百万円、経常利益が5.7%増の3億29百万円、純利益が21.2%増の2億21百万円だった。
EC事業の伸長が牽引し、成長分野への広告投資、営業強化やシステム開発強化に伴う人件費増加などを吸収した。売上総利益率は83.9%で0.7ポイント低下、販管費比率は66.1%で0.3ポイント低下した。純利益は減損損失一巡も寄与した。
EC事業は売上高が5.8%増の12億63百万円で営業利益が4.1%減の1億61百万円(本社費用調整後は3.5%増の5億69百万円)だった。スーパーデリバリー全体流通額が8.4%増(国内3.3%増、海外77.6%増)の78億52百万円と順調に伸長した。スーパーデリバリー会員小売店数は17年4月期末比1万8692店舗増の8万9212店舗、出展企業数は17社増の1206社、商材掲載数は4万816点増の67万8468点となった。またCORECユーザー数は1万4892社となった。
Paid事業は売上高が15.7%増の3億57百万円で、営業利益が2.0倍の34百万円だった。加盟企業数が2600社を超え、グループ内含む取扱高は17年4月期末比17.1%増加の140億23百万円となった。
保証事業は売上高が8.7%増の5億85百万円で、営業利益が5.9%増の1億42百万円だった。16年8月開始した「URIHO」の伸長も寄与して、グループ内含む保証残高は17年4月期末比40.9%増の159億86百万円となった。
通期ベースでも経営基盤強化に向けた先行投資を継続するが、スーパーデリバリーにおいて成長余力のある海外市場の流通額拡大、小売以外の事業者の流通額拡大、国内流通の本格的な成長路線への回帰に注力し、COREC、Paid事業、売掛債権保証事業も順調に拡大して2桁増益予想である。
通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が74.0%、営業利益が68.2%、経常利益が68.0%、純利益が73.7%である。ストック型収益構造を考慮すれば通期ベースでも好業績が期待される。そして19年4月期も収益拡大が期待される。
■株価は調整一巡して戻り歩調
株価は3月の直近安値568円から切り返している。4月25日には679円まで上伸した。調整一巡して戻り歩調だ。
5月2日の終値646円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS17円14銭で算出)は約38倍、前期推定配当利回り(会社予想の年間5円20銭で算出)は約0.8%、前々期実績連結PBR(前々期実績連結BPS108円89銭で算出)は約5.9倍である。時価総額は約121億円である。
週足チャートで見ると下値を切り上げて、13週移動平均線突破の動きを強めている。出直りが期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)