JSPは目先的な売り一巡して出直り期待、19年3月期増収増益予想

株式市場 銘柄

 JSP<7942>(東1)は発泡プラスチック製品の大手である。18年3月期は原燃料価格高騰の影響で減益だったが、19年3月期は価格改定効果も寄与して増収増益予想である。株価は決算発表を機に戻り高値圏から反落する場面があったが、目先的な売りが一巡して反発の動きを強めている。出直りが期待される。

■発泡プラスチック製品大手、高機能・高付加価値製品を開発・拡販

 発泡プラスチック製品の大手である。押出発泡技術をベースとするポリスチレン・ポリエチレン・ポリプロピレンシートなどの押出事業(産業用包装材、食品用包装材、広告用ディスプレー材、住宅用断熱材など)、ビーズ発泡技術をベースとする発泡ポリプロピレン・発泡ポリエチレン・発泡性ポリスチレン製品などのビーズ事業(自動車衝撃緩衝材、家電製品緩衝材、IT製品輸送用通い函など)、その他事業(一般包材など)を展開している。

 18年3月期のセグメント別売上高構成比は押出事業34%、ビーズ事業61%、その他5%、営業利益構成比(連結調整前)は押出事業26%、ビーズ事業72%、その他1%である。収益は販売数量、為替、原油価格、原料価格と販売価格の差であるスプレッド、プロダクトミックスなどが影響する特性がある。

■18年3月期減益だが19年3月期増収増益予想

 18年3月期の連結業績は、売上高が17年3月期比4.8%増の1142億84百万円、営業利益が5.3%減の91億05百万円、経常利益が8.1%減の92億17百万円、純利益が6.1%減の68億53百万円だった。

 高付加価値製品の販売増加、原材料価格上昇に対する製品価格改定効果などで増収だったが、運送費の値上がり、第4四半期の原燃料価格高騰の影響で減益だった。売上総利益率は29.4%で1.6ポイント低下、販管費比率は21.4%で0.8ポイント低下した。営業外では為替差損益が悪化した。

 押出事業は売上高が2.9%増の390億24百万円で営業利益が13.3%減の26億40百万円だった。高付加価値製品の好調などで増収だが、原材料価格の上昇や運送費の値上がりの影響で減益だった。ビーズ事業は売上高が6.3%増の694億83百万円で営業利益が2.1%減の72億19百万円だった。発泡ポリプロピレン「ピーブロック」が自動車部品用を中心に伸長して増収だが、国内における原燃料価格上昇の影響で減益だった。その他事業は売上高が0.2%増の57億77百万円で営業利益が6.6%減の1億38百万円だった。

 なお前中期経営計画の目標値(18年3月期売上高1350億円、営業利益88億円)との比較で見ると、原燃料価格の大幅下落に伴う販売価格の低下、新製品売上高の計画未達などにより売上高が計画を下回ったが、発泡ポリプロピレン「ピーブロック」が自動車部品用を中心に伸長し、営業利益は計画を達成した。

 19年3月期の連結業績予想は、売上高が18年3月期比5.0%増の1200億円、営業利益が4.3%増の95億円、経常利益が6.3%増の98億円、純利益が2.1%増の70億円としている。販売数量増加や製品価格改定効果などで増収増益予想である。

 前提条件は為替が1米ドル=105円、1ユーロ=132円、1人民元=16.7円、そして原油価格(ドバイ)が1バーレル=65米ドルである。4月1日には発泡ポリスチレン押出ボード「ミラフォーム」製品の、5月1日出荷分からの販売価格改定(20%値上げ)を発表している。

 セグメント別計画は、押出事業の売上高が8.0%増の421億61百万円で営業利益が11.2%増の29億35百万円、ビーズ事業の売上高が3.5%増の719億34百万円で営業利益が1.9%増の73億59百万円である。その他事業は売上高が2.2%増の59億05百万円で、営業利益が4.4%減の1億32百万円である。自動車用「ピーブロック」など高付加価値製品の拡販が進展して好業績が期待される。

 18年3月期の配当は17年3月期と同額の年間50円(第2四半期末25円、期末25円)とした。19年3月期の配当予想は18年3月期と同額の年間50円(第2四半期末25円、期末25円)で、予想配当性向は21.3%となる。

■高機能・高付加価値製品の拡販推進、自動車用「ピーブロック」が拡大

 4月27日に長期ビジョン「VISION2027」および新中期経営計画「Deeper&Higher2020」を発表した。目標数値は、新中期経営計画で21年3月期の売上高1380億円、営業利益110億円、営業利益率8%、長期ビジョンでは10年後の売上高1800億円、営業利益180億円、営業利益率10%を掲げた。

 21年3月期目標の前提条件は為替が1米ドル=113円、1ユーロ=133円、1人民元=17円、原油価格(ドバイ)が1バーレル=55米ドルで、セグメント別目標は、押出事業の売上高が467億64百万円で営業利益が33億76百万円、ビーズ事業の売上高が850億43百万円で営業利益が83億93百万円、その他事業の売上高が61億93百万円で営業利益が1億80百万円である。

 国内事業では建築・住宅向け高断熱材、FPD基板輸送用緩衝材など独自技術に基づいた高付加価値製品の拡販を推進する。海外事業では自動車部品用発泡ポリプロピレン「ピーブロック(英名ARPRO)」を中核として生産能力を拡大し、マーケットシェアの維持拡販や用途開拓を推進する。新規事業は売上高30億円を目指す。設備投資額は3年合計約300億円の計画である。

 自動車用「ピーブロック」は自動車軽量化要求に対応する製品として需要が急速に拡大している。特に日系自動車メーカーのリアシートコア材への採用が広がり、搭載車種生産台数は16年度の約130万台から20年度には約520万台に拡大する見込みだ。中期成長ドライバーとして期待される。

■株価は目先的な売り一巡して出直り期待

 株価は決算発表を機に戻り高値圏3500円台から反落する場面があったが、目先的売り一巡して反発の動きを強めている。

 5月2日の終値3320円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS234円82銭で算出)は約14倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間50円で算出)は約1.5%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2667円72銭で算出)は約1.2倍である。時価総額は約1043億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線が戻りを押さえる形となったが、一方では下値を切り上げている。目先的な売り一巡して出直りが期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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