【株式評論家の視点】東京ボード12月上場後の下値固める、減益も1株利益202円

株式評論家の視点

<銘柄の見所>

 東京ボード工業<7815>(東2・売買単位100株)の一服場面は絶好の押し目買いチャンスと判断したい。低PER、低PBRで割安なうえに、来期以降の業績に期待が持てるため、再び買い人気が盛り上がってくるものと予想される。

 同社は木質の廃材を加工して板にして「パーティクルボード」という商品名でマンションの床材などに使用されている。住宅現場で出る廃棄物の収集から製品化まで一貫して自社で手掛けていることが最大の特色だ。国内で10%前後のシェアを持つ。ライバルの輸入合板は熱帯雨林の伐採が縮小していることから、価格がアップしている。このため同社の「パーティクルボード」の需要は逆に高まりを見せている。今後、マンションだけではなく戸建て住宅に加えて、公共施設向けにも販売を強化する意向である。

2015年3月期の売上高は63億9800万円(前期比8.3%増)と増加する。利益は建設労働者不足による労務費の向上、接着剤原料、光熱費の負担増などから営業利益7億4600万円(同12.1%減)、経常利益7億2100万円(同11.2%減)、当期純利益4億9700万円(同12.5%減)と減益を余儀なくされる見通し。ただ、それでも予想一株当たり利益は202円36銭と高水準をキープする。

PERは8.5倍に過ぎないしPBRでも0.98倍と割安に放置されている。今期の業績が減益にとどまり、成長株としてのイメージが投資家サイドに持たれてないからである。

しかし、「パーティクルボード」の需要は引き続き旺盛であり、売上高は来期以降も順調に増加するものの予想される。そして、問題の利益だが、今の段階ではハッキリしないものの、事業拡大のために新規上場で得た資金で新たな材料貯蔵設備を設けることに注目したい。この設備は材料の安定供給につながり、今後コストアップ要因を和らげる効果は期待できそうだからだ。こうしたことから、来期は増収効果もあって増益に転じる可能性はあるのではないかと考えられる。

2014年12月25日に新規上場したばかりだが、上場当日の高値2060円を付けた後、2015年1月13日に1588円まで下げた。現在は1700円前後の動きとなっているが、来期の業績見通しが発表された段階で株価水準は大きく変わってくるものと期待される。今期の減益見通しもほぼ織り込んだことを考えると中期押し目買いできそうだ。(志木克己)

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