【注目の決算】加賀電子は経常利益19%増加するなどで最高益を更新

■2018年3月期、IoT、AI需要など取り込み特別配当5円を予定

 加賀電子<8154>(東1)が9日発表した2018年3月期の連結決算(2017年4月1日~18年3月31日)は、スマートフォン市場向けの拡大や車載関連機器のエレクトロニクス化の進展などをとらえたほか、IoT(あらゆる物がインターネットを通じてつながることによって実現する新たなサービスなど)、ビッグデータ、AI(人工知能)などの新技術関連市場も活発な動きが見られるなどで好調に推移し、EMS(製品の開発・生産受託)ビジネスの拡大に注力した結果、売上高は2359億2100万円(前期比3.8%の増加)となった。

■電子機器向けEMSビジネスなど拡大し情報機器は住宅・商業施設向け好調

 同時に、生産性向上などによる売上総利益率の改善や販管費の抑制等に注力したことにより、営業利益は81億1900万円(同18.0%の増加)、経常利益は87億4000万円(同19.0%の増加)となり過去最高を更新した。純利益は、法人税負担が約19億円増加したことなどにより64億9000万円(同7.0%の減少)となった

 こうした最高益決算を受け、3月期末の配当は、1株当たり35円の普通配当に特別配当5円を加え、1株当たり40円の予定(前年同期比5円の増配)とした。中間配当を1株当たり30円実施済み(同5円増配)のため、年間配当金は1株当たり70円(前期比10円の増配)になる。

 主なセグメント別では、売り上げ構成比が最大の電子部品事業(半導体、一般電子部品、EMSなどの開発・製造・販売など)は、電子機器向けEMSビジネスや半導体の販売などが好調に推移した。この事業部の売上高は前期比0.6%増加して約1723億円となり、セグメント利益は同じく8.0%増加して約53億円となった。

 また、情報機器事業(パソコン、PC周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品およびオリジナルブランド商品などの販売など)は、住宅向けおよび商業施設向け関連商材が好調に推移し、売上高は同11.8%増加して約476億円となり、セグメント利益は同47.7%増加して約22億円となった。

 一方、その他事業(エレクトロニクス機器の修理・サポート、アミューズメント機器の製造・販売、スポーツ用品の販売など)は、国内のアミューズメント業界向けゲーム機器事業やゴルフ用品販売事業が堅調に推移した結果、売上高は前期比31.6%増加して約135億円となったが、セグメント利益は前期の約2億円の損失に続き約3億円の損失となった。

■今期は中期計画の最終年度になりPOEはすでに目標を上回る

 財政は、総資産が約1295億円となり、前連結会計年度末に比べ約37億円増加した。これは主に現金及び預金の増加による。一方、負債は主に長期借入金の返済により、前期末に比べて10億円近く減少し約589億円となった。純資産は前期末に比べて約47億円増加し約706億円となった。

 今期・19年3月期の見通しについては、車載関連市場や医療・ヘルスケア関連市場の拡大、急速に進展するIoTを背景としてビッグデータ、人工知能といった新市場の成長により、電子部品に対する需要はますます伸びていくものと予想する一方、供給サイドの増産対応が追い付かず、部材によっては受給逼迫が顕在化しているとして、現時点では不確定要素が大きいことなどを要因に、業績予想額の開示を保留した。

 ただ、今期は、2015年に策定した「中期経営計画2018」の最終年度にあたり、同計画の数値目標として、連結売上高2900億円(18年3月期実績比22.9%の増加)、経常利益100億円(同14.4%の増加)、ROE8.0%以上(同9.2%)、を掲げている。ROEは中期計画の目標をすでに上回っており、資本効率の向上が進んでいることが見て取れる。(HC)

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